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第十八話 からくり少女の大きなお遊び
からくり少女の大きなお遊び 八
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ノーマさんの目的は“知らせる”ことだった。
「迷いましたけどね。世間にバレたせいでここが閉まっちゃったらいやですから」
発明は続けたい。しかし戦争は好ましくない。そんな葛藤を抱える中、レオに「もっと見たい」と声をかけられ、彼女は暴露することを決めた。
「もう見せちゃおうと思ったんです。その方がいいと思って」
なるほど、そういうわけだったのか。いろいろ大変だったんだね。だけどそれなら最初から言えばよかったのに。わざわざ秘密にしてなんて言わないでさ。
「だってわたし、世界の平和より発明の方が大事だもの。兵器を作るなんて言ったら魂を売ってもらえなくなっちゃうかもしれないじゃない。……さっき言いませんでしたっけ?」
あ、そうだっけ?
「すまない、アーサーはバカなんだ」
ちょっとレオ! ぼくはバカじゃないよ!
「まあまあ、いいじゃないか。それより少しばかり持ち帰っていいそうだから、手頃なヤツを拝借するとしよう」
そう言ってレオは“手持ちマッサージ機”をふところから取り出した。……それって許可もらう前に見せてもらったヤツだよね。なんで持ってるの?
「あたしもアレもらってこよー!」
アルテルフがぴゅーっと走り出した。どうやらほしいものがあったらしい。疑惑さえなくなれば、あの子はこんな感じだ。
「それじゃ、わたしもお船をしまいましょうか」
ノーマさんは馬車の荷台の方に向かった。そこにはぼくが昨日あげたボトルシップが安置されている。
しかしあんなもの、なにがいいんだろう。ひと様に見せられるような出来じゃないし、店に行けばちゃんとしたのが売っている。それを高価な魂より大事そうに扱って、ぼくにはちょっと気が知れない。
「趣味はひとそれぞれだからな。ひとが作ったものを集めるのが好きと、そう言ってたんだろう?」
「うん」
「ならおかしなことはない。が……どんなものを集めているのか少々興味があるな」
できることなら見てみたい。そう言ってレオはノーマさんに近寄り、コレクションを見せてほしいと頼んだ。すると、
「もちろん構いませんよ」
と声高に快諾してくれた。
そんなわけでぼくらはノーマさんの部屋に案内された。奥にある扉のひとつに“場長室”と書かれており、ほかの扉が金属製なのに対して、そこだけ木製だった。
「すみません、開けてもらってよろしいでしょうか」
ノーマさんはボトルシップを両腕の中に抱えていた。ビンには転がらないよう木材がついている。置けばいいだけの話だが、どうやら手で持っていたいようだった。
ぼくはわかりましたと言ってドアを開けた。そして中を見ると、
「わあ……」
ぼくは目を見張った。
そこらじゅうに“作品”があった。
彫刻が山ほどある。人間や獣の姿を削り出した木像や石像が、大きいものは床に置かれ、小さいものは棚に並んでいる。
絵画が何枚もある。風景、人物、動植物、さまざまな色彩でもって、壁に吊ったり、立てかけたりしている。
陶器がある。
模型がある。
織物がある。
それらが部屋の左右と奥を埋め尽くし、そこそこ広いであろう室内は、中央にあるデスクへの道しか空いていなかった。
「これは“趣味”だな」
と、レオが皮肉っぽく言った。作品はどれも稚拙だった。中には上出来なものもあるが、大半は店で売っても値のつかないような代物だった。
「工員の評判はよくないわ」
ノーマさんはごちゃごちゃした作品群を器用にくぐり、模型を多く置いた棚の前に立って、
「これはここ」
ボトルシップを置いた。その周りには船の模型や木彫りの魚、ガタガタの釣竿などが並んでいた。
「うん、いい感じ」
ノーマさんは一歩下がって棚を眺め、満足そうに言った。だけどぼくにはガラクタ市にしか見えない。レオもあごに手を置き、怪訝そうにしている。
「素人の作が好きなのか?」
「そういうわけじゃないわ」
ノーマさんの視線は近海コーナーを見続けている。
「それじゃ駄作を見るのが趣味なのか?」
「ううん、どれも傑作よ」
「失礼だが、わたしには理解できん」
そうレオに言われると、ノーマさんはニコリと微笑み、木彫りの魚を指差した。
「見て。この背ビレのところ、ヤスリのかけ具合が途中から違うでしょう。ここまではきれいだけど、ここからは荒いし、斜めになっちゃってる部分もあるわ」
ぼくらは近づいて見た。たしかにそうなっていた。
「たぶん途中からできるようになったのよ。最初はうまくいかなかったけど、やってるうちに感覚をつかんで上達したの」
なるほど、言われてみればそうかもしれない。
「うろこの彫り具合もそうよね。この辺は彫りが太くて浅い。この辺は細くなったけどまだ浅い。でも尾ビレ近くまでくると、ほら、けっこう見れるでしょう」
その通りだった。
「逆からやればよかったのにね。そうすればお顔がきれいに作れたかもしれないのに。でも、そんなのわからないでやるのが人間らしくていいわね。うふふっ」
ノーマさんは心からたのしそうに笑った。それから次は船の模型を指差し、
「ここ、側面の窓。右の二枚はおなじかたちだけど、左の二枚はちょっと違うでしょう。これ、わたしがアドバイスしたの。おなじものを複数作るなら、毎回定規で測るんじゃなくて、一枚基準を作っておいて、それを板に乗せてけがきなさいって(けがく=下書きをする)。そうすればぴったりおなじにできるでしょう。あの子、ちゃんと言う通りやって、やり方を覚えたわ」
あの子? 知り合いの作品?
「これはね。でもぜんぶが知ってるひとのじゃないわ。あの絵は路端で若い子が描いてたのを買ったものだし、あの紙細工は友達のおじいさんが趣味でやってるのをもらったものだし……そうねぇ、名前を知らないひとの方が多いわ」
お金まで払って……そんなものをどうして?
それを訊くと、ノーマさんは振り返り、ニコリと言った。
「わたし、前に向かって歩くのが好きなんです」
前に向かって歩く?
「ええ。その姿が、この作品たちには宿っているの」
「なるほど、向上心か」
レオが腕を組み、言った。どういうこと?
「そう、向上心です。もっと腕を上げよう、もっといいものを作りたい、そんな彼らのこころが作品に色濃く残ってるんです」
こころが……
「ほら、見てください。あなたの作品を」
ノーマさんはボトルシップのビンを愛おしそうに撫で、うっとりと目を細め、
「ここ、繋げ方に工夫の跡があります。それにここも途中からよくなってる。この部分はすごくきれいだから、きっと前回までに覚えたのね」
……その通りだ。彼女が示したところは、ぜんぶ苦心して考えて努力して、自分なりに成長を感じながらがんばったところだ。
「見えるでしょう、あなたの跡が。ここにも、ここにも、ほらここにも、前に向かうあなたのこころが残ってる」
そこまで聞いて、やっとわかった。
……そうか、そういうことだったのか。
昨日ノーマさんはこれを見て「あなたがいます」と言っていた。「ひとが本気でものを作ると、いのちが宿る」と言っていた。そのときは意味がわからなかったけど、話を聞いてやっといま理解した。
彼女は船を見てたんじゃない。前に向かって歩く姿を見ていたんだ。
「ね、ステキでしょう?」
「うん……みんなステキだ」
ぼくはうなずき、キラキラ輝くガラクタたちを眺めた。どれもこれも下手クソで、買えと言われたら困るようなものばかりだけど、そこにはお金じゃ買えない生きたこころがあった。
それから少しして、ぼくらは帰ることになった。
行きとおなじで馬車の荷台に乗り、ホロに隠れて帰路を行く。
「いいものが見れたね」
ぼくはふたりにそう言った。なんとなく発した言葉だけど、たぶん魔道具のことを言ったんじゃなかった。
「いいものももらえましたしねー」
そう言ってアルテルフは“照明”を光らせた。光を起こす魔道具で、向けた先を照らすことができる。なるほどこれは便利だなと、ぼくとアルテルフはきゃっきゃ騒いでいた。
だけどレオは静かだった。
ごろんと仰向けに寝転び、小さくつぶやいた。
「しかし……医療器具はなしか」
「え? なに?」
ぼくはよく聞き取れなかったので聞き返した。しかしレオは応えず、
「あれだけ技術が発展していれば、少しくらい収穫があると思ったが……」
ひとり言って、ため息を吐いた。
収穫ってなんだろう。レオは発明品が見たくて来たんじゃないの? もしかしてなにか探してるものでもあったのかな。
「まあ、これはいい収穫だがな」
レオはガバリと起き上がり、ぼくの服になにかを入れた。そして、
——ブルブルッ!
「わあっ!」
なっ、突然、なにこれ!
「どうだ、気持ちいいか?」
あっ、やめて! これ、ああっ!
「レオ様なにしてるんですかー?」
「振動を当ててマッサージしてるんだ」
「あー、ノーマ様が肩に当ててたヤツですね。でもそれ、そんなところに当ててどうなんですかー?」
「見ての通りだ。それにノーマもよくこうしているそうだしな」
「へー。ちょっと興味ありますね」
「もう二本ある。おまえもやってみろ」
「どれどれ」
ひゃあっ! り、両方されて……わああっ! やめて! こ……こんなのはじめて!
「ククク……いい声で鳴くなぁ。実にいいものをもらった」
「ねえレオ様ー、これ、ここに当てたらどうなるんですかねー?」
「フフフ……どうなると思う?」
「クスクスッ。やってみないとわかりませんねー」
「じゃあやってみよう」
「ほら、逃げないの」
「おお、いい悶えっぷりだ。それじゃ中に入れて直接当ててみようか」
「やだー、すっごい声出ちゃってるー」
「おいおい、そんなに気持ちいいのか。さぞ硬く凝ったところがほぐれるんだろうなぁ」
「ガチガチになったところ、やわらかくしちゃいましょうねー」
「フフフ……フフフフ!」
「クスクス! アハハハハハ! アハハハハハ!」
「迷いましたけどね。世間にバレたせいでここが閉まっちゃったらいやですから」
発明は続けたい。しかし戦争は好ましくない。そんな葛藤を抱える中、レオに「もっと見たい」と声をかけられ、彼女は暴露することを決めた。
「もう見せちゃおうと思ったんです。その方がいいと思って」
なるほど、そういうわけだったのか。いろいろ大変だったんだね。だけどそれなら最初から言えばよかったのに。わざわざ秘密にしてなんて言わないでさ。
「だってわたし、世界の平和より発明の方が大事だもの。兵器を作るなんて言ったら魂を売ってもらえなくなっちゃうかもしれないじゃない。……さっき言いませんでしたっけ?」
あ、そうだっけ?
「すまない、アーサーはバカなんだ」
ちょっとレオ! ぼくはバカじゃないよ!
「まあまあ、いいじゃないか。それより少しばかり持ち帰っていいそうだから、手頃なヤツを拝借するとしよう」
そう言ってレオは“手持ちマッサージ機”をふところから取り出した。……それって許可もらう前に見せてもらったヤツだよね。なんで持ってるの?
「あたしもアレもらってこよー!」
アルテルフがぴゅーっと走り出した。どうやらほしいものがあったらしい。疑惑さえなくなれば、あの子はこんな感じだ。
「それじゃ、わたしもお船をしまいましょうか」
ノーマさんは馬車の荷台の方に向かった。そこにはぼくが昨日あげたボトルシップが安置されている。
しかしあんなもの、なにがいいんだろう。ひと様に見せられるような出来じゃないし、店に行けばちゃんとしたのが売っている。それを高価な魂より大事そうに扱って、ぼくにはちょっと気が知れない。
「趣味はひとそれぞれだからな。ひとが作ったものを集めるのが好きと、そう言ってたんだろう?」
「うん」
「ならおかしなことはない。が……どんなものを集めているのか少々興味があるな」
できることなら見てみたい。そう言ってレオはノーマさんに近寄り、コレクションを見せてほしいと頼んだ。すると、
「もちろん構いませんよ」
と声高に快諾してくれた。
そんなわけでぼくらはノーマさんの部屋に案内された。奥にある扉のひとつに“場長室”と書かれており、ほかの扉が金属製なのに対して、そこだけ木製だった。
「すみません、開けてもらってよろしいでしょうか」
ノーマさんはボトルシップを両腕の中に抱えていた。ビンには転がらないよう木材がついている。置けばいいだけの話だが、どうやら手で持っていたいようだった。
ぼくはわかりましたと言ってドアを開けた。そして中を見ると、
「わあ……」
ぼくは目を見張った。
そこらじゅうに“作品”があった。
彫刻が山ほどある。人間や獣の姿を削り出した木像や石像が、大きいものは床に置かれ、小さいものは棚に並んでいる。
絵画が何枚もある。風景、人物、動植物、さまざまな色彩でもって、壁に吊ったり、立てかけたりしている。
陶器がある。
模型がある。
織物がある。
それらが部屋の左右と奥を埋め尽くし、そこそこ広いであろう室内は、中央にあるデスクへの道しか空いていなかった。
「これは“趣味”だな」
と、レオが皮肉っぽく言った。作品はどれも稚拙だった。中には上出来なものもあるが、大半は店で売っても値のつかないような代物だった。
「工員の評判はよくないわ」
ノーマさんはごちゃごちゃした作品群を器用にくぐり、模型を多く置いた棚の前に立って、
「これはここ」
ボトルシップを置いた。その周りには船の模型や木彫りの魚、ガタガタの釣竿などが並んでいた。
「うん、いい感じ」
ノーマさんは一歩下がって棚を眺め、満足そうに言った。だけどぼくにはガラクタ市にしか見えない。レオもあごに手を置き、怪訝そうにしている。
「素人の作が好きなのか?」
「そういうわけじゃないわ」
ノーマさんの視線は近海コーナーを見続けている。
「それじゃ駄作を見るのが趣味なのか?」
「ううん、どれも傑作よ」
「失礼だが、わたしには理解できん」
そうレオに言われると、ノーマさんはニコリと微笑み、木彫りの魚を指差した。
「見て。この背ビレのところ、ヤスリのかけ具合が途中から違うでしょう。ここまではきれいだけど、ここからは荒いし、斜めになっちゃってる部分もあるわ」
ぼくらは近づいて見た。たしかにそうなっていた。
「たぶん途中からできるようになったのよ。最初はうまくいかなかったけど、やってるうちに感覚をつかんで上達したの」
なるほど、言われてみればそうかもしれない。
「うろこの彫り具合もそうよね。この辺は彫りが太くて浅い。この辺は細くなったけどまだ浅い。でも尾ビレ近くまでくると、ほら、けっこう見れるでしょう」
その通りだった。
「逆からやればよかったのにね。そうすればお顔がきれいに作れたかもしれないのに。でも、そんなのわからないでやるのが人間らしくていいわね。うふふっ」
ノーマさんは心からたのしそうに笑った。それから次は船の模型を指差し、
「ここ、側面の窓。右の二枚はおなじかたちだけど、左の二枚はちょっと違うでしょう。これ、わたしがアドバイスしたの。おなじものを複数作るなら、毎回定規で測るんじゃなくて、一枚基準を作っておいて、それを板に乗せてけがきなさいって(けがく=下書きをする)。そうすればぴったりおなじにできるでしょう。あの子、ちゃんと言う通りやって、やり方を覚えたわ」
あの子? 知り合いの作品?
「これはね。でもぜんぶが知ってるひとのじゃないわ。あの絵は路端で若い子が描いてたのを買ったものだし、あの紙細工は友達のおじいさんが趣味でやってるのをもらったものだし……そうねぇ、名前を知らないひとの方が多いわ」
お金まで払って……そんなものをどうして?
それを訊くと、ノーマさんは振り返り、ニコリと言った。
「わたし、前に向かって歩くのが好きなんです」
前に向かって歩く?
「ええ。その姿が、この作品たちには宿っているの」
「なるほど、向上心か」
レオが腕を組み、言った。どういうこと?
「そう、向上心です。もっと腕を上げよう、もっといいものを作りたい、そんな彼らのこころが作品に色濃く残ってるんです」
こころが……
「ほら、見てください。あなたの作品を」
ノーマさんはボトルシップのビンを愛おしそうに撫で、うっとりと目を細め、
「ここ、繋げ方に工夫の跡があります。それにここも途中からよくなってる。この部分はすごくきれいだから、きっと前回までに覚えたのね」
……その通りだ。彼女が示したところは、ぜんぶ苦心して考えて努力して、自分なりに成長を感じながらがんばったところだ。
「見えるでしょう、あなたの跡が。ここにも、ここにも、ほらここにも、前に向かうあなたのこころが残ってる」
そこまで聞いて、やっとわかった。
……そうか、そういうことだったのか。
昨日ノーマさんはこれを見て「あなたがいます」と言っていた。「ひとが本気でものを作ると、いのちが宿る」と言っていた。そのときは意味がわからなかったけど、話を聞いてやっといま理解した。
彼女は船を見てたんじゃない。前に向かって歩く姿を見ていたんだ。
「ね、ステキでしょう?」
「うん……みんなステキだ」
ぼくはうなずき、キラキラ輝くガラクタたちを眺めた。どれもこれも下手クソで、買えと言われたら困るようなものばかりだけど、そこにはお金じゃ買えない生きたこころがあった。
それから少しして、ぼくらは帰ることになった。
行きとおなじで馬車の荷台に乗り、ホロに隠れて帰路を行く。
「いいものが見れたね」
ぼくはふたりにそう言った。なんとなく発した言葉だけど、たぶん魔道具のことを言ったんじゃなかった。
「いいものももらえましたしねー」
そう言ってアルテルフは“照明”を光らせた。光を起こす魔道具で、向けた先を照らすことができる。なるほどこれは便利だなと、ぼくとアルテルフはきゃっきゃ騒いでいた。
だけどレオは静かだった。
ごろんと仰向けに寝転び、小さくつぶやいた。
「しかし……医療器具はなしか」
「え? なに?」
ぼくはよく聞き取れなかったので聞き返した。しかしレオは応えず、
「あれだけ技術が発展していれば、少しくらい収穫があると思ったが……」
ひとり言って、ため息を吐いた。
収穫ってなんだろう。レオは発明品が見たくて来たんじゃないの? もしかしてなにか探してるものでもあったのかな。
「まあ、これはいい収穫だがな」
レオはガバリと起き上がり、ぼくの服になにかを入れた。そして、
——ブルブルッ!
「わあっ!」
なっ、突然、なにこれ!
「どうだ、気持ちいいか?」
あっ、やめて! これ、ああっ!
「レオ様なにしてるんですかー?」
「振動を当ててマッサージしてるんだ」
「あー、ノーマ様が肩に当ててたヤツですね。でもそれ、そんなところに当ててどうなんですかー?」
「見ての通りだ。それにノーマもよくこうしているそうだしな」
「へー。ちょっと興味ありますね」
「もう二本ある。おまえもやってみろ」
「どれどれ」
ひゃあっ! り、両方されて……わああっ! やめて! こ……こんなのはじめて!
「ククク……いい声で鳴くなぁ。実にいいものをもらった」
「ねえレオ様ー、これ、ここに当てたらどうなるんですかねー?」
「フフフ……どうなると思う?」
「クスクスッ。やってみないとわかりませんねー」
「じゃあやってみよう」
「ほら、逃げないの」
「おお、いい悶えっぷりだ。それじゃ中に入れて直接当ててみようか」
「やだー、すっごい声出ちゃってるー」
「おいおい、そんなに気持ちいいのか。さぞ硬く凝ったところがほぐれるんだろうなぁ」
「ガチガチになったところ、やわらかくしちゃいましょうねー」
「フフフ……フフフフ!」
「クスクス! アハハハハハ! アハハハハハ!」
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