2 / 2
聖女の伝説 麻縄を股綱渡りで天界に続く塔を登る
しおりを挟む
信者の集まる会館の一室で、教祖による説法が行われていた。
「さて……、今日はみなさんにマンコ様の伝説をお話ししましょう。
教団の敷地内に天に届くそれはそれは高い塔が建っているのは皆さんご存知でしょう。あそこは修行を積んだものが天界へと昇る為のものです。
いままで何人かがあの塔を登りましたが、私は天界に辿り着けたのは、塔の考案者および建設者でもあるマンコ・チンスキー様だけであると思っています。
マンコ様は教団の創始者であるチン・チンスキー様の御息女でいらっしゃいました。
当時、帝国歴でいうと3年の頃、大飢饉が起こり、天災も立て続けに起きていました。
人々はそれらを神の怒りであり、神が人々を滅ぼそうとなさっていると思いました。
そんなおり、神の怒りを一身に受け、浄化なさったのがマンコ様です。
マンコ様は不浄を断ち、神と対話する為、神に近しい肉体を得ようと肉体の浄化をはかりました。
魔除けの力があるとされる塩、唐辛子、ニンニク、精製されたオリーブ油を混ぜたものを1時間おきに陰核と乳核へと狐の毛を集めた刷毛で塗り込み、不浄を清められました。
また、悪魔に侵入されないよう、魔除けの力があるとされる純銀性の聖具で常に陰穴を塞ぎ、後ろも水晶の大きな玉が5つ連なったもので同様に塞がれておりました。
非常に重たいそれらを落とさずに保持して生活できるのは、おそらく、マンコ様だけでしょう。
不浄とされる排泄物も、神に近づく為、彼女は排泄しないように修練されておられました。
毎晩尻の穴に2リットルの聖水と、人糞を餌にできるミミズ類をまぜたものを注入されておりました。
普通であればミミズが糞を分解するまで耐えきれず、濁った茶色の汁が排出されてしまいますが、彼女は完全に排泄をせずとも体内で浄化できるようになっていたそうです。
使命に負けそうに、御心が弱くなったときは、彼女の父親であるチン・チンスキー様が聖なる神木である樫の木の細枝で、マンコ様の陰核に100回の打撃をして鼓舞されました。
また、マンコ様が悪魔に取り憑かれそうになった折には陰核を火で炙り、淫壺に熱蝋を入れて固めて悪魔を封じ込めたそうです。
当時は今ほど技術がなく、低温のものでは無かったでしょうね。
天界へお行きになられる直前は、特に、人類の罰を一身に受けて、神の怒りを鎮める活動に注力されました。
世界には、「神の怒り」と「神の罰」とされるものが多くあります。
虫であれば蜂や蚊、ムカデなどの害虫は、神が人間を罰する為に放ったとされています。
マンコ様は『全て私が受け入れますのでどうか人類をお救いください』と唱え、神の怒りを鎮める為に、女の芯である最も敏感な核をそれらに与えました。
自身の1番弱い部位を捧げることで、覚悟を神へと示したのです。
また、触れるだけで3日は水膨れができ、腫れてしまうことで「神の怒り」と言われた漆の木の樹液にも挑戦なさいましたが、ひどく爛れ、日々の御勤めにはできなかったそうです。
ですが、そうした活動をなさるうち、国家は安定し、天災はおさまり、飢饉も収束いたしました。
そして、マンコ様は天に届く高さの塔を建設なさいました。
塔には窓が一つもなく、扉を閉じると中は全く明かりがありません。どこまでも暗い闇が続いています。
塔の中は壁面にそって上に続く坂道がひたすらと続いております。
階段ではなく、坂道にしたのは、おそらく、暗い中、足元の安全を確保する為でしょう。
坂道には、床から高さ65センチの位置に上までずっと、太い麻縄が道の中央に張ってあります。
それは、マンコ様がお立ちになったとき、ちょうど股間にあたる位置です。
麻縄もまた、神の力を秘めたものとして有名です。
縄は天と地をつなぐ媒介だからです。
マンコ様はその麻縄に跨り、暗闇のなか、それだけを頼りに天界へと登られました。
帝国歴10年、1月9日の19時19分、信者の見守るなか、マンコ様は塔に入られました。
一度は断念した漆の汁を陰核と乳核に塗り、自身の髪の毛でそれらに、神を呼び出す為の小さな鈴を括りつけ、敵意がないことを伝えるために後ろ手に拘束された状態で、白蛇一匹を共として入塔されました。
もちろん、2つの陰穴には、水晶の聖具と純銀の聖具を入れて。
それから9年後の1月9日、19時19分、塔が虹色に光りだし、塔の下には今もある、あの池と、蓮の花が急に現れました。」
窓の外の池を教祖が指し示し、信者達は静かにそちらを見た。
「きっと、マンコ様が9年かけて、天界へと辿りつかれたのでしょう。
マンコ様のご活動のおかげで、こんにちの我々は平穏に暮らしています。
彼女ほどの御勤めを果たせる女性はその後1人もいませんでした。
何度か修行をした信徒に頼まれ、あの塔の扉を開けましたが、天界まで辿り着けた者はおそらくいないでしょう。
マンコ様のおかげで平穏な現代では、彼女ほど自らの体に苦行を強いる必要はありません。
ですが、彼女に近づき、楽園に近づく為、我々は日々、御勤めをし、諸悪を払い、身を清めていかねばならないのです。
本日のお話しはこれにて終了です。
信徒の皆様、修練の為の部屋は開けておきますので、自由にお使いください」
教祖は指で空に文字を書き、手を合わせて祈る仕草をした後、壇上を降りた。
2話 終
「さて……、今日はみなさんにマンコ様の伝説をお話ししましょう。
教団の敷地内に天に届くそれはそれは高い塔が建っているのは皆さんご存知でしょう。あそこは修行を積んだものが天界へと昇る為のものです。
いままで何人かがあの塔を登りましたが、私は天界に辿り着けたのは、塔の考案者および建設者でもあるマンコ・チンスキー様だけであると思っています。
マンコ様は教団の創始者であるチン・チンスキー様の御息女でいらっしゃいました。
当時、帝国歴でいうと3年の頃、大飢饉が起こり、天災も立て続けに起きていました。
人々はそれらを神の怒りであり、神が人々を滅ぼそうとなさっていると思いました。
そんなおり、神の怒りを一身に受け、浄化なさったのがマンコ様です。
マンコ様は不浄を断ち、神と対話する為、神に近しい肉体を得ようと肉体の浄化をはかりました。
魔除けの力があるとされる塩、唐辛子、ニンニク、精製されたオリーブ油を混ぜたものを1時間おきに陰核と乳核へと狐の毛を集めた刷毛で塗り込み、不浄を清められました。
また、悪魔に侵入されないよう、魔除けの力があるとされる純銀性の聖具で常に陰穴を塞ぎ、後ろも水晶の大きな玉が5つ連なったもので同様に塞がれておりました。
非常に重たいそれらを落とさずに保持して生活できるのは、おそらく、マンコ様だけでしょう。
不浄とされる排泄物も、神に近づく為、彼女は排泄しないように修練されておられました。
毎晩尻の穴に2リットルの聖水と、人糞を餌にできるミミズ類をまぜたものを注入されておりました。
普通であればミミズが糞を分解するまで耐えきれず、濁った茶色の汁が排出されてしまいますが、彼女は完全に排泄をせずとも体内で浄化できるようになっていたそうです。
使命に負けそうに、御心が弱くなったときは、彼女の父親であるチン・チンスキー様が聖なる神木である樫の木の細枝で、マンコ様の陰核に100回の打撃をして鼓舞されました。
また、マンコ様が悪魔に取り憑かれそうになった折には陰核を火で炙り、淫壺に熱蝋を入れて固めて悪魔を封じ込めたそうです。
当時は今ほど技術がなく、低温のものでは無かったでしょうね。
天界へお行きになられる直前は、特に、人類の罰を一身に受けて、神の怒りを鎮める活動に注力されました。
世界には、「神の怒り」と「神の罰」とされるものが多くあります。
虫であれば蜂や蚊、ムカデなどの害虫は、神が人間を罰する為に放ったとされています。
マンコ様は『全て私が受け入れますのでどうか人類をお救いください』と唱え、神の怒りを鎮める為に、女の芯である最も敏感な核をそれらに与えました。
自身の1番弱い部位を捧げることで、覚悟を神へと示したのです。
また、触れるだけで3日は水膨れができ、腫れてしまうことで「神の怒り」と言われた漆の木の樹液にも挑戦なさいましたが、ひどく爛れ、日々の御勤めにはできなかったそうです。
ですが、そうした活動をなさるうち、国家は安定し、天災はおさまり、飢饉も収束いたしました。
そして、マンコ様は天に届く高さの塔を建設なさいました。
塔には窓が一つもなく、扉を閉じると中は全く明かりがありません。どこまでも暗い闇が続いています。
塔の中は壁面にそって上に続く坂道がひたすらと続いております。
階段ではなく、坂道にしたのは、おそらく、暗い中、足元の安全を確保する為でしょう。
坂道には、床から高さ65センチの位置に上までずっと、太い麻縄が道の中央に張ってあります。
それは、マンコ様がお立ちになったとき、ちょうど股間にあたる位置です。
麻縄もまた、神の力を秘めたものとして有名です。
縄は天と地をつなぐ媒介だからです。
マンコ様はその麻縄に跨り、暗闇のなか、それだけを頼りに天界へと登られました。
帝国歴10年、1月9日の19時19分、信者の見守るなか、マンコ様は塔に入られました。
一度は断念した漆の汁を陰核と乳核に塗り、自身の髪の毛でそれらに、神を呼び出す為の小さな鈴を括りつけ、敵意がないことを伝えるために後ろ手に拘束された状態で、白蛇一匹を共として入塔されました。
もちろん、2つの陰穴には、水晶の聖具と純銀の聖具を入れて。
それから9年後の1月9日、19時19分、塔が虹色に光りだし、塔の下には今もある、あの池と、蓮の花が急に現れました。」
窓の外の池を教祖が指し示し、信者達は静かにそちらを見た。
「きっと、マンコ様が9年かけて、天界へと辿りつかれたのでしょう。
マンコ様のご活動のおかげで、こんにちの我々は平穏に暮らしています。
彼女ほどの御勤めを果たせる女性はその後1人もいませんでした。
何度か修行をした信徒に頼まれ、あの塔の扉を開けましたが、天界まで辿り着けた者はおそらくいないでしょう。
マンコ様のおかげで平穏な現代では、彼女ほど自らの体に苦行を強いる必要はありません。
ですが、彼女に近づき、楽園に近づく為、我々は日々、御勤めをし、諸悪を払い、身を清めていかねばならないのです。
本日のお話しはこれにて終了です。
信徒の皆様、修練の為の部屋は開けておきますので、自由にお使いください」
教祖は指で空に文字を書き、手を合わせて祈る仕草をした後、壇上を降りた。
2話 終
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる