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愛されるチャンス
しおりを挟む「チャンスとは、どのようなことでしょう?」
「俺は君に、愛される努力をして来なかった。君は、俺との結婚を政略結婚だと思っていたのだろう?」
「思っていました。」
「どうやら俺は、最初から間違えていたようだ。これから、俺の事を知っていって欲しい。婚約は、解消してくれてかまわない。俺以外に、好きな人や婚約者が出来てしまった時は、潔く諦めるから。だから婚約者候補の1人として、君のそばにいさせて欲しい。」
確かに私は、ランディ様の事を何も知りません。ほとんど一緒に過ごした時間がないのですから、当然なのかもしれません。
ただ一つだけ、どうしても気になることがあります。
「ランディ様は私が熱を出して寝込んだ時も、マーサ様の体調が悪いからと、私よりマーサ様を優先しましたよね?」
「それは有り得ない! もし君が、熱を出して寝込んでいたならば、俺は迷わず君の元へ行っていたはずだ!」
それはおかしいです。あの日確かに、執事のロシュがランディ様にそう言われたと……まさか、ロシュが嘘をついていたなんてことないわよね?
でもこの事は、ランディ様の口から直接聞いた事ではありませんでした。ロシュに確かめなければなりませんね。
「ランディ様のお気持ちは、よく分かりました。3ヶ月程、時間を差し上げます。それまでに、私がランディ様を信じられるようになったなら、婚約は継続させていただします。」
「本当か!?」
正直、3ヶ月で気持ちが変わるとは思えませんが、このままではモヤモヤが残る気がしました。
「ランディ様を信用する事が出来るようになるとは思えませんので、期待はしないでください。」
「分かっている。君に信じてもらえるように、全力で頑張る!」
マーサ様は、最後まで話を聞いていました。
自分を愛していないのだと分かった事で、かなりショックを受けているようです。
こんな公の場所で、病弱ではない事がバレてしまい、愛していた人から見放されたマーサ様には、まともな結婚相手を見つけることも困難になるでしょう。
もしかしたらまだ、私がランディ様と離れる事を望んでいるのかもしれませんが、例えランディ様と私が婚約者ではなくなっても、ランディ様がマーサ様を愛する事はないでしょう。
邸へと戻った私は、ロシュに部屋へ来るように言いました。
「ロシュに聞きたいことがあるの。」
「何でしょうか?」
「私が熱を出して寝込んだ日の事を覚えている? あの日、ランディ様に私が寝込んでいる事を、伝えてくれたのよね?」
ロシュの顔が明らかに曇りました。
どうやら、ランディ様が仰っていたことは、事実のようです。
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