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ジオードがやって来た
しおりを挟む「君が断る事は、分かっていた。息子が一番大切なんだろ?」
「どうして……」
「君は昔から変わっていない。安心した……が、諦めるつもりはない。」
あぁ……アンソニー様は、そういう方でした。
「何年でも、何十年でも待つよ。君が負担に思う必要はない。私が、君以外と結婚するつもりがないだけだ。」
彼は絶対に引かない。本当に、何年でも何十年でも待っていてくれるでしょう。
「すぐには結婚出来ませんし、私にはアレクシスが1番なので、アンソニー様は2番ですけどよろしいですか?」
「もちろん! アレクシスには、私が剣術を教えよう!」
アンソニー様はその日から、早速アレクシスに剣術を教え始めた。
「先ずは基礎体力からだ。」
「はい! せんせい!」
会ったばかりのアンソニーに、アレクシスはすぐに懐いた。
「はぁはぁ……せんせい! ぼく、いっぱいつよくなって、おかあしゃまを守りたいんでしゅ!」
アレクシスを守る事が出来なかった私を、守ってくれるというの?
こんなにもいい子に育ってくれて、ありがとう。
「アレクシス、よく言った! いっぱい強くなって、先生と一緒にお母様を守ろう!」
アンソニー様まで……2人は、血は繋がっていないけれど、似ていますね。だから、アレクシスもすぐにアンソニー様に懐いたのでしょう。
数週間後
「お前じゃ話にならないと言っているだろう!! 早く中に入れろ!!」
「門を開けることは出来ません。あなたを邸に入れるなと言われています。」
「ふざけるな!! 俺を誰だと思ってるんだ!!」
門の前が騒がしいですね。邸の中まで聞こえて来るような大声で、門番が誰かと言い争っているみたいです。
こっそり門の方を覗いてみると、そこにはジオードが立っていた。
どうしてジオード様が!?
まさかまだ、アレクシスを諦めていないのでしょうか!? このままでは、お姉様にもお義兄様にも、お父様にもご迷惑をおかけしてしまう。
門番も困ってるし、私が追い返さなくちゃ!
「何のご用ですか?」
出来るだけ平静を装って声をかけた。
「セシディ!! 会いたかった!!」
私はあなたに、二度と会いたくありませんでした!
「その様な事を仰るのはおやめ下さい。私達は、もう他人です。お会いする理由はありませんので、お帰りください。」
「俺が浮気をしたから、怒っているのだな。だが安心しろ! シモーヌは追い出した! だから、私の元に帰って来い!」
……ジオード様は、頭がおかしいのでしょうか?
「ジオード様が浮気したとかは、どうでもいいことです。私はあなたが、アレクシスにして来た事を許すつもりはありません。」
私を愛さなくてもかまわなかった。アレクシスを冷遇し、侮辱し、怖がらせた事は、決して許す事が出来ません。
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