17 / 83
4.天使の告白
2
しおりを挟む
夜になって、気を利かせたレティシアが、馬小屋に、水筒と食事とシーツを、運んできた。
食事といっても、昼間ノックスを出る直前に、サニーで作らせた、ベーコンを挟んだパンに、じゃがいもという質素なものだったが。
ベッドを作りましょうか、と気遣うレティシアに、リックはそっけなく、必要ない、と告げて追い返した。
やはり、気を許してはならない女だという思いは、消えなかった。
さすがにあのまま土手で夜を過ごすのは肌寒く、リックは馬小屋の片隅に、藁でベッドを作って、休んでいた。
寝心地は悪くなかった。
静かだった。
馬たちも大人しかった。
裏手を流れる川の水音以外は、何の音も聞こえなかった。
バッカスのリックの部屋とは、随分な違いだった。
バッカスでは、絶えず何か物音がしていた。
足音、話声、笑い声、そういった音が、どこかしらから、漏れてくるのだった。
それに比べると、本当に、静かな夜だった。
だから、納屋のドアが、ギイッと軋みを上げて開く音が、はっきりと聞こえた。
リックは、跳ね起きた。
刺客か?
じっと耳を澄ます。
草地を踏みしめる、足音した。
納屋の中から、誰かが出て来たようだった。
リックが、馬小屋からそっとのぞくと、灯りを手にした者が、どこかに向かっていた。
アンジェラだった。
こんな時間にひとり、寝間着にケープを羽織った姿で、一体どこへ行くんだ。
リックは、いぶかしげに思って、後をつけた。
アンジェラは、リックに全く気付いていなかった。
川の土手を少し上流の方へ辿って行くと、木立があって、アンジェラはその中へ入って行った。
まさか、妙なことは考えてないだろうな。
リックは、アンジェラが身投げでもする気じゃないかと、心配になってきた。
このあたりは、川も深さがありそうだった。
けれども、アンジェラは木立の中で、灯りを手に、暗い川面を見つめて、哀しげな顔で、じっと立ちすくんでいる。
納屋に戻る気配は、なかった。
「そこで何をしているんだ」
リックの声に、アンジェラは、はっ、として、後ろを振り返った。
一瞬、驚いた表情になったアンジェラだったが、リックを認めると、ほっとしたように少し笑った。
「心配させてしまった?ごめんなさい」
「こんな時間に、危ないぜ。川に落ちたりしたら、どうするんだ」
リックは、アンジェラの傍まで歩み寄った。
「寝ないと具合は、良くならないぜ」
「リック、お昼間は本当にごめんなさい」
「言っただろう。俺は別に怒ってない。あれはただ・・・、蜂に刺されたんだ。お前とは関係ない」
「そうなの?」
アンジェラは、小さく声を上げて笑った。
考えてみれば、アンジェラとまともに話をしたのは、これが初めてだった。
アンジェラは、いつも、フィリップかレティシアの後ろに隠れるようにしていた。
アンジェラは、今、少し笑顔を見せたものの、すぐに、哀しそうな表情に戻って、川面を見つめた。
そして、しばらく言葉を探しているようだったが、
「リック、私ね、お兄様とは、本当の兄妹じゃないの」
突然、そう切り出した。
その澄んだ声は、妙にくっきりとリックの耳に届いた。
「私は四歳の時に、デュヴィラール家へ引き取られたの」
川の水音は、もうリックの耳に入ってこなかった。
「私の本当の家は、あまり裕福ではない貴族だったのだけど、本当のお母様は、私を産んですぐに亡くなったの。そして、お父様も私が四歳の時に、病気で亡くなってしまって、何処にも引き取り手のない私を、遠縁にあたるお兄様のお母様が、不憫に思って、引き取ってくださったの。ご自分も、国王陛下のお傍を追われて、大変な生活をしてらしたのに、デュヴィラールのお母様は、私を引き取ってくださったの」
アンジェラは、静かに話し続ける。
柔らかな巻き毛が、風になびいた。
「お兄様ったらね、デュヴィラールのお屋敷で初めて会った時、四歳の私を見て、天使が来たって、そう思ったんですって」
その時のことを思い出したのか、アンジェラは、ふふっと笑った。
「おかしいでしょう?私、本当にやせっぽちで、緊張して泣きそうだったのに。私は幼かったけれど、その時のことは、何故だかはっきり覚えているわ。お兄様が、僕の妹だって、喜んで、抱きしめてくれた日のことを」
アンジェラは、嬉しそうだった。
「デュヴィラール家へ来てから、お兄様は、本当に私を大切にしてくれた。お母様が亡くなってからは、それまで以上に、大切にしてくれたわ。お兄様が、士官学校へ進んだのも、軍人になって、働いて、私に少しでも楽な生活をさせてやりたいと、思ってくださったからなの」
と、アンジェラはここで言葉を切って、
「リック、笑わないで聞いてね」
と、少しうつむいた。
そして、
「私、お兄様が好きなの」
そう告げた。
リックは、どう答えていいかわからなかった。
十四歳の少女から、このような告白をされるとは、夢にも考えたことがなかった。
「私、お兄様のことが好きなの。だから、これ以上、足手まといにはなりたくないの。だから・・・、だから、リック、私をここへ置いて行ってくれない?」
「どういうことだ?」
「私がいれば、ウッドフィールドへ着くのが遅くなるわ。今日みたいなことも・・・、たびたびあるかもしれない。そうするうちに、お兄様は狙われて、殺されてしまうかもしれない。私、それだけは、どうしてもいやなの」
アンジェラは、泣き出しそうな顔をしていた。
「私、そんなに長くは生きられないと思うの。だから、私のせいで、お兄様が犠牲になるのだけは、絶対にいやなの。だから、リック、私をここへ置いて行ってくれない?レティシアは、きっと私と一緒にここに残るって言うと思うの。それは、レティシアとよく相談することにするから、お兄様を説得してくれない?先に、ウッドフィールドへ行くように」
灯りの中で、リックをまっすぐに見つめる少女の灰色の瞳は、真剣だった。
それで、リックは、フィリップを思うアンジェラの気持が、妹としてのものではなく、恋なのだとはっきりわかった。
「お願いよ・・・」
細い華奢な手が、懇願するようにリックの腕を掴んだ。
アンジェラの嗚咽が、リックの耳に入った。
リックに、慰めの言葉は思いつかなかった。
この病弱で華奢な少女を、どう慰めるべきかなど、リックに考えつくはずもなかった。
けれども、アンジェラの幼くも真摯な想いには、胸を突かれるものがあった。
「泣くな」
リックは、そう言うと、アンジェラの頬の涙を指で拭った。
灯りに照らされて、リックを見上げるアンジェラの瞳は、まだ涙を含んでいた。
「ウッドフィールドへは、みんなで行くんだ」
「リック・・・」
「ウッドフィールドへは、みんなで行くんだ。フィリップも、お前も。いいな」
リックはそう言い聞かせるように言うと、アンジェラから灯りを取って、その手を引いて、来た道を戻り始めた。
少し進んだところで、木立に立つ人影が見えた。
リックが灯りをかざすと、レティシアだった。
じっと、こちらを真剣な眼差しで見つめていた。
今の話を、聞いていたようだった。
リックは、その傍を通り過ぎる際、無言のまま、レティシアに灯りを渡した。
そして、アンジェラの身体も、渡した。
「リック」
そのまま立ち去ろうとするリックを、レティシアが呼び止める。
振り返ったリックに、
「ありがとう、リック」
レティシアは、静かに言った。
リックは、何も答えずに、黙って立ち去った。
食事といっても、昼間ノックスを出る直前に、サニーで作らせた、ベーコンを挟んだパンに、じゃがいもという質素なものだったが。
ベッドを作りましょうか、と気遣うレティシアに、リックはそっけなく、必要ない、と告げて追い返した。
やはり、気を許してはならない女だという思いは、消えなかった。
さすがにあのまま土手で夜を過ごすのは肌寒く、リックは馬小屋の片隅に、藁でベッドを作って、休んでいた。
寝心地は悪くなかった。
静かだった。
馬たちも大人しかった。
裏手を流れる川の水音以外は、何の音も聞こえなかった。
バッカスのリックの部屋とは、随分な違いだった。
バッカスでは、絶えず何か物音がしていた。
足音、話声、笑い声、そういった音が、どこかしらから、漏れてくるのだった。
それに比べると、本当に、静かな夜だった。
だから、納屋のドアが、ギイッと軋みを上げて開く音が、はっきりと聞こえた。
リックは、跳ね起きた。
刺客か?
じっと耳を澄ます。
草地を踏みしめる、足音した。
納屋の中から、誰かが出て来たようだった。
リックが、馬小屋からそっとのぞくと、灯りを手にした者が、どこかに向かっていた。
アンジェラだった。
こんな時間にひとり、寝間着にケープを羽織った姿で、一体どこへ行くんだ。
リックは、いぶかしげに思って、後をつけた。
アンジェラは、リックに全く気付いていなかった。
川の土手を少し上流の方へ辿って行くと、木立があって、アンジェラはその中へ入って行った。
まさか、妙なことは考えてないだろうな。
リックは、アンジェラが身投げでもする気じゃないかと、心配になってきた。
このあたりは、川も深さがありそうだった。
けれども、アンジェラは木立の中で、灯りを手に、暗い川面を見つめて、哀しげな顔で、じっと立ちすくんでいる。
納屋に戻る気配は、なかった。
「そこで何をしているんだ」
リックの声に、アンジェラは、はっ、として、後ろを振り返った。
一瞬、驚いた表情になったアンジェラだったが、リックを認めると、ほっとしたように少し笑った。
「心配させてしまった?ごめんなさい」
「こんな時間に、危ないぜ。川に落ちたりしたら、どうするんだ」
リックは、アンジェラの傍まで歩み寄った。
「寝ないと具合は、良くならないぜ」
「リック、お昼間は本当にごめんなさい」
「言っただろう。俺は別に怒ってない。あれはただ・・・、蜂に刺されたんだ。お前とは関係ない」
「そうなの?」
アンジェラは、小さく声を上げて笑った。
考えてみれば、アンジェラとまともに話をしたのは、これが初めてだった。
アンジェラは、いつも、フィリップかレティシアの後ろに隠れるようにしていた。
アンジェラは、今、少し笑顔を見せたものの、すぐに、哀しそうな表情に戻って、川面を見つめた。
そして、しばらく言葉を探しているようだったが、
「リック、私ね、お兄様とは、本当の兄妹じゃないの」
突然、そう切り出した。
その澄んだ声は、妙にくっきりとリックの耳に届いた。
「私は四歳の時に、デュヴィラール家へ引き取られたの」
川の水音は、もうリックの耳に入ってこなかった。
「私の本当の家は、あまり裕福ではない貴族だったのだけど、本当のお母様は、私を産んですぐに亡くなったの。そして、お父様も私が四歳の時に、病気で亡くなってしまって、何処にも引き取り手のない私を、遠縁にあたるお兄様のお母様が、不憫に思って、引き取ってくださったの。ご自分も、国王陛下のお傍を追われて、大変な生活をしてらしたのに、デュヴィラールのお母様は、私を引き取ってくださったの」
アンジェラは、静かに話し続ける。
柔らかな巻き毛が、風になびいた。
「お兄様ったらね、デュヴィラールのお屋敷で初めて会った時、四歳の私を見て、天使が来たって、そう思ったんですって」
その時のことを思い出したのか、アンジェラは、ふふっと笑った。
「おかしいでしょう?私、本当にやせっぽちで、緊張して泣きそうだったのに。私は幼かったけれど、その時のことは、何故だかはっきり覚えているわ。お兄様が、僕の妹だって、喜んで、抱きしめてくれた日のことを」
アンジェラは、嬉しそうだった。
「デュヴィラール家へ来てから、お兄様は、本当に私を大切にしてくれた。お母様が亡くなってからは、それまで以上に、大切にしてくれたわ。お兄様が、士官学校へ進んだのも、軍人になって、働いて、私に少しでも楽な生活をさせてやりたいと、思ってくださったからなの」
と、アンジェラはここで言葉を切って、
「リック、笑わないで聞いてね」
と、少しうつむいた。
そして、
「私、お兄様が好きなの」
そう告げた。
リックは、どう答えていいかわからなかった。
十四歳の少女から、このような告白をされるとは、夢にも考えたことがなかった。
「私、お兄様のことが好きなの。だから、これ以上、足手まといにはなりたくないの。だから・・・、だから、リック、私をここへ置いて行ってくれない?」
「どういうことだ?」
「私がいれば、ウッドフィールドへ着くのが遅くなるわ。今日みたいなことも・・・、たびたびあるかもしれない。そうするうちに、お兄様は狙われて、殺されてしまうかもしれない。私、それだけは、どうしてもいやなの」
アンジェラは、泣き出しそうな顔をしていた。
「私、そんなに長くは生きられないと思うの。だから、私のせいで、お兄様が犠牲になるのだけは、絶対にいやなの。だから、リック、私をここへ置いて行ってくれない?レティシアは、きっと私と一緒にここに残るって言うと思うの。それは、レティシアとよく相談することにするから、お兄様を説得してくれない?先に、ウッドフィールドへ行くように」
灯りの中で、リックをまっすぐに見つめる少女の灰色の瞳は、真剣だった。
それで、リックは、フィリップを思うアンジェラの気持が、妹としてのものではなく、恋なのだとはっきりわかった。
「お願いよ・・・」
細い華奢な手が、懇願するようにリックの腕を掴んだ。
アンジェラの嗚咽が、リックの耳に入った。
リックに、慰めの言葉は思いつかなかった。
この病弱で華奢な少女を、どう慰めるべきかなど、リックに考えつくはずもなかった。
けれども、アンジェラの幼くも真摯な想いには、胸を突かれるものがあった。
「泣くな」
リックは、そう言うと、アンジェラの頬の涙を指で拭った。
灯りに照らされて、リックを見上げるアンジェラの瞳は、まだ涙を含んでいた。
「ウッドフィールドへは、みんなで行くんだ」
「リック・・・」
「ウッドフィールドへは、みんなで行くんだ。フィリップも、お前も。いいな」
リックはそう言い聞かせるように言うと、アンジェラから灯りを取って、その手を引いて、来た道を戻り始めた。
少し進んだところで、木立に立つ人影が見えた。
リックが灯りをかざすと、レティシアだった。
じっと、こちらを真剣な眼差しで見つめていた。
今の話を、聞いていたようだった。
リックは、その傍を通り過ぎる際、無言のまま、レティシアに灯りを渡した。
そして、アンジェラの身体も、渡した。
「リック」
そのまま立ち去ろうとするリックを、レティシアが呼び止める。
振り返ったリックに、
「ありがとう、リック」
レティシアは、静かに言った。
リックは、何も答えずに、黙って立ち去った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる