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奇跡
しおりを挟むリサが倒れてから、10日が過ぎた。
「リサ……目を開けてくれ。
私を愛さなくても構わない。君が笑顔でいてさえくれれば、私は幸せなんだ……」
ほとんど睡眠を取らず、リサに付きっきりのロベルト。ルビーもずっと、後ろで見守っていた。
「陛下、王妃様がリサ様を狙ったとお考えですか?」
ずっと黙って見守っていたルビーが口を開いた。
「……お前はどう思う?」
「王妃様は確かに、リサ様に嫌がらせをしていました。ですが、リサ様はいつも、子供の嫌がらせみたいだと笑っていらっしゃいました。だから、香水もお付けになったのだと思います。」
「そうか……
リサは嫌がらせされていたのか。私は守ってやる事さえ出来なかった……」
ロベルトの目から、涙がこぼれ落ちた。
「リサ様は、陛下に感謝しておりました。そして、陛下を信じていらっしゃいました。
リサ様の為にも、真犯人を捕まえてください。」
ルビーの言葉を聞き、ロベルトはイスから立ち上がった。
「リサを頼む。」
そう言うと、部屋から出て行った。
リサが倒れてから、2週間が過ぎた。
「……………………………………」
私、どうしたんだっけ?
確か、お茶会に出席しようとしていたはず……なんだけど、どうして横になってるの?
目を開けたリサは、辺りを見渡した。
「リサ様!? リサ様、私が分かりますか!?」
「ルビー、どうしたの? そんな驚いた顔をして。」
「リサ様……よかった……」
ようやく目覚めたリサを見たルビーは、涙を堪え切れずに号泣した。
思い出した。私はきっと、殺されかけた……
「そんなに泣いて、子供みたいね。」
わんわん泣くルビーの頭を撫でるリサ。
「陛下に……すぐに、陛下にお知らせして来ます!」
リサが目を覚ましたことが嬉しくて、ルビーは急いでロベルトを呼びに行った。
「泣いたり笑ったり、忙しい子。」
コンコン……
ルビーが出て行ってすぐに、ノックの音がした。
「はい。」
返事をすると、ドアを開けてレノンが入って来た。
「リサ様! お目覚めになられたのですね!!
本当に…………悪運の強い女。」
レノンはベッドにいるリサへと近付いてくる。
「……やっぱり、あなたの仕業ですね。」
「あら、気付いていたんですか?」
「意識を失う寸前、あなただと分かりました。私が死ななくて、残念でしたね。」
少しずつ近付いてくるレノンに怯えることなく、リサは冷静だった。
「別に、リサ様に死んで欲しいなんて思ってなかったですよ?
…………いいえ、やっぱり死んで欲しかった! あんたが1番、邪魔なのよ!!」
レノンはリサの首に手をかけ、思い切り絞めた!!
……くるし……
バンッ!!!
「リサ様から離れろ!!」
そこに、兵士が入って来た!
「ゴホッゴホッ……」
苦しそうに咳をするリサ。
「な!? どうして!?」
レノンは兵士に取り押さえられた!
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