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11、光に包まれて
しおりを挟む最後に二人を会わせて欲しいと、陛下にお願いした。シンシアはまだ、ジョセフ殿下を信じている。信じたまま死ねた方が、幸せなのに……少なくとも、私はそうだった。愛する人に裏切られ、親友に裏切られたと知って死んだあの日から、私の心は救われる事がなかった。
陛下は、私の願いを聞き入れてくれた。そして二人は、一緒に毒を飲む事になった。
「見届けなくていいのか?」
ジョセフ殿下とシンシアは、今日処刑される。
「私は、あの二人に苦しめられて来ました。何度殺されても、またやり直す日々に絶望した事もあります。今こうしていられるのは、クラウェル公爵が協力してくださったおかげです。私は生きている……。ジョセフ殿下とシンシアの結末は、分かっています。ですから、私は二人の最期を見届けるつもりはありません」
正直、何度も二人を殺してやりたいと思っていた。でもいざ処刑されるとなると、そんな姿は見たくない。きっと、シンシアにとっては毒を飲む事よりも、ジョセフ殿下の気持ちを知る事の方が苦しいだろう。それでも、最後に愛する人に会いたいという気持ちも分かる。これが正解だったのかは分からないけど、親友の最後の願いだから。
◇ ◆ ◇
地下牢に兵士の足音が響く。
シンシアは牢から出され、ジョセフと同じ牢へ入れられる。
「ジョセフ様……お会いしたかった……」
嬉しそうに微笑むシンシアを、ジョセフは睨みつける。
「最期に見る顔がお前の顔だなんて、なんの冗談だ? 一番見たくない顔を見せて、嫌がらせか?」
「ジョセフ……様? なぜそのような事を? 私は、全てをジョセフ様に捧げて来ました! レオナが私を蔑んでいると、教えてくれたから私は……」
「そんな話を信じるなんて、バカな女だな。レオナは、お前を蔑んでなどいない。私がレオナと会ったのは、お前が騙して呼び出したあの日だけだ。すぐに騙されてくれて、使えそうだったから相手してやっていたのに、お前のせいで全てが台無しだ。早く死ね!」
シンシアはその時初めて、自分が間違っていたのだと知った。
「私は、なんて事を……」
兵が二人を跪かせ、毒入りの器を手渡す。
「刑を執行する!」
その言葉と共に、二人は毒を飲み干す。
ジョセフは国を恨み、シンシアを恨み、レオナを恨み、アンディを恨み、苦しみながら息を引き取った。
そしてシンシアは、自分の罪を悔い改め、レオナに謝りたいと願いながら息を引き取った。
二人を会わせたのは、間違いではなかったのかもしれない。
◇ ◆ ◇
ジョセフ殿下とシンシアが処刑されて、三ヶ月が過ぎた。
陛下は、クラウェル公爵に譲位する事を発表した。初めて死に戻った時よりも、二年も早かった。ジョセフ殿下の罪が明らかになったあの日から、落ち着いたら譲位すると考えていたようだ。
「まさか、冷酷と噂される私が国王になるとは考えてもみなかった」
「陛下は、誰よりもお優しい方ではありませんか。三年前のあの時も……」
「……聞いたのか」
三年前、捕虜を皆殺しにしたのは彼らが実は投降したのではなく、スパイとして送り込まれていたからだった。彼らは家族を人質に取られ、命懸けで情報を得ようとしていた。情報を渡す事は出来ない……かといって、彼らを解放すれば家族は皆殺しにされる。アンディ様は自ら悪者になり、捕虜を皆殺しにした。スパイとしてではなく、冷酷な英雄が捕虜を皆殺しにしたと思わせる事で、彼らの家族を守ろうとしたのだ。
「私は、婚約者ですよ? もうすぐ妻になります。隠し事は、許しません」
「君には、驚かされてばかりだ。隠し事など、出来そうにないな」
その瞬間、アンディ様の腕の中に居た。
「陛下……?」
アンディ様の顔を見上げようとすると、更にきつく抱きしめられた。
「いつからか、どうしようもない程レオナに惹かれていた。君が無茶をする度、心臓が止まるのではと思う程心配した。これからも、君を守る。だから、ずっと私の側に居てくれ」
アンディ様の、切なく掠れる声が心に響く。
「……婚約者に指名したのは、私ですよ? お忘れですか?」
もうすぐ結婚するというのに、私達の恋は始まったばかりだ。
その時、手の紋章が光り出し、国中を包み込んだ。まるで、私達を祝福しているかのように……
END
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出来ればなのですが
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番外編書いていただけたらなっと思います。
m(_ _)m
感想ありがとうございます( *ˊᵕˋ*)
考えてみますね。
完結㊗お疲れ様でした✨✨✨
早かった😺
2人のエピソードとかもっと
読みたかったです💗
何回も何回も死に戻りは
「あっ!!また同じところから」と
本人にしたら大変(笑)💦
楽しく読ませて頂きました♪
最後まで読んでいただきありがとうございました( *ˊᵕˋ*)
二人のエピソード、少なかったですね💦
ですよね。うんざりしますね。
頑張ったのにまた?みたいな笑
楽しんでいただけて良かったです!ありがとうございます!
完結おめでとうございます!
ジョセフとシンシアの最後の逢瀬、予想通りでレオナが立ち会わなかったのは正解。意外だったのはジョセフが正真正銘のクズでシンシアの方が一途だった感があり。憎しみは愛の裏返しと言うし、まかり間違えていればシンシアが彼にとどめの一刺しを入れていたかも?
今作は死に戻りからのサバイバルがメインだったので常に緊迫感がありました。
最後まで読んでいただきありがとうございました( *ˊᵕˋ*)
最初は主人公殺してまでシンシアを王妃にしようとしてたのに、シンシアが失敗したら愛が消え去っちゃいましたね。ジョセフは結局、自分が一番大事だっただけですね。
誰に殺されたか分からない状態の方が、ミステリー感覚で楽しめたかもですね。←今思い付きました笑