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結婚初夜
しおりを挟む結婚式は盛大に行われた。
この国の貴族はもちろんの事、各国の貴族や王族、国王までも祝いに駆けつけた。
それはひとえにダリアル公爵の人徳の賜物だ。
その夜、マリベルはエルヴィンの部屋へと向かっていた。
「エルヴィン様との初夜...これが上手くいけば、もう大丈夫!」
マリベルの心は踊っていた。
これでエルヴィンが自分の物になるのだと...。
コンコン...
エルヴィンの部屋のドアをノックすると、
「どうぞ。」
エルヴィンの低くて優しい声が聞こえた。
マリベルはゆっくりドアを開け中に入り、エルヴィンに抱きついた。
「ブレア...?」
いきなり抱きついてきたマリベルに困惑するエルヴィン。
エルヴィンはマリベルを優しく離し、ベッドに座らせた。
「ゆっくり話す時間がなかったから、話したかったんだ。これからはずっと一緒にいるのだから、焦る必要はないよ。」
マリベルは心の底からガッカリした。
すぐにでも体を重ねたかったが、ブレアならその提案を喜ぶと思い我慢した。
「私はブレアが初恋だったんだ。」
その言葉にマリベルは焦った!
ブレアはエルヴィンに、会ったことがないと言っていたはず...それが初恋だなんて言われたら、どうしたらいいか分からない。
ブレアの会ったことがないという言葉を信じ、マリベルは覚えていないふりをすることにした。
「旦那様の初恋...ですか?」
エルヴィンは少し悲しそうな顔をし、
「やっぱり覚えていなかったか...。まあ、幼い頃の事だから仕方ないか...。」
マリベルは乗り切ったと思った。
「それならこれは覚えているかい?」
エルヴィンが差し出したのは、子供の頃にブレアと色違いのお揃いで買ってもらった髪飾りだった。
マリベルはブレアとお揃いの物など興味がなく、すぐに捨てた。
それをブレアが拾い、2つとも大事にしていた。
エルヴィンが持っていたのは、ブレアの方の髪飾りだった。
「...髪飾り...?」
マリベルは捨ててしまった髪飾りの事など、覚えてはいなかった。
「覚えていないのかい?あの時、君が私に貸してくれたんだ。ずっと返すことが出来なかった。」
マリベルは、ブレアとの思い出を愛おしそうに話すエルヴィンに、腹が立っていた。
「そんな髪飾りなどお忘れください!目の前にいる私を見てくれませんか?昔ではなく、今の私を見てください!」
その言葉に、エルヴィンは不信感を抱いた。
髪飾りは妹とお揃いだから、とても大切だと言っていた。
『妹は私とお揃いが嫌で、捨ててしまったんですけど、拾って2つとも私が持っているんです。』
そう言っていたブレアが、昔の事だからと髪飾りを見ても喜ばないとは思えなかった。
もちろん、時が経ち変わったのかもしれない可能性はある...だが、やっぱり違和感があった。
「君は本当にブレアなのか?」
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