騎士団長のお抱え薬師

衣更月

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昼食会

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 鶴の一声とは言ったもので、公爵様の「泊っていきなさい」の言葉で呆気なく日帰り予定が宿泊となった。
 私の着替え一式が用意されていたのには驚いたけど、それは療養期間の余りかもしれないと思うと納得の出来事だ。
 テーブルマナーに不安を残す食事会の覚悟も、夕食はジャレッド団長と2人きり。その後も公爵様たちと顔を合わせることはなかった。時折、使用人たちが「不自由はありませんか?」と声をかけてくれるくらいで、寝るまで図書室で過ごし、朝起きてからも図書室で過ごすという贅沢なひと時を得られた。
 だから油断していたのだ。
 あとは辞去するだけのはずなのに、図書室に迎えに来たのはジャレッド団長ではなくディアンネだった。
 支度を整えられて不思議に思っていたけど、公爵家の面々が勢揃いした昼食会に放り込まれて納得した。
 しばらくして、「遅れた」と、泰然と着席したのはジャレッド団長とハワード団長だ。
 2人で剣を交えていたとかで、湯あみ後の爽やかな香りに包まれている。まだ少し湿り気のある髪と、仄かに赤らんだ頬が、色気を孕んで目に悪い。特にハワード団長。
 さらに遅れてグレン団長が、「間に合った!」と駆け込み、公爵夫人にちくりと叱られ、緊張の昼食会は始まった。
「揃ったな。では食事にしようか」
 にこにことした笑みで、公爵様が手を挙げて合図を送ると、使用人たちが一斉に動き出す。
 ハワード団長に招かれた食事会の時は、夜だったからか一品一品運ばれて来たけど、昼食は異なるらしい。
 一斉に料理が運ばれてくる。
 トウモロコシのポタージュと生ハムを添えた彩りのあるサラダ。
 なぜか、サラダは私を含めた女性陣の前だけなのだけど…。
 あとは肉料理が次々と運ばれてくる。
 パンは相変わらずテーブルの端っこに配膳され、前回同様に後ろに控えている使用人に頼んで取ってもらうスタイルらしい。前回は通称黒パンと呼ばれるライ麦パンだったけど、今回は小麦を使た白パンだ。
 キャトラル王国では庶民の黒パン、貴族の白パンと呼ばれているけど、クロムウェル領は広大で肥沃な大地に恵まれているためか、小麦やライ麦に事欠かない。庶民だろうと白パンが買えるし、貴族だって黒パンを楽しむ。
 ちなみに、ジャレッド団長は噛み応えのあるライ麦パンの方が好きらしく、厚切りのベーコンとスクランブルエッグ、クリームチーズを挟んだ特大サンドイッチをピーターに作らせることがある。そのサンドイッチはジャレッド団長だけでなく、貴族出身の団員たちも普通に食べているので、貴族だからと黒パンを忌避する文化はこちらにはないらしい。
 私はライ麦パンよりも白パン派。
 例え庶民価格の白パンであろうとも、私にとっては最高の贅沢品だ。焼きたての白パンに甘いジャムをたっぷり塗って食べることの背徳感は、ハノンでは決して味わえない。
 今回の白パンの横には、コケモモのジャムとラズベリーのジャム、バター、オリーブオイルが小さなキャニスターに入って並んでいる。かと思えば、豚肉を煮込み、ペースト状に作られたリエットが盛られたボウルもある。
「イヴ、パンが気になるのか?イヴはパンが好きだからな」
 不意打ちの如くジャレッド団長に訊かれ、慌てて目を逸らす。
「そんなに見てましたか?」
 食い意地が張ってると思われただろうか…。
 ちらり、と正面に座る公爵様や、その隣に座るゴージャス美人の公爵夫人に視線を走らせると、にこにことした笑顔で私を見ている。
 ひぃ~恥ずかしい!
 頬に熱を籠らせながら俯けば、公爵夫人の横に座るハワード団長が「ああ」と小さく頷いた。
「確か、ゴールドスタイン領は麦栽培は適さない土地だったかな」
「は…はい。領都では分かりませんが、私の故郷だと白パンは見たことがないです。たまに黒パンを見るくらいですが……」
「え!?パンないの!?何をたべるの!?」
 タイラーが目を円め、テーブルに手をついて体を乗り出し、ヴィヴィアン様とお付きの侍女に窘められた。
「向こうでは蕎麦粉を使ったパンが一般的です。でも、やっぱりパンより馴染みのある主食は、ガレットや蕎麦粥カーシャです。ガレットは美味しいですよ」
「ガレットってクレープ包みみたいなのだったっけ?」
 と、ジャレッド団長の隣に座るグレン団長が口にすれば、公爵様も頷く。
「クレープ!たべたぁい!」
 両手を上げて、キャッキャとはしゃぐイヴァンに、使用人の1人が目礼して去って行く。
 あれは料理長にクレープのリクエストを伝えに行ったのだろう。
「土地が違えば食事が変わるのは面白いことだね。帝都もこことは違うから、たまにしか足を向けない私には辟易することがあるよ」
「父上だけではありませんよ。中央とは言え、帝都は南寄りですからね。南部の香辛料を好む性質が強すぎます」
 ハワード団長が辟易したように目玉を回し、帝都の食事を思い出したのか、ジャレッド団長とグレン団長が渋面を作った。
 広大な国土というのは、食に関しても振り幅が大きいらしい。
 特に香辛料は、種類によっては金貨を積むような高価なものがあるらしく、中央貴族は羽振りの良さを示すために大量の香辛料料理を振る舞うのだとか。汗が噴き出すような辛さの料理もあり、腹を下す者も多いという。
 味も健康も二の次というのが怖い。
 公爵様とグレン団長が南部料理をこき下ろすのを無視するように、私の傍に前回と同じ使用人が膝を付いた。
 控え目な声量で、次々に並ぶ肉料理の説明が始まる。
 まず、悪ふざけのようにナイフを突き立てた大きな肉塊は、ローストした豚脚のシュバイネハクセだ。豪快すぎて、本当に公爵家の食卓なのか目を疑いたくなる。
 シュバイネハクセを囲むように、オオツノジカの脛肉をエールで煮込んだカルボナード、カモのポワレ、極太の腸詰肉と、見るだけでお腹一杯になる料理が配膳される。
 腸詰肉はお馴染みのジャイアントソーセージとレバーソーセージ、チーズ入りサラミの3種類だ。
 肉料理の中でも手の込んだものが、最後に配膳されたジャッカロープのローストの横に並ぶロニョナードなるものらしい。
 ロニョナードが何かと訊けば、ジャッカロープの背肉で内臓やひき肉、ハーブ、茸を包み込んだシェフ渾身の料理だと教えてくれる。
「食べる順番などは気になさらず、好きなようにお食べ下さい」という助言も得た。
 不敬かもしれないけど、お手本は目の前にあるのだ。公爵夫人たちのカトラリーの使い方を盗み見しつつ、食べたい物を頼むことにする。
 せっかくなので、肉料理からはロニョナードだけを選んだ。
 あとはパンをスライスしてもらい、1枚にコケモモのジャムを、もう1枚にリエットを載せてもらう。
 スープとサラダがあるので十分な量だ。
「ああ、いけません」
 焦った声に目を向ければ、イヴァンがソーセージを鷲掴みにして齧り付いている。パリッ、と皮の弾ける音とともに肉汁が溢れている。
 侍女がナプキンを手に慌てているのに、イヴァンは「うまうまぁ」とご機嫌だ。
 尻尾をぶんぶんと振るイヴァンに対し、タイラーの尻尾は微動だにしない。むしろ、イヴァンの無作法に呆れたように目玉をぐるりと回している。
「イヴァン。パンに挟むと汁も飛ばないし美味さも倍増するぞ」と、グレン団長がパンを薄くスライスするように命じた。
 スライスしたパン1枚をグレン団長が受け取り、フォークで刺したソーセージをパンで挟むと、そのまま噛り付く。
 イヴァンは目を輝かせ、タイラーはごくりと喉を鳴らす。堪らず、2人揃って「僕も!」とパンを要求した。
 兄弟で耳をぴこぴこ、尻尾をふりふりして、なんて可愛らしい!
「話には聞いていたが、ゴゼットさんは小食だな」
 公爵様は苦笑しながら、使用人の手を制し、自らシュバイネハクセにナイフを入れている。かなりの分厚さでだ。
「緊張してるのかしら?」とは、公爵夫人だ。
 公爵夫人とは2度目の対面だけど、皇族だと言われても頷きそうなほどの美貌と威厳に中てられ、「お久しぶりです」の短い挨拶を噛みまくった。そんな私の失態を微笑みで流してくれたので、厳しい人ではないと思う。
 隙のない佇まいに緊張してしまうのはお目こぼし願う。
「母上。恐らくですが、人族自体が我々ほど食べないのだと思いますよ」
「そういえば、イヴはこれでも平均的な身長だと言っていたな」
 ハワード団長とジャレッド団長の言葉に、公爵夫妻が驚きの面持ちでこちらを見る。
「なぜ父上が驚いてるんです?この中で、誰よりも人族と付き合いがあるんじゃないですか?」
 グレン団長が肩を竦めると、公爵様は「付き合いのある人族は騎士関連が多いから参考にはならんだろ」と言う。
 確かに、騎士と一般人を一緒にされると困る。
「とはいえ、確かにあちらの騎士たちは我々より小柄な感じだな」
「人族の騎士とはどのようなものなのか興味はありますね。やはり魔法を使うのでしょう?」
「聞くところによると、我々のような剣を用いた騎士団と、魔法を武器にした魔法師団の2つに分かれているそうだ」
「意味不明だな」と、ジャレッド団長が豪快にエールを飲み干す。
「ゴゼットさんは理由が分かるかな?」
 ハワード団長の微笑に、心臓が震える。
「た…たぶん…ですけど、魔法は万能ではないので、騎士団がメインなのだと思います。魔力が尽きれば魔法は出ません。魔力が枯渇すると、亡くなることはないですが…人によっては数日間は動けません。貴族のように魔力の器が大きい人ほど、枯渇した時の反動が大きいと聞きました」
「なるほど。戦場のような場所で、やりたい放題魔法を打つことはできないというのだな。下手をすると足手まといになる…か」
「あの…こっちでも同じだと思うんですけど?」
「混血の魔導師はいるが、獣人特有の性質というのかな?肉弾戦を好むんだよ。もちろん、魔法だって使うけどね」
 そういえばキース副団長たちは魔導師だけど帯剣しているし、訓練もしている。
 納得、と頷く。
「思えば、私が会った人族も、騎士団の者は体格が良かったが、魔法師団の者はひょろりとして研究者気質な顔つきをしていたな」
「イヴは魔力の方は大丈夫なのか?午前中は薬を作り続けているだろう?午後も見回りで治癒魔法を使っている」
 へにょりと眉尻を下げたジャレッド団長が、そっと私の頬を撫でてきて固まった。
 固まったのは、私とグレン団長だ。
 公爵夫人は「まぁ」と嬉しそうに目を細め、公爵様はニヤニヤしている。ハワード団長とヴィヴィアン様は穏やかというか、生温い視線だ。
 無邪気にソーセージサンドに齧り付く兄弟だけが、私の心を癒してくれる。
「あ~、なんだ。兄貴……だよな?そっくりさんじゃないよな?」
「ジャレッドは思考を放棄したんだよ」
 ハワード団長が愉快げに肩を揺らす。
「その様子を見るに、気持ちは告げたようだな」
 公爵様の言葉に、ジャレッド団長は仏頂面のまま私の髪を撫で始めた。
 叫びたい…!
 絶叫して逃げ出したいくらいの羞恥と、頭が爆発しそうな混乱の再来だ。フォークとナイフを握る手も小刻みに震え、背中が汗ばんでくる。
「番の話もしたのかな?」
「はい」と頷くジャレッド団長の隣で、グレン団長がエールで咽た。「ぐぁあ!鼻に入った!」と両手で顔を覆い、呻いている。
 後ろに控える使用人が、すかさずグレン団長が零した微量のエールを拭う。
「見苦しいこと。グレン、タイラーたちを見習いなさい」
 公爵夫人がちくりと言うと、タイラーとイヴァンが「ふんす」と胸を張った。
「あ…いや、母上。番って…番って聞こえましたよ?」
「ああ、グレンは知らなかったのか。ジャレッドは先祖返りだ」
 公爵様が言えば、公爵夫人とハワード団長が揃って小さく頷く。
「ジャレッドが産まれた頃、伯母に言われたのだよ。この子は先祖返りかもしれない、と。以来、私とパティでジャレッドの行動を見守っていた。ハワードは独力でジャレッドのことに気が付いたのだがね」
「兄上と一緒にされても…」
 グレン団長が肩を落とし、素知らぬ顔のジャレッド団長を恨めし気に見据える。
 私はなるべくジャレッド団長を視界の外に追いやりながら食事に集中だ。髪を撫で続ける手も意識の外に飛ばす!
「俺も冗談で”先祖返りみたいだ”とは言ったけどさ。あぁ~つまり、イヴは義妹になるってことで合ってる?」
「ゴゼットさんの様子を見ると、まだ決定ではないだろうね」
「初々しい反応で、私まで恥ずかしくなるわ」
 ハワード団長とヴィヴィアン様が、含み笑いでこちらを見ているのが分かる。
 でも、絶対に目は向けない。
 ロニョナードを噛み締め、口の中に広がる濃厚な旨味に集中する。
 無心を決め込みたいのに、どうしても当事者なので耳が傾くのが悲しい…。
「もし結婚したらどうするの?第2は住み込みだろ?別邸は放置?それともイヴだけ別邸で、兄貴は休日の時だけ戻って来るの?番って離れ離れに暮らしてても平気な感じ?」
「ああ、その場合はジャレッドには第1に移動だ。ハワードは次期公爵として腰を据えて私の補佐を担って貰う。第2はドミトリーに頼む」
 ドミトリー?
 私の顔が正直なのか、ジャレッド団長が「父の末の弟だ」と教えてくれる。
「ドミトリー叔父上は変わり者でな。冒険者としてあちこちを歩き回ってる」
「ちなみに独身。自由気ままなところは憧れるよ」
「グレン!」
 公爵夫人の叱責に、グレン団長は亀みたいに首を窄めた。
「ドミトリーさんも落ち着いてくれたら良いのですけど」
「あいつは無理だな。結婚には向かない性格だよ。だが、腕は確かだ。今まで自由にさせたのだから、もう十分だろう。戻って来いと鷹を飛ばしている。そのうち帰ってくるだろう」
 公爵様は苦笑しながら、シュバイネハクセにたっぷりとソースを絡めて頬張る。
 公爵夫人とヴィヴィアン様は小さな口で、優雅な手つきだというのに、せっせと食べる私よりもペースが淡々としつつ速い。ジャレッド団長たちは言わずもがなだ。
「ハワード。ドミトリーが戻ってきたら、オーウェンに団長としての心構えを叩き込むようにと伝えておいてくれ」
「伝えておきます」
 オーウェンとは公爵様の従弟で前第3騎士団団長、現第1騎士団ハワード団長補佐兼第3騎士団の相談役なのだと、ジャレッド団長が教えてくれる。それも耳打ちで!
 ひぃ~~~っ!
「ジャレッド、お止めなさい。ゴゼットさんの顔を見てごらんなさい」
「とても真っ赤ね」と、ヴィヴィアン様。
「あまりグイグイいくと逃げられるわよ?」
「先祖返りは、番への愛が重いというからね。ゴゼットさんには申し訳ないけど」
「義父様。申し訳ないのですが、わたくし、その…番?というのが良く分かっておりません。要は一目惚れの一途な想いということでしょうか?」
 同じ獣人でもヴィヴィアン様は知らないのか。
 不思議。
「大昔は全ての獣人に番はいたとされているのは知っているね?今は先祖返りにだけ番作用が生まれる。先祖返りも古代種の中に稀に生まれるくらいだから数が少ない。今はジャレッドを含めて3名かな。それもあり、番の概念については、私も文献を読み知った気でいるにすぎない。その程度の知識だが、グレンも知らないというので語らせてもらおうか」
 公爵様は言って、唇を湿らすように赤ワインを少しだけ口に含む。
「多くの文献に共通している番の事柄は、”全ての獣人に番が存在していた”ことと、”必ずしも番と会えるわけでない”ということだね。誰もが番と出会えるわけではないので、普通に政略や恋愛で結婚する者もいたそうだが、伴侶を得た後で番と出会うと悲劇だ。理性を失った者が番を奪おうと実力行使に出た。それが貴族間なら戦争に発展するほどだ。当時は小国家群の、血気盛んな時代だからね。死者が出るのも珍しくはなかったと文献に残っている。番は”魂の伴侶”と尊い存在とされ、目が合った瞬間、雷に打たれたような衝撃と共に恋に落ちるそうだ。過激な文言を残す文献には、”まるで魔女の魅了術に堕ちたかのようだ”という表現もあった。番への独占欲は、女性より男の方が強いらしくてね。番を得た雄は、番に異性が近寄ることを厭い、番を監禁していた者もいたそうだよ」
 ぞっ、と血の気が引く。
 思わず、ヴィヴィアン様と目が合ってしまった。
 ヴィヴィアン様も血の気が引いた顔色で、なぜが憐みの籠った目で私を見ている。
「ああ、誤解のないように言っておこう。先祖返りとは言え、血は薄まっているからね。一目で相手に魅了されることはないし、理性も失わない。緩やかに番を認識していくのだよ。伯母もそうだったが、ジャレッドもそうだろう?」
「はい」
 ジャレッド団長が頷く。
 事実、ジャレッド団長はゆ~~っくりと優しくなった。
 今は距離の詰め方が壊れてるけど…。
「ゴゼットさんが他の団員と話していても許せているかな?」
「大丈夫です。ただ、仕事と関係ない場面でイヴに触れている者がいたら怒りが湧いてきます」
「なら大丈夫だ。まぁ、ジャレッドが団員に危害を加えることはないだろうが、お前の不機嫌さは周囲を怯ませるからね。モリソンの心労が増さないように気をつけなさい。それから、ゴゼットさんを監禁することは、私たちが許さないよ。ゴゼットさんも安心していなさい」
 公爵様の朗らかな、けれど不穏な言葉に、グレン団長が遠い目をし、ヴィヴィアン様が笑みを引き攣らせる。
 うん。全然笑えない…。
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