高校生のころから付き合っているらしい大学生がいちゃついているなんて・・・

壁山ゆかこ

文字の大きさ
2 / 13

カレーとそして・・・

しおりを挟む
「あれ、来ないと思ったんだけどなぁ。」
玄関前、ハルトは普段は大きな目を細めチアキを見つめている。何かを企んでいるような顔だ。
「・・・」
「え?何?」
ハルトは、見透かすような目をチアキに向ける。聞こえなくとも、ハルトにチアキの思いは伝わっている。しかし、ハルトはチアキから直接言葉を聞きたいのだろう。ハルトのカレーを食べに来たことをチアキから言わせるためにわざと聞き返したのだ。
「・・・俺のために作ったんだろ?カレー・・・」
言っていることに恥ずかしさを覚えているようなチアキは、ハルトから顔をそらした。
「ごめんごめん。チアキが照れる様子が見たくていじわるしちゃった。」
ハルトは、チアキの両手をつかみ狭い1Kのアパートに招き入れた。
「実はね、僕もチアキのこと待ってたんだよ。」
「知ってる。ハルトはそんなやつだって。昔は純粋でかわいかったのにね。」
チアキは、ハルトの頬を両手で挟む。身長差のせいで、チアキがハルトを見上げるかたちになっている。
「チアキは、ずっとかわいいよ。」
「それは、関係無い。」
照れ隠しなのか、むすっとした口調のチアキをなだめるようにハルトは、チアキの頭をなでなでする。チアキの髪は湿っているようだった。
「あれ、チアキ、お風呂入ってきた?」
「うん・・・。汗かいたから。」
チアキの頬は、薄紅色に染まっている。
「そっか。今、カレー温めてるからちょっとそこで待っててね。」
ハルトは、チアキを小さなテーブルの前に促す。広い部屋ではないので、すぐそばにはいつもハルトが寝ているベッドがある。チアキは、ベッドにのっていた不思議なキャラクターのぬいぐるみをとってぎゅっと抱きしめる。カレーのぐつぐつと煮立つ音だけの部屋。絶妙な空気が部屋を支配している。その空気に耐えられず、チアキはスマホをいじるもすることがなく適当にSNSを見ている。だんだん、カレーのにおいがしてきた。

「チアキ、できたよ。どうぞ。」
ハルトが、二人分のカレーを持ってきた。ハルトが作ったカレーはお袋のカレーといった感じで、しっかりと煮込んである。じゃがいもとニンジン、サイコロビーフがごろごろと入っている。チアキが目を輝かせてカレーを見ていると、ハルトが猫の絵がプリントしてある色違いのカップを持ってきた。チアキは、おなかを壊しやすいのでカレーを食べるときはなぜか牛乳を飲むのがルーティンとなっている。
「はい、牛乳。おそろいのカップ買っておいたんだ。オレンジ色の方がチアキのね!」
もっふもふな白猫に寄り添っているトラ猫がチアキみたいでかわいい、チアキって猫みたいだしね、とハルトは嬉しそうに話している。
「あ、はなしすぎちゃったね。カレー食べよう!甘口で作ったんだよ。」
「うん。いただきます。」
チアキは、スプーンですくい一口頬張った。ハルトは、まじまじとチアキが食べる様子を見ている。感想がもらえるまでドキドキしているのだろうか?一切、カレーを食べる様子を見せない。
「おいしい!今日は、蜂蜜いれたの?」
「正解!なんでわかったの?」
ハルトは、チアキの感想に安堵しながらも隠し味の蜂蜜がばれたことに驚いているようだった。
「んー。今までとは違うし、なんかちょっと甘かったから。あとは、この前ハルト、蜂蜜欲しいって言ってたからそうかなって・・・」
チアキは、何故か照れた様子で言っていた。
「そんなこと言った?」
「・・・うん。この前、ハルトの家に来たとき、」
チアキは、口ごもらせる。そして、すぐになんでもないと言ってカレーをぱくぱくと次々に口に運んだ。おいしいねと言って、何かを誤魔化している様子だ。ハルトは、チアキが隠していることがきっと恥ずかしいことだろうと思って、頑張って思い出そうと頭にはてなを浮かべている。
「蜂蜜ね・・・」
いつもとは違うハルトの低音の独り言がチアキをドキリとさせる。チアキは、反射的に口に運んでいたスプーンを止めた。
「ほんとに、覚えてないの?ならいいんだけど・・・ごちそうさま。」
チアキは、ハルトのカレーを綺麗に完食していた。米粒も一切残さず、カレーのルゥも綺麗に食べきっていた。チアキは、食べ終わった食器をシンクへ運ぶ。ハルトは、チアキが先に食べ終わったことに焦っているかのように急いで完食した。

「今日、泊まっていこうかな・・・」
シンクで食器を洗っているハルトの耳もとに息を吹きかけるように言った。ハルトは、チアキの思惑を完全に無視し、無邪気な子供のように子供のように喜んだ。チアキは、少しもじもじとしている。ハルトは、食器を洗い終わり几帳面に皿を拭いている。
「チアキは、もう一回お風呂入る?」
「ハルトが入るなら・・・」
「僕は、入るに決まってるよ!だってまだ今日は入ってないからね。先にチアキ入りなよ!」
「そういうことじゃなくて・・・」
ハルトは、チアキの言っている意味を理解できていないのかぽかんとした様子でチアキを見ていた。そんな鈍感な様子に諦めた様子でチアキは分かったと言った。本当は、ハルトと一緒に入りたかったのだろうチアキはハルトが察してくれなかったことに落ち込んでいる様子だ。ハルトは、もうすぐお風呂沸くからと言ってチアキのパジャマとタオルを用意してお風呂場へと促した。
「沸いたばかりだから、気持ち良いよ。ゆっくり入ってね。」
ハルトは、チアキに天使のような笑みを向け、お風呂場から去って行った。チアキは、タオルで身体、主に下半身を隠したまま、お風呂場の扉をあけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...