賭けに勝った令嬢は籠の鳥から解放されるようです

coyubi

文字の大きさ
4 / 7

4.

しおりを挟む

玉座の下、階段の手前で止まり礼をする


「初めのお言葉を賜る栄誉に感謝致します。」

「うむ、構わん。
 もっと、こちらまで来なさい。」


御前まで行くの…?!
通常はここでお話をさせて頂く筈…

周囲の人々もひそひそと驚いているようだ


「は、はい…有り難きご配慮に従います。」


仕方ない、陛下が来いというのだから
行かない訳にはいかないものね
緊張で足が重い、でも一歩ずつ進む


「到着致しましてございます、陛下。」


「顔を上げなさい、
 名を教えてくれるか?」

「金色の至宝に止めて頂くだけで身に余る栄誉です。
 私はパルスヴァイン公爵が娘、
 フェリシア・パルスヴァインと申します。」

「ほう、やはり近くで見ると誠に美しい
 それに建国記第十章か…
 その歳で読んでおるとは、なんと聡明な子だ。」


陛下だけではなく、貴族達からも感嘆の声があがる
掴みは上々だったみたい、良かった…

金色の至宝とは、建国記に出てくる表現だ
建国者である陛下の祖先は
神より金色の宝玉を賜ったことにより
瞳の色が金色に変化し、その後生まれる子孫も
代々瞳が金色をしている為、王家の証となっている

建国記は5冊で一つの物語になっている
だが物語というには子供にとって難しい表現も多く、
1冊が5センチ位の分厚さになっている
その為、学習するのは13歳で学園に入ってから
というのが大抵の貴族の認識である


やっぱり早いわよね、凄く難しかったもの
お父様から渡されたのが5歳の時だったから
読めるようになるまで1年はかかったかな…
この時の為に読ませたのでしょうね
そればかりはお父様に感謝だわ



「まだ幼きこの身には理解が及ばぬ所もありますが
 この国に生きる者として読んでおかなければ、と。」

「人民としての自負もある、と…。
 そなたの価値は美しさだけには留まらぬようだ。
 これからもよく励みなさい、民の為に。」

「はい、この国と民の為日々精進致します。」


再び礼をし階段を降りる、最後まで気は抜けない
上がる前よりも視線が降り注いでいる
最後の礼までを終わらせ、足早に両親の元まで戻る
何も失敗していない筈…大丈夫だったかしら…


「お言葉を賜りました、…お父様。」

「あぁ、陛下のお言葉通り励みなさい。」


恐る恐るお父様を見るがこちらを向く事もない
それだけか…労いの言葉も無いのね
緊張からの解放と落胆でどっと疲れが押し寄せる
汗の滲んだ手が気持ち悪いし、少し1人になりたい…


「はい、お父様。
 …少し席を外しても宜しいでしょうか?」

「ん…?あぁ、早く戻るのだぞ。」

「はい、ありがとうございます。」


了承を貰い、外へと向かう
周囲の視線は次の子に移っていたので丁度良かった
足早に扉を抜け、周囲に人がいない事を確認して
大きく溜息をつき、少しだけ気持ちが落ち着いた




「お手洗い…どこなのかしら…。」


初めてくる王宮、軽く説明は受けていたが
あまりの広さに目的の場所が見つけられないでいた

早く戻らないといけないのに、どうしましょう…
諦めて一度戻ってみようかしら

そう踵を返そうとした時、
不意に呼びかけられた



「ねぇ…ここで何してるの…?」




………………………………………………

お読み頂きありがとうございました!
少しづつ、見返しては気になる部分を修正しています。

何か気になる所など有れば
教えて頂けるとありがたいです。
よろしくお願いします!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました

Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。 伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。 理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。 これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。

どうぞお好きになさってください

みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。 婚約者の第一王子殿下は言った。 「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」 公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。 「好きになさればよろしいわ」

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

処理中です...