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それだけではない※ロベルト視点
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「末姫はまだ生まれてもいない僕達を助けてくれたのでしょうね」
「カインもそう思うか。」
殿下、アレックスも頷く。
ハリス、お前だけだぞ察せないのは…
「何故?」
「いいかハリス。末姫様は魔力が国一番、そして魔法も類を見ない素晴らしい腕だった。ご乱心と言われるまでの周りの評価は今の殿下と変わらない上に、殿下と違ってとてもお優しい方だった「おい」という。そんな方がユーキリアス嬢の来た魔法の無い世界の事も知っていた。きっとお一人で頑張られたんじゃないかな。自分が別の世界から来た事は絶望の書のせいで言えないからね。でも魔力が即ち魔力の素になる魔素が無い世界なら幾ら強力な呪いでも発動は不可能だからね。」
「絶望の書のせいで異世界人への不信と忌嫌はなくならない。話した所で誰も自分を信じてはくれないかも知れない。幽閉では済まず処刑されてしまうかもしれない。絶望の書を隠されてしまうかも知れない。
そうなったら絶望の書を異世界に持ち帰る事も出来なくなる。」
カインとアレックスがどこか悔しそうに言う。無理もない、俺達は結果助けて頂いた事になるのに何もお返し出来ないのだからな。
「なんだよ、それ…皆そんな方をご乱心だとか、失態だとか言ってたのかよ…。」
ハリスの言う通りだ。それを一番思い煩っているのは殿下だろう。先祖というには近く、身内というには遠い方の事だからな。
「この事は陛下に、父上に伝えるよ。可能なら高位貴族にも。」
「そうですね。」
「拡散したストーリーに末姫自身の事を何も触れてないようだから、きっと彼女は己の名誉など気にして無いのだろうがな。」
「そうでしょうね、きっと。
素晴らしいお方をこの世界から失ってたんですね…」
アレックスと殿下の話しをやるせない思いで俺達は聞いていた。
ふと、皆気がついた。
「あぁ、そうか。」
「はい。昔から本当に稀にですが、王宮で異なる世界から来たと言う者が保護されていましたからね。」
「そちらの世界にはもう絶望の書はありません。」
「こっちの世界にあるから大丈夫ですよってとこか。末姫様が拡散した話しを読んだ誰かに託したんだな…此方の世界の事を本?で読んだと言う話しを聞いた誰かが絶望の書の所在に気がついてくれるかも知れないって。」
殿下、アレックスが言い俺が続け、カインも気づく。ハリスも頷いている。
すげーな末姫さまは。
「フッ、気がついているか?助けられたのはそれだけじゃないって。」
殿下の言葉の意味を皆考える。
「間接的にだがな。
ロベルト、お前は
ユーキリアスの話しを聞いて俺達が婚約者と上手くやれる様に幼少期から動いてくれたんだろ?」
「カインもそう思うか。」
殿下、アレックスも頷く。
ハリス、お前だけだぞ察せないのは…
「何故?」
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「絶望の書のせいで異世界人への不信と忌嫌はなくならない。話した所で誰も自分を信じてはくれないかも知れない。幽閉では済まず処刑されてしまうかもしれない。絶望の書を隠されてしまうかも知れない。
そうなったら絶望の書を異世界に持ち帰る事も出来なくなる。」
カインとアレックスがどこか悔しそうに言う。無理もない、俺達は結果助けて頂いた事になるのに何もお返し出来ないのだからな。
「なんだよ、それ…皆そんな方をご乱心だとか、失態だとか言ってたのかよ…。」
ハリスの言う通りだ。それを一番思い煩っているのは殿下だろう。先祖というには近く、身内というには遠い方の事だからな。
「この事は陛下に、父上に伝えるよ。可能なら高位貴族にも。」
「そうですね。」
「拡散したストーリーに末姫自身の事を何も触れてないようだから、きっと彼女は己の名誉など気にして無いのだろうがな。」
「そうでしょうね、きっと。
素晴らしいお方をこの世界から失ってたんですね…」
アレックスと殿下の話しをやるせない思いで俺達は聞いていた。
ふと、皆気がついた。
「あぁ、そうか。」
「はい。昔から本当に稀にですが、王宮で異なる世界から来たと言う者が保護されていましたからね。」
「そちらの世界にはもう絶望の書はありません。」
「こっちの世界にあるから大丈夫ですよってとこか。末姫様が拡散した話しを読んだ誰かに託したんだな…此方の世界の事を本?で読んだと言う話しを聞いた誰かが絶望の書の所在に気がついてくれるかも知れないって。」
殿下、アレックスが言い俺が続け、カインも気づく。ハリスも頷いている。
すげーな末姫さまは。
「フッ、気がついているか?助けられたのはそれだけじゃないって。」
殿下の言葉の意味を皆考える。
「間接的にだがな。
ロベルト、お前は
ユーキリアスの話しを聞いて俺達が婚約者と上手くやれる様に幼少期から動いてくれたんだろ?」
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