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ミシェルの婚約者?

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 全く状況が分からない。ミシェルに婚約者がいた事さえ知りませんでした。

 「ちゃんと話してくれる? 私はあなたに婚約者がいた事さえ知らなかったのに、どうして奪ったなんて言うの?」

 「辛い思いをしている時に、ごめんなさいね。ミシェルが勘違いしているのよ。」

 「勘違いなんかじゃないわ! ビンセント様がハッキリ言ったのよ!」

 「何を言ったの?」

 「婚約をするのは、私とじゃなくお姉様だって!」

 「よく分からないんだけど、婚約をするのはってどういう意味? ミシェルの婚約者なのでしょう?」

 「先日、ケール侯爵から縁談が来たんだ。」

 お父様の話によると、ケール侯爵は先日、アンダーソン家に縁談を申し込んできたそうです。私はすでに嫁いでいた為、ミシェルを婚約者にとの事なのだと思い、お受けしたようなのですが……ミシェルがビンセント・ケール侯爵とお会いした所、先程の言葉を言われたということでした。

 「とにかく明日、ケール侯爵に話を聞いてくる。だから、マリベルを責めるのはやめなさい。」

 「でも、お父様!」

 「お前がマリベルにした事を、イーサンから聞いた。これ以上、マリベルを苦しめるのならば、私にも考えがある。」

 「…………ッ!!」

 ミシェルはもう、何も言う事ができなかった。

 「……お父様は、イーサン様にお会いになったのですか?」

 「ミシェルから話を聞き、私がイーサンに会いに行き、書類にサインさせて来た。あとはお前がサインすればいい。」

 お父様は書類を差し出しました。
 イーサン様が素直にサインをしたとは思えません。きっとお父様が怖かったのでしょう。ですがこれで、私はイーサン様と終わらせることが出来ます。

 「お父様……ありがとうございます。」

 もう泣くのはやめます。私にはこんなにも愛してくれる、お父様もお母様もいるのだから。
 それにしても、ミシェルの婚約者の方は、何を考えているのでしょう? まあ、きっと何かの間違いですね。

 
 翌日、マリベルは、サインをした書類を役所に提出した。

 「お願いします。」

 「お預かりします。………こちらは、婚姻無効のお手続きでよろしいでしょうか?」

 そっか……私達は白い結婚だったから、離縁ではなく、婚姻無効になってしまうんですね。
 イーサン様と過ごした2年間は、なかった事に……

 「…………はい。それで、お願いします。」

 これでいい。これで私は、前に進む事が出来ます。



 その頃、アンダーソン伯爵は、ケール侯爵の邸を訪れていた。

 「急に押しかけてしまい、申し訳ありません。早速ですが、昨日ミシェルにおっしゃった事について、お話頂きたいのですが……」

 「ミシェル嬢はなんと?」

 「婚約をするのはミシェルではなく、姉のマリベルだと。」

 「その通りですが、問題ありますか?」

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