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二章
グルダの内情
しおりを挟むその日の夜、シェリルと一緒に寝ることになった。
「こうして二人でベッドに入ると、学園の寮を思い出すね」
またこんな日が、来るとは思わなかった。
「ずっとセリーナに、会いたかった」
「私だって、シェリルに会いたかったよ」
まるで恋人同士の会話に、私たちは笑い合う。
「ずっとセリーナといられたらいいのに……」
私だって、そうしたい。けれど私たちは、もう別の国の人間だ。
「なんかあった?」
シェリルが痩せていることが、少し気になっていた。
「なにもない……と言えたらいいのだけれど、若い国王だとね、色々あるのよ。ガレスタ王国ほどではないけれどね」
若い国王だからと、反発する貴族たちのことを言っているのだろう。
前国王が退位され、ルギウス様に王位を譲られてから、裏で貴族たちが動いているようだ。
廃妃された前王妃様が、ご実家のランドルク公爵家とともになにかを企んでいる。ランドルク公爵家は三大貴族ではなくなったものの、まだほかの貴族たちを動かす力が残っていた。
ルギウス様とシェリルは、自分たちを支持してくれる臣下たちとともに戦っている最中のようだ。
シェリルをガレスタ王国へ送り出したのは、ガレスタ王国との友好関係を結ぶためではなかった。もちろん、シェリルはちゃっかり友好関係を結んでいた。けれど、本命はレイビス様と私にグルダ王国の内情を知らせることだったようだ。
シェリルは、私たちに助けを求めたくはなかったのだろう。だから、明るく振る舞っていた。
どれほど頑張って来たのか、彼女を見ればわかる。痩せたのではなく、やつれてしまったシェリルの目をじっと見つめる。
「私は、いつだってシェリルの味方よ。レイビス様だってそう。遠慮なんかいらない。それにグルダは私の生まれた国でもあるのだから、見て見ぬふりなんかできない」
「セリーナ……」
目に涙をいっぱいためながら、思いっきり私に抱きつく。
「……クゥ……」
「え!?」
クゥがいつの間にか私たちの間に入っていて、シェリルに抱きつかれて潰れそうになっている。
「……犬!?」
紹介が、まだだった。
「一応、狼よ」
「狼!? あの伝説の!?」
驚いて、涙が止まったようだ。
「クウっていうの。なぜか私から離れようとしないから、連れ帰って欲しいと言われたの」
シェリルはクウを抱き上げ、お腹の下辺りを確認している。
「君、男の子なのね。セリーナに惚れた? 全く、セリーナは誰でも魅了してしまうのね」
そんなわけないでしょ。心の中でそう思いながら、元気になってくれたシェリルにホッとしていた。
翌朝、レイビス様にも事情を話した。
「グランディに戻るのは、少し先になりそうだな」
「レイビス様、グルダに行きましょう!」
次の行き先が決まった。
グランディにはレイビス様が手紙を出し、私たちはガレスタ王国からそのままグルダへと向かう。
「お兄様、セリーナ、本当にありがとう」
シェリルはきっと、自分たちで解決したかったのだろう。けれど、今までずっとグルダを牛耳っていたランドルク公爵家が相手では、他国から嫁いだシェリルには分が悪い。
まだグルダにいられることに感謝して、改心してくれればよかったのに……
私の大切な親友を苦しめたことを、後悔させて差し上げなければ。
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