〖完結〗聖女の力を隠して生きて来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。

藍川みいな

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33、初めての夜

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 「今日はこの町で休むか。今回は、部屋は1つでいいよな?」

 少し意地悪な顔をしながら、確認してくるジュード。結婚してから、私達はまだ1度も2人きりで寝たことがない。毎日レニーが私のベッドに入って来るから、2人きりの時間は滅多になかった。

 町に入ると、沢山の冒険者で賑わっていた。
 この町には冒険者ギルドがあるらしい。

 「冒険者ギルドに、寄ってみるか?」

 「行きたい!」

 お店を開いてからは、依頼を受けることがなくなっていたから、ギルドに行くのは久しぶりだ。
 ジュードは、強い魔物討伐の依頼だけ受けていた。アットウェルには結界が張ってあるけど、元々アットウェル国内に住んでいた魔物は国の中にいる。王子をやめても、国の為に頑張るジュードを誇らしく思う。

 ギルドに入ると、リバイの冒険者ギルドと変わらない雰囲気で、少し安心した。場所は違うけど、何だか懐かしい。
 
 「ハリアルの冒険者ギルドへようこそ! どのようなご用件でしょうか?」

 話しかける言葉も同じなんて、マニュアルでもあるのか……

 「私達は既に登録しているので、気にしないでください」

 お姉さんは返事をした私ではなく、ジュードのことをじっと見つめている。

 「あの……もしかして、ジュードさんですか?」

 お姉さんの目が、ハートになってるように見える。

 「そうだけど?」

 「やっぱり! レッドドラゴンを倒した英雄!! 私、大ファンなんです! 」

 今度は目をキラキラさせるお姉さん。
 他にもドラゴンを倒していたんだ……

 お姉さんが大声で言ったから、ギルドに居た冒険者達がいっせいにジュードを見た。

 「……サンドラ、出よう」

 「そうね」

 結局、ゆっくりギルドの中を見ることは出来なかったけど、ジュードは凄いのだと再認識出来た。

 ギルドを出て宿屋を見つけ、部屋を一部屋とった。部屋に入ると、ジュードが後ろから抱きしめてきた。

 「……ギルドをゆっくり見られなくてごめんな」

 ジュードはいつも私のことを考えてくれる。

 「いつでも行けるんだから、気にしないで」 

 王子としてではなく、冒険者として認識されていた。しかも、英雄。
 身分なんて関係なく、ジュードが認められている証拠。
 こんなに素敵な人が、私の大好きな旦那様なんだ…… 

 「今、何考えてる?」

 私の心の声、聞こえてないよね……?

 「あ、明日のこと……かな」

 抱きしめてる腕が、少しだけ強くなる。

 「嘘つきだな。惚れ直したんだろ?」

 ジュードには、隠し事なんか出来ないみたい。
  
 「そうだよ。私は毎日、ジュードに恋をすると思う。大好きで大好きで……凄く幸せなの」

 ジュードは私を抱きしめる腕を緩めると、自分の方に向かせた。

 「素直でよろしい……」

 そう言って、優しくキスをした。

 この日、私達は結婚してから初めての、素敵な夜を過ごした。


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