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さようなら

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 「嫌だ!! 君と別れるくらいなら、私は死ぬ!」

 「………………どうぞ、死んでください。」

 「え"!?」

 「さあ、どうぞ。死んでくださいよ。」

 「ほ、本当に死ぬぞ? 私が死んでもいいのか?」

 「いいですよ。私が見届けて差し上げます。どうしたのですか? 早くしてください。」

 「マ、マリベル……許してくれ。引き取るのはやめる! もう二度とドーラとは会わないから! だから、別れるなんていわないでくれ……」

 死ぬ度胸もないくせに。本当に口だけですね。これでハッキリしました。イーサン様を信じる事は、二度と出来そうにありません。
 それに、矛盾していますが、自分の子が出来たというのに、見捨てるような男性に興味などありません。

 「イーサン様には、子供が出来たのですよ? ドーラさん……でしたっけ? その方と、3人でお幸せになってください。離縁の書類は、後日送らせていただきます。」

 何も持たずに邸を出て行くマリベル。

 「マリベル……頼む……行かないでくれ!」

 しつこく追ってくるイーサン。

 「イーサン様……これ以上、失望させないでください。」

 「マリベル……」

 さようなら。イーサン様。
 私には幸せな2年間でした。

 「ぅ……ぅぅ………ぅわぁぁぁぁ……」

 邸を出た瞬間、涙が溢れ出した。

 やっぱり私は、彼を愛していたようです。こんなにも苦しいなんて……どうして私を裏切ったのですか? どうして……


 
 目を腫らして実家に戻った私を、お父様もお母様も心配してくれました。でもまだ、何も話すことが出来ず、部屋に閉じこもりました。

 コンコン……

 「マリベル……話は聞いた。」

 ……ミシェルですね。

 「何も話さなくていい。ゆっくり休みなさい。」

 お父様……ありがとうございます。



 泣き疲れたのか、いつの間にか眠っていたみたい。お父様にもお母様にも、心配をかけしてしまいました。ダメな娘ですね。

 ドンドンドンッ

 「ちょっと!! お姉様!! 出て来なさいよ!!」

 ミシェル!? 

 「やめなさい! マリベルはずっと部屋にいたではないか! マリベルが悪いわけではない!」

 お父様!? 何かあったのかしら!?

 「お姉様が汚い手を使ったのよ! そうじゃないなら、おかしいじゃない!!」

 「いい加減にしなさい! マリベルはそんな子じゃないわ! 」

 お母様まで……何が起きているの!?
 ゆっくり、部屋のドアを開けた瞬間……
 
 パンっ!!!

 左頬がジンジンする……どうやら、ミシェルに殴られたようです。

 「「ミシェルッ!!?」」

 「仕返しのつもり!? 」

 「何の話?」

 「しらばっくれないで!! 私の婚約者の、ビンセント様を奪ったでしょ!!?」

 婚約者? 奪った? ミシェルは何を言っているの?

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