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8、衝撃の真実
しおりを挟む「……私の両親は、お父様とお母様ではないとはどういうことなの?」
どういうことなのか、さっぱり分からない。
「全てを、お話します」
ケリーは、覚悟を決めたように話し始めた。
母のサラは昔、王妃様の侍女をしていたそうだ。王妃様はとても気さくな方で、子爵令嬢だった母を侍女としてではなく友人だと思っていた。その後母は父と結婚し、侍女を辞めた。その後も、王妃様と母は仲良くしていたそうだ。王妃様と母は同時期に妊娠し、自分達の子が同級生になると喜んでいた。
出産予定日が近付いても、母は王妃様を訪ね、王妃様は「もし王宮で出産することになったとしても、サラのお腹の子が無事に産まれるよう主治医にお願いしているから安心してね」と仰っていた。そんなある日、王妃様が先に産気づいた。その後すぐに母も産気づき、王宮で二人の出産が始まった。
王妃様は何度も、「サラを……サラの出産を手伝って……」と主治医にそう仰っていたそうだ。けれど、王妃様は難産で母子共に命の危険があった。王妃様の側を離れるわけにはいかず、隣りの部屋に運ばれた母の方には誰も来なかった。ケリーはその時母の侍女で、ケリーだけが母の出産を手伝っていたそうだ。母は無事に女の子を出産し、その三十分後に王妃様も女の子を出産した。
「産気づいて直ぐに、王妃様は意識を失ってしまい、奥様を気にする方が誰もいませんでした。出産した後も、部屋には主治医どころか誰も訪れません。王妃様のお命が危うかったのだから、それも仕方のないことだったと思います。ですが、奥様は王妃様に裏切られたのだと感じたようです。そして奥様は私に、産まれたばかりの子を王妃様がお産みになった王女様と入れ替えるように仰ったのです」
「つまり、私の両親は……」
「この国の国王陛下と王妃様です。レイチェル様は、王女様なのです!」
にわかには信じることが出来ない。けれど、ケリーの顔は真剣そのもので、彼女が嘘をつくとも思えない。
「入れ替えたことは、気付かれなかったの?」
「あの日、医師達は王妃様の体調を気遣うことで精一杯でした。幸い、産まれたばかりのレイチェル様は健康で、医師も使用人達も安心していました。私は隙を見計らって、オリビア様とレイチェル様を入れ替えたのですが、王女様の足の裏にはホクロが四つあったのです。気付かれないように、オリビア様の足の裏にレイチェル様の足の裏と同じようにホクロを描きました……。すぐに落ちてしまったでしょうけれど、汚れかもしれないと思われたようです。私があのホクロを描かなければ、すぐに入れ替えたことに気付いてもらえていたかもしれません……私が、余計なことをしなければ……」
ケリーはその場に膝をつき、泣き崩れた。
確かに、私の足の裏にはホクロが四つある。そのせいで、ケリーを苦しめてしまったのかもしれない。
ケリーの話を聞いて、オリビア様の侍女のことを思い出した。命令をされたら、主人に従わなければならない……それなのに、罰を受けるのは理不尽だ。
泣き崩れるケリーを、そっと抱きしめる。
「どうして話したの?」
知らなければ良かったと思えた。
「……レイチェル様が、王妃様にお会いになったとお聞きした時、全てを知っていただかなければと思いました。レイチェル様は昔の王妃さまに、よく似ていらっしゃいます。最初は旦那様も奥様も、大それたことをしてしまい、いつ気付かれてしまうのかと怯えていました。時が経つと、自分達が王女様をどうにでも出来るという優越感を得るようになり、レイチェル様を冷遇なさるようになりました。大切にするどころか、レイチェル様を虐げ続け、何も知らないキャロル様までレイチェル様を見下すようになっていきました。これ以上は、黙っていることが出来ません。私がしたことを、陛下に全てお話しします。ずっと騙していて、申し訳ありませんでした」
ケリーが隠し続けて来た真実を、私はまだ受け止めることが出来ていない。けれど、これだけは言える……私はいつだってケリーに守られて来た。
「今私が生きているのは、ケリーがいてくれたからよ。ケリーだけが、流行病に侵された私を看病してくれた。家族からも使用人からも見放された私の側に、ケリーだけがいてくれた。もういい……もういいから、苦しまないで。それと、このことを陛下にお話しする必要はないわ」
「レイチェル様!?」
このことを知られたら、ケリーの死は免れないだろう。例え命令されたことだとしても、大罪を犯してしまったからだ。王妃様とは今日お会いして、お優しい方だということは分かったけれど、陛下とお話したことはないからどのような方か分からない。ケリーを助けて欲しいとお願いしたところで、願いを聞いてくれるかどうかが判断出来ないのだ。
ケリーを守ることが出来るなら、家族に虐げられようと、私はこのままで構わない。けれど、両親のことは許せない。ケリーが処罰されないような、何かいい方法を考えなければ。
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