25 / 44
25、初めての……
王様と王妃様は、バルコニーで2人でワインを飲んでいらっしゃいました。
「父上! アナベルが父上とワインを飲みたいそうです」
王様は立ち上がり、
「おお、そうかそうか! 2人ともこちらに来て座りなさい」
バルコニーには丸いテーブルが2つ並んで置いてあり、私達は国王様と王妃様の座っているテーブルの横のテーブルに座りました。
メイド達がワインと料理を運んで来て、美味しいお酒と料理に舌鼓を打ちます。
「アナベルが食べる料理は、俺が作りたかったな」
ルーク様は私が料理を口にする度に、拗ねたように口を尖らせています。
「私達はどうでもいいようです。妻のことばかり考えて、息子なんてこんなものよね」
ルーク様が、私ばかりを見ているから王妃様も拗ねています。
「王妃は私より、ルークとアナベルのことばかりではないか!」
王妃様に相手にされない国王も拗ねています。
……やっぱり親子ですね。そっくりです。あ、国王様と王妃様は親子ではありませんが。
「王様と王妃様は、大恋愛だったとルーク様からお聞きしました。どのような出会いだったのですか?」
「私には婚約者がいたんだ。だが、王妃に出会い、愛するという気持ちを知った私は、王妃と結婚する為に必死で前国王である父を説得した。父は許してくれたのだが、その婚約者の父親の公爵が激怒してしまってね。私達の子が、その公爵家から妻を娶るという事で話は落ち着き、私達は結婚したというわけだ」
王様は、王妃様をとても愛しいるのですね。
あれ? でも、それって……
「あの……その公爵家から妻を娶るというのは?」
「ああ、ルークの兄であるロイドと、婚約をさせていたんだ。だが、ロイドは事故にあって、この世を去ってしまったんだ。結局、約束を破る形になってしまった……」
ルーク様のお兄様の婚約者……
その方は、婚約者を亡くされたのですね。
「王子と婚約した者は、他の者と結婚出来ないのがこの国の決まりなのだが、そんな決まりはもう古いと思っている。ロイドの婚約者だったリンダには、幸せになってもらいたいと思い、王族との結婚を勧めたのだが、断られてしまった」
そんな風に考えてくださる王様だから、結婚していた私を王太子妃に迎えてくださったのですね。
「俺は兄上に、何もかも敵わなかった。料理だけは、負けなかったけど」
「よく言うわ。勝とうと思っていなかったじゃない。ロイドは、全部分かっていたわよ」
素敵な兄弟ですね。私達姉妹とは大違いです。
「ロイドが亡くなって、もう6年か。アナベルを紹介してやりたかったな」
「そうですね。きっとロイドも、アナベルのことを気に入ったわ」
「私もお会いしたかったです」
「しんみりするなよ! 今日はめでたい日なんだから、兄上も天国で酒を飲んでるさ」
「そうだな。もう一度乾杯だ!」
「「「「カンパーイ!」」」」
楽しい時間は、あっという間に過ぎていきました。この日は遅くまでワインを飲み、私は途中で眠ってしまったようで……
目を覚ましたら、朝でした。
私ったら、眠ってしまうなんて……
となりを見ると、ルーク様がぐっすり眠っていました。
初夜なのに、眠ってしまってごめんなさい。それに、王様と王妃様の前で寝ちゃうなんてダメダメですね。
それにしても、なんて可愛い寝顔なのでしょう。まつ毛長いですね。鼻も高い。唇もふっくらしてて柔らかい。
最初の印象が最悪だったから、全く気づかなかったけど、ルーク様ってかなり美形ですね。ずっと見ていても飽きないです。
「……ん……」
起きちゃう! どうする? 寝たフリする?
私、慌てすぎ!! 寝たフリしましょう!
急いで目をつぶり、寝たフリをしていると、フワッと頭の上に手を置かれ撫でられました。
「目が覚めたら、となりに愛する人がいるなんて幸せだ」
私もですって言いたいけど、いつ目を開けたらいいのでしょう……
「……まぶたがピクピクしてる。寝たフリしてる?」
「……バレました?」
そっと目を開けると、とても穏やかな顔で見つめられていました。
「お仕置が必要かな?」
お仕置? と、聞き返そうとした瞬間、優しく唇を塞がれました。
「んっ……」
キスは次第に激しくなり、
「もう朝だけど、我慢出来そうにない……」
色っぽい目でそう言われ、ルーク様が私に覆いかぶさってきました。
「私も……我慢出来ません……」
そのまま私達はお互いを求め合いました。とっても甘くて、とろけそう……
あなたにおすすめの小説
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【完結】望んだのは、私ではなくあなたです
灰銀猫
恋愛
婚約者が中々決まらなかったジゼルは父親らに地味な者同士ちょうどいいと言われ、同じ境遇のフィルマンと学園入学前に婚約した。
それから3年。成長期を経たフィルマンは背が伸びて好青年に育ち人気者になり、順調だと思えた二人の関係が変わってしまった。フィルマンに思う相手が出来たのだ。
その令嬢は三年前に伯爵家に引き取られた庶子で、物怖じしない可憐な姿は多くの令息を虜にした。その後令嬢は第二王子と恋仲になり、王子は婚約者に解消を願い出て、二人は真実の愛と持て囃される。
この二人の騒動は政略で婚約を結んだ者たちに大きな動揺を与えた。多感な時期もあって婚約を考え直したいと思う者が続出したのだ。
フィルマンもまた一人になって考えたいと言い出し、婚約の解消を望んでいるのだと思ったジゼルは白紙を提案。フィルマンはそれに二もなく同意して二人の関係は呆気なく終わりを告げた。
それから2年。ジゼルは結婚を諦め、第三王子妃付きの文官となっていた。そんな中、仕事で隣国に行っていたフィルマンが帰って来て、復縁を申し出るが……
ご都合主義の創作物ですので、広いお心でお読みください。
他サイトでも掲載しています。
【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
【完結】愛されていた。手遅れな程に・・・
月白ヤトヒコ
恋愛
婚約してから長年彼女に酷い態度を取り続けていた。
けれどある日、婚約者の魅力に気付いてから、俺は心を入れ替えた。
謝罪をし、婚約者への態度を改めると誓った。そんな俺に婚約者は怒るでもなく、
「ああ……こんな日が来るだなんてっ……」
謝罪を受け入れた後、涙を浮かべて喜んでくれた。
それからは婚約者を溺愛し、順調に交際を重ね――――
昨日、式を挙げた。
なのに・・・妻は昨夜。夫婦の寝室に来なかった。
初夜をすっぽかした妻の許へ向かうと、
「王太子殿下と寝所を共にするだなんておぞましい」
という声が聞こえた。
やはり、妻は婚約者時代のことを許してはいなかったのだと思ったが・・・
「殿下のことを愛していますわ」と言った口で、「殿下と夫婦になるのは無理です」と言う。
なぜだと問い質す俺に、彼女は笑顔で答えてとどめを刺した。
愛されていた。手遅れな程に・・・という、後悔する王太子の話。
シリアス……に見せ掛けて、後半は多分コメディー。
設定はふわっと。