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偽物
しおりを挟む「な、何を仰っているのですか!?ブレアに決まってるじゃないですか!」
疑われた事により、マリベルの声がうわずる。
「幼い頃一度会っただけだが、ブレアはとても心優しい女の子だった。一緒にいると自然と笑顔になれた...だが、君からはそんな感じがしない。最初は、時が経ち変わってしまったのかとも思ったが...やはり、君がブレアだとは思えない。君は...まさか...」
マリベルは隠し通すのを諦め...
「お姉様が私を無理矢理...。エルヴィン様に嫁ぎたくないから身代わりになれと言われ、断れなかったのです!」
泣きながらエルヴィンに訴えかけるマリベルだったが...
「その言葉を信じるとでも思っているのか?言ったはずだ!ブレアは心優しい女の子だったと!」
マリベルの言い訳は、エルヴィンには通用しなかった!
身代わりとしてダリアル公爵家の人間だけでなく、国の貴族達や他国の貴族、王族までも騙した罪は重い。
マリベルはすぐさま捕らえられた!
「旦那様!助けてください!私はただ、旦那様をお慕いしただけなのです!」
兵士に捕らえられたマリベルは、連行されながらもエルヴィンに向かって叫ぶ。
「おまえに旦那様と呼ばれる筋合いはない!」
そう叫んだ後、マリベルの図々しさからブレアの身が心配になった。
「待て!」
エルヴィンの言葉に、兵士達は動きを止めた。
エルヴィンはマリベルへと近づくと、
「おまえ...まさか、ブレアに何かしたわけではないだろうな!?」
マリベルは俯いたまま答えない...。
「答えろ!」
それでも何も言おうとしないマリベルを見て、エルヴィンはブレアが心配になり、急いでカサブランカ侯爵の屋敷に向かって行った!
カサブランカ侯爵の屋敷に着いたエルヴィンは、凄い勢いで屋敷に入り、ブレアを探す!
「エルヴィン様、お待ちください!すぐに旦那様が参りますので...」
使用人達の制止を振り切り、ブレアを探し回る。
「ブレア!ブレアどこにいるのだ!?」
そこにようやくカサブランカ侯爵がやって来た。
「エルヴィン様、どうなされたのですか!?ブレアはエルヴィン様の所では!?」
「あんな偽物をブレアだと言うのか!?」
カサブランカ侯爵は、マリベルだとバレたのだと悟った!
「も、申し訳ありません!マリベルはエルヴィン様をお慕いしていただけなのです!」
「そんなことはどうでもいい!ブレアはどこにいるのだ!?」
エルヴィンのあまりの形相に、カサブランカ侯爵は正直に話した。
「...地下におります。」
エルヴィンは地下に走った!
「ブレアー!!」
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