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37、最高の幸せ
「ジュードか、久しぶりだな。俺にはなんの相談もなく平民になりやがって、兄さんは悲しいかったぞ!」
オーウェン殿下は、わざとらしく悲しい顔を作って見せた。
「殿下に話したら、許してくれなかったでしょう? ただ、殿下に全ての重荷を背負わせてしまったことは、申し訳ないと思っています」
殿下はジュードの肩に手を置き、さっきまでとは違い真面目な顔をした。
「お前が幸せなら、それでいい。良い奥さんを貰ったな」
この2人は、エヴァン様とオスカー様の兄弟とは全く違う。お互いを、心から思っているのだと分かる。
「サンドラーーー!! ふざけないでよ! 私の幸せを、あんたは全部壊した! 返してよ!!」
兵士に捕らえられたアンナが、見えなくなるまで大声で叫んでいた。私達姉妹も、エヴァン様達のことは言えないわね。
今日は結婚式……アンナは、ヒルダの貴族の妻になった。捕らえられた貴族は、罪の重い者から順に処罰されることになる。
全ては、オーウェン殿下にお願いしてある。私はこの国をなくした存在なのだから、これからも関わるつもりはない。
ただ、この国はなくなったけど、アットウェルの一部になったのだから、私にも出来ることがある。
ジュードの顔を見ると、頷いてくれた。
私は目をつぶって両手を組み、祈り始める。
私の身体が温かい光に包まれていく感覚……この感覚をヒルダ全体に……
光は上空まで伸びてから、ヒルダを包み込んで行く……
「これが、聖女様の力か……」
「まるで心が洗われるようね」
貴族以外の国民は、受け入れてくれてるみたい。いきなり現れた私が、この国を終わらせたのに、きちんと受け入れてくれていることに感謝している。
結界を張り終え、私達はナージルダルへと戻った。
ヒルダの王族殺しに関わった貴族や、それを知っていて見て見ぬふりをした貴族は、皆処刑された。オーウェン殿下が、ヒルダの王族の仇をとってくれた。
自分達の為に国民を苦しめ、奴隷を使っていた他の貴族達は、爵位を剥奪され、アットウェルを国外追放となった。アンナは、また国を追放された。
私達は、いつもの暮らしに戻っていた。
「あたしね、冒険者になりたい!」
最近の悩みは、レニーが冒険者に興味を持ち出したことだ。
「もう少し大きくなったらね!」
「ぶーっ」
ふくれっ面で私を見るレニー。
「そんな顔してもダメ。冒険者はね、死と隣り合わせなんだよ? レニーには、危険なことをして欲しくないの」
レニーはまだ9歳。
最近は、ティアと一緒に魔法の勉強をしてるけど、まだまだ子供だ。
ジュードの活躍してる姿を見てるから、少しでも手伝いたいって思ってるんだと思う。
いつかは、ジュードと一緒に魔物討伐に行くんだろうなという寂しい気持ちになる。
私としては、一緒にお店をやりたいのに……
「サンドラ様! 我はずっとサンドラ様のお側を離れません!」
ティア……気持ちは嬉しいけど、あなたにはレニーを守るために一緒に行ってもらうわ。
「サンドラ、ただいま~」
依頼を終えて、ジュードが帰って来た!
「「「お帰りなさい!」」」
毎日が、本当に幸せだ。
ロックダムにいた頃は、まさかこんな日が来るなんて思ってもみなかった。
ティアと出会い、レニーと出会い、ジュードと出会えたこの奇跡に、神様……感謝します!
END
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