〖完結〗聖女の力を隠して生きて来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。

藍川みいな

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11、見つかった……

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 ナージルダルの宿屋に戻り、食堂で食事をする。

 「どうしてジュードが、一緒に食事をしているの?」

 私とレニーは、ティアの背に乗って町まで戻って来たけど、ジュードも同じくらいのスピードでこの町に来た。しかも、馬車を使わずに……

 「見守るとは言ったが、関わらないとは言っていない。魔法を教えてやったんだから、食事くらい奢ってくれてもよくないか?」

 ジュードの言う通りだ。魔法を教えてくれたのだから、お礼くらいするべきね。

 「食事はごちそうする。前回は、不味いものを食べさせてしまったしね。
 ひとつ教えて欲しいんだけど、あの草原からどうやってこの町まで来たの? 」

 ジュードはスープを1口飲んだ後、スプーンを置いて口を開いた。

 「奢りだと思うと、余計美味いな。
 俺は魔法を使っただけだ。風魔法で自分の体を覆い、土魔法で肉体を強化する。歩いてる間、ずっと魔力を消費するから、短距離じゃないと使えないけどな」

 魔法に、そんな使い方があるんだ。本が友達だったから、世界の知識なら知ってることは多い。だけど、魔法に関しては勉強不足で知らないことが多過ぎる。

 「その魔法、私にも使えるかな?」

 「サンドラなら、魔力量の底が見えないから、長距離でも行けそうだな。全属性使えるんだから、魔法の使い方を勉強すれば何でも出来るんじゃないか?」

 ジュードにお願いして、それから毎日、魔法を教えてもらうことになった。上級の魔術士以上のジュードに教えてもらい、私の魔法はメキメキと上達して行った。

 「俺に教えられるのはここまでだ。後は自分で考えて、自分なりの魔法を生み出していけばいい」

 ジュードに魔法を教えてもらってから1週間後、私は四属性魔法を自由に操れるようになっていた。そしていつしか、ジュードへの不信感も消えていた。

 「ジュード、ありがとう! あー、お腹空いたー! 町に帰って、ご飯食べよう」
 
 「さんせー!」

 1番に賛成してくれるレニー。魔法の練習にいつも付き合ってくれて、見よう見まねで魔法の練習までしていた。

 火魔法しか使えなかったレニーが、なんと! 風魔法まで使えるようになった!
 もしかして、この子は天才なんじゃ!?

 この日はティアには乗らずに、ジュードに教えてもらった風と土魔法を使って帰ることにした。

 「ティア、レニーをお願いね」

 「お任せ下さい!」

 ティアの返事を聞いてから、風魔法で全身を覆い、土魔法で体を強化……
 魔法を使うには、イメージが大切だということを教わった。私がイメージするのは、風に乗って空を飛ぶイメージ。すると、体がふわりと浮いた。
 そのまま風魔法を操り、町へと飛んで行った。

 「いきなり俺を超えやがった……」

 「お兄ちゃんは出来ないの?」

 「あんなに魔力使ったら、すぐに息切れしちゃうからな。俺には無理だ」

 「さすが、サンドラ様だ! レニー、帰るぞ」




 あっという間に、町に帰って来てしまった。草原から町の入口まで、3分くらいで着いた。ティアの背に乗って戻る時は、10分かかる。みんなが戻るまで、部屋で待ってようかな。
 そう思って、宿屋に向かって歩いていると、違和感を感じた。町の人達が、怯えながら何か言いたそうな顔でこちらを見ている。それなのに、誰も話しかけては来ない。

 宿屋に近付いた所で、1人の女性が叫んだ!

 「サンドラ様、逃げてください!!」

 叫んだ女性は、次の瞬間、地面に倒れ込んだ! 倒れた女性の後ろには、血で真っ赤に染まった剣を持つ兵士の姿がある……
 女性は私を逃がそうとしたから、兵士に斬られたようだ。

 「サンドラ様を守れーーーッ!!!」

 それがきっかけで、怯えていた町の人達がいっせいに兵士に飛びかかった!
 兵士は1人だけではなく、次から次へと現れ、町の人達を斬りつけていく。

 「やめて……どうして、こんな酷いこと……」

 私の為に戦う町の人達。

 どうしてこんなことに?
 私は余所者で、皆さんが命懸けで守るような存在じゃない。それなのに、私の為に町の人達が次々と斬られていく……

 「目的は、私なんでしょ!? 町の人達に手を出さないで!!」

 それでも、兵士達は手を止めようとはしない。
 
 「やめて……やめてーーーーーッッッッッ!!!」

 私の体から光が放たれ、町の人達を包み込む。そして、斬られて倒れている人達の傷がみるみるうちに塞がっていく。



 「やっぱり、サンドラ嬢は聖女だったようですね」
 
 町の人達全員の傷が治ったところで、聞き覚えのある声が聞こえた。

 「探しましたよ。さあ、一緒にロックダムに帰りましょう。あなたは、僕の妻になるのです」

 声の主は、ロックダム王国第二王子、オスカー様だった。


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