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第二十一話 言の刃
言の刃 一
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レオとアルテルフはまるで母と娘のようですね。人間だれに一番こころを許せるかといったら、まず母親です。家庭環境にもよりますが、母より気安い相手はいません。
だから生意気を言えるのです。愛し、愛されているからこそ、ときに無礼とさえ思える言動も出てしまいます。
でもそれもやがて、なにかを悟るかのように変わっていきます。経験を積み、母のありがたみを知ると、尊敬を胸に、ある種の友達のような、しかし一歩目上の存在へと変化します。
大人になるって、そういうことなのかもしれません。
わたしも幼いころ、なにかの拍子に母を思い切り睨みつけたことがあります。反抗期だったのでしょう。どこの家庭でもあることです。
しかしあのとき母はどんな気持ちだったのかと思うと、いまでも胸が痛むのです。
第二十一話 言の刃
ぼくはアーサー。歳は十七。元は都で騎士をしていたけど、わけあって魔の森でレオと暮らしている。
魔の森は国のはずれにある鬱蒼とした森だ。都からはほど遠い。だけど徒歩一時間の距離にわりと栄えた地方都市があり、不便なく買い物や娯楽をたのしむことができる。
今日ぼくらはその街に遊びにきていた。ゾスマが丸一日休みで、とっておきの店に食事に行くというので、レオといっしょについて行くことにした。
ぼくはものすごくたのしみだった。だってゾスマは超がつくほどのグルメだ。お小遣いのほとんどをレストランで使い、あらゆる珍味や高級料理を味わい尽くしている。
そんな彼女が“とっておき”というのだから、よほどの店だろう。ぼくらはデネボラの、
「あぁん、わたしもあのお店行きたかったですぅ」
という恨み言を聞きながら森を出て、ゾスマの案内を受けた。
しかし着いた先は想像もつかないボロ屋だった。薄汚い木造家屋で、大きさはこぢんまりとしたバーほど。窓は油で曇り、看板はひび割れ、扉はひどく軋んでいた。
中はもっとひどかった。カウンター六席とテーブル席三つの狭い店内は清潔感に乏しく、歩くと床がねとねとし、テーブルも拭いたか拭いてないか微妙な手触りだった。
「おい、本当にここがとっておきなのか?」
とレオが訊くのも当然だ。メニューの価格を見てもあまりに庶民じみている。いや、この様相を見るに最下層の来るところだろう。
だがゾスマは相変わらずのへらへら顔で、
「夜は絶対満席で入れないんだよ」
だからわざわざ開店直後の夕方五時を選んだんだよ、と言った。
正直ぼくはがっかりだった。だってぼくがイメージしてたのは、大きくてきれいで立派な、ネクタイなしじゃ入れないような名店だ。それがこんなオンボロ小屋じゃ、出てくる料理もたかが知れてる。レオもおなじく不機嫌だった。
だけどその考えはすぐに変わった。
「うん、うまい!」
レオは大ジョッキのビールをガンガン飲みながら言った。
「このヤキトリというヤツは実にいい! なぜ串に刺してるのか知らんが、甘辛いタレと香ばしい焦げ具合がたまらん!」
「ぼく塩味の方が好きだな。すっごくおいしい」
「エダマメも塩が効いてビールに合うなあ!」
ぼくらは味わったことのない奇妙な料理を絶賛した。めちゃくちゃおいしかった。ゾスマが言うには「これは異国の料理だよ。前にアーサー様が逆さまのしいたけを食べたって言ってたけど、その国の食べ物だよ」とのことだ。
「店も料理も見た目は下品だが、なんとシンプルで奥深いんだ! なぜ鳥の風味がこんなに違う!」
「炭火で焼いてるからだよ。炭火の上で焼くために串で刺してるんだよ」
「ふむ! なんでもいいがうまい!」
「煮込みもおいしいよ」
「ほう……これは牛もつか? ネギがずいぶん入ってるが……ふむふむ、とうがらしをかけるんだな。軽く振りかけて、どれ……」
レオはスプーンで“ニコミ”をすくい、ひとくち。
「なるほど! 味わい深い!」
「コンニャクも味がしみておいしいよ」
ゾスマは箸をたくみに使い、プルプルした“コンニャク”をつまんで食べた。彼女はぼくらの中で唯一箸が使える。
「厚揚げもおいしいでしょ」
「トーフを油で揚げたものだと言ったな……うむ! こんがりザクザクの表面と中のトーフの舌触りが実にいい! ネギとショウガがしょうゆと絡んでいい風味を出している!」
「これをスープにからめた揚げ出し豆腐っていうのもあるけど、頼む?」
「おお、頼め頼め! 金ならいくらでもある!」
とレオは豪語したが、ここの料理はどれも手頃で、本当にいくらでも注文できた。もしレストランでおなじ量を食べようと思ったらひと皿十倍はする。
もちろん大量に頼めば安くは済まない。だけどこの“イザカヤ”は庶民的な価格に対してバツグンのうまさだ。
その証拠に店内はとっくに満席だった。開店からわずか数十分でいっぱいになり、たびたび扉が開いては、空席がないか客が確認しに来る。
「みんな仕事が終わってから来るから入れないんだよ」
なるほど、開店直後じゃなきゃダメな理由がよくわかった。安くておいしくて席が少ないからだね!
「あ、お刺身がきたよ」
「む……生の魚?」
店員が持ってきた料理を見てレオが顔をしかめた。なんとお皿には生の魚の切り身が乗っていた。これ……大丈夫なの?
「冷凍して虫を殺してるから生でも平気だよ。しょうゆにつけて食べるんだよ」
「ううむ……少々気持ち悪いな」
「大丈夫だよ。わさびを乗せて、ほら、レオ様、アーン」
「むぅ……おまえが言うなら……アーン」
パクリ。
「………………う、うまい! 生の魚がこんなにうまいのか!」
え、そんなに!? 生の魚が!?
「ほら、アーサー様も、アーン」
わっ、おいしい! 魚なのに全然臭くない! しっとりして舌の上にみずみずしいうまさが広がる! しょうゆの塩気とわさびの抜ける香りがすごくいい!
「これはビールもいいけど焼酎とかお酒もいいんだよ」
そう言ってゾスマはショーチューのお湯割を飲んだ。どれ、と言ってレオも飲み、ぼくもひとくちもらった。
「ふむ、うまい……ところでこの酒は芋酒に似てるな」
芋酒とは、獣耳の里に伝わる秘伝の酒だ。かつて奴隷として冷遇を受けた獣耳たちは外界との交流を遮断しており、芋酒も決して世間に出回ることはない。
だけどゾスマはこう言った。
「そうだよ。これは芋酒だよ」
「なに? ではあれを流通させているのか?」
「ううん、これには米麹が入ってるから別物だよ。でもこの芋の風味はたぶん獣耳の芋酒とおなじだよ」
「ふむ…………」
レオはあごに手を置き、神妙な顔をした。なにか思うことがあるらしい。なんだかよくわかんないけど、とにかくおいしいね!
そんなこんなでぼくらはイザカヤを堪能していた。店の汚さに対する嫌悪感はとっくに消え、むしろこの汚れた雰囲気と、うるさい酔客の喧騒が心地よく感じられた。
そこに、
「やあ、相席いいかい?」
奇遇なことにふらりとライブラが現れ、ゾスマの隣に座った。
「おやじ! 焼酎のボトルと氷、酒盗と煮込みを頼むよ!」
へえ、ライブラもこの店の常連だったんだ。注文の仕方がすごく手慣れてるし、おしぼりで顔を拭く姿なんかすごく様になってる。
「よく来るの?」
「ああ、ふだんはカウンターに座るんだけどね。今日はいっぱいだろ」
へー、カウンターでひとり酒か。この店だったらそれも悪くないなぁ。
と、ぼくがそんなことを考えていると、
「おい、アホヅラ。おまえなぜわたしたちのことがわかる」
レオが殺気混じりに言った。なんで?
「我々は“顔を覚えられない魔法”で認識できないはずだぞ」
あっ、そういえばそうだ! ぼくらはいま“顔を覚えられない魔法”をかけてあるから、たとえ知り合いだろうと認識できないはずなのに!
「なぜ我々のことがわかった」
「へぇ……やっぱりそうかい」
ライブラはおしぼりを置くと、勝手にぼくらのエダマメをつまみ、言った。
「いっぱいだから帰ろうかと思ったんだけどねぇ。よく見たらテーブル席に“顔を覚えられない”三人組がいるじゃないか。あたしゃピーンときたね。二人並んでるのはレオとアーサーで、ひとりはゾスマだろうってね」
わ、当たりだ!
「なぜ使い魔がゾスマだとわかった」
「店のチョイスさぁ。あんたらふたりが居酒屋に入るとは思えないし、となりゃ使い魔が選んだんだろう。じゃあゾスマさ。あの四匹の中でここを選べるほどの通はあの子しかいないさね」
なるほど、正解だ。ぼくらだけじゃ絶対こんな汚い店入らないし、ゾスマ以外じゃ別の店に行く。でもレオはまだ疑問に思っているようで、
「なおさら納得がいかん。それならむしろこの店に我々がいないと思うのが自然だ。なぜ我々だと思った」
すると、
「勘さね」
とライブラは涼しい顔で言った。そして運ばれてきたショーチューを、グラスに氷を入れて注ぎ、くいっとやった。
「勘……か」
レオは気に入らないと言わんばかりに頬杖をつき、言った。
「呪術師はあなどれんな。まあ、おまえの勘がズバ抜けていいんだろうが」
「あんたの理屈は正しいよ。あたしだって絶対じゃないから名前を呼ばなかったのさぁ」
ライブラは箸でニコミを食べ、
「でも世の中理屈じゃないからねぇ」
そう言ってグイッとグラスをあおった。よくわかんないけどレオが「まあ、そうだな」と不満げに言ったので、ぼくも「うんうん」とうなずいておいた。
だから生意気を言えるのです。愛し、愛されているからこそ、ときに無礼とさえ思える言動も出てしまいます。
でもそれもやがて、なにかを悟るかのように変わっていきます。経験を積み、母のありがたみを知ると、尊敬を胸に、ある種の友達のような、しかし一歩目上の存在へと変化します。
大人になるって、そういうことなのかもしれません。
わたしも幼いころ、なにかの拍子に母を思い切り睨みつけたことがあります。反抗期だったのでしょう。どこの家庭でもあることです。
しかしあのとき母はどんな気持ちだったのかと思うと、いまでも胸が痛むのです。
第二十一話 言の刃
ぼくはアーサー。歳は十七。元は都で騎士をしていたけど、わけあって魔の森でレオと暮らしている。
魔の森は国のはずれにある鬱蒼とした森だ。都からはほど遠い。だけど徒歩一時間の距離にわりと栄えた地方都市があり、不便なく買い物や娯楽をたのしむことができる。
今日ぼくらはその街に遊びにきていた。ゾスマが丸一日休みで、とっておきの店に食事に行くというので、レオといっしょについて行くことにした。
ぼくはものすごくたのしみだった。だってゾスマは超がつくほどのグルメだ。お小遣いのほとんどをレストランで使い、あらゆる珍味や高級料理を味わい尽くしている。
そんな彼女が“とっておき”というのだから、よほどの店だろう。ぼくらはデネボラの、
「あぁん、わたしもあのお店行きたかったですぅ」
という恨み言を聞きながら森を出て、ゾスマの案内を受けた。
しかし着いた先は想像もつかないボロ屋だった。薄汚い木造家屋で、大きさはこぢんまりとしたバーほど。窓は油で曇り、看板はひび割れ、扉はひどく軋んでいた。
中はもっとひどかった。カウンター六席とテーブル席三つの狭い店内は清潔感に乏しく、歩くと床がねとねとし、テーブルも拭いたか拭いてないか微妙な手触りだった。
「おい、本当にここがとっておきなのか?」
とレオが訊くのも当然だ。メニューの価格を見てもあまりに庶民じみている。いや、この様相を見るに最下層の来るところだろう。
だがゾスマは相変わらずのへらへら顔で、
「夜は絶対満席で入れないんだよ」
だからわざわざ開店直後の夕方五時を選んだんだよ、と言った。
正直ぼくはがっかりだった。だってぼくがイメージしてたのは、大きくてきれいで立派な、ネクタイなしじゃ入れないような名店だ。それがこんなオンボロ小屋じゃ、出てくる料理もたかが知れてる。レオもおなじく不機嫌だった。
だけどその考えはすぐに変わった。
「うん、うまい!」
レオは大ジョッキのビールをガンガン飲みながら言った。
「このヤキトリというヤツは実にいい! なぜ串に刺してるのか知らんが、甘辛いタレと香ばしい焦げ具合がたまらん!」
「ぼく塩味の方が好きだな。すっごくおいしい」
「エダマメも塩が効いてビールに合うなあ!」
ぼくらは味わったことのない奇妙な料理を絶賛した。めちゃくちゃおいしかった。ゾスマが言うには「これは異国の料理だよ。前にアーサー様が逆さまのしいたけを食べたって言ってたけど、その国の食べ物だよ」とのことだ。
「店も料理も見た目は下品だが、なんとシンプルで奥深いんだ! なぜ鳥の風味がこんなに違う!」
「炭火で焼いてるからだよ。炭火の上で焼くために串で刺してるんだよ」
「ふむ! なんでもいいがうまい!」
「煮込みもおいしいよ」
「ほう……これは牛もつか? ネギがずいぶん入ってるが……ふむふむ、とうがらしをかけるんだな。軽く振りかけて、どれ……」
レオはスプーンで“ニコミ”をすくい、ひとくち。
「なるほど! 味わい深い!」
「コンニャクも味がしみておいしいよ」
ゾスマは箸をたくみに使い、プルプルした“コンニャク”をつまんで食べた。彼女はぼくらの中で唯一箸が使える。
「厚揚げもおいしいでしょ」
「トーフを油で揚げたものだと言ったな……うむ! こんがりザクザクの表面と中のトーフの舌触りが実にいい! ネギとショウガがしょうゆと絡んでいい風味を出している!」
「これをスープにからめた揚げ出し豆腐っていうのもあるけど、頼む?」
「おお、頼め頼め! 金ならいくらでもある!」
とレオは豪語したが、ここの料理はどれも手頃で、本当にいくらでも注文できた。もしレストランでおなじ量を食べようと思ったらひと皿十倍はする。
もちろん大量に頼めば安くは済まない。だけどこの“イザカヤ”は庶民的な価格に対してバツグンのうまさだ。
その証拠に店内はとっくに満席だった。開店からわずか数十分でいっぱいになり、たびたび扉が開いては、空席がないか客が確認しに来る。
「みんな仕事が終わってから来るから入れないんだよ」
なるほど、開店直後じゃなきゃダメな理由がよくわかった。安くておいしくて席が少ないからだね!
「あ、お刺身がきたよ」
「む……生の魚?」
店員が持ってきた料理を見てレオが顔をしかめた。なんとお皿には生の魚の切り身が乗っていた。これ……大丈夫なの?
「冷凍して虫を殺してるから生でも平気だよ。しょうゆにつけて食べるんだよ」
「ううむ……少々気持ち悪いな」
「大丈夫だよ。わさびを乗せて、ほら、レオ様、アーン」
「むぅ……おまえが言うなら……アーン」
パクリ。
「………………う、うまい! 生の魚がこんなにうまいのか!」
え、そんなに!? 生の魚が!?
「ほら、アーサー様も、アーン」
わっ、おいしい! 魚なのに全然臭くない! しっとりして舌の上にみずみずしいうまさが広がる! しょうゆの塩気とわさびの抜ける香りがすごくいい!
「これはビールもいいけど焼酎とかお酒もいいんだよ」
そう言ってゾスマはショーチューのお湯割を飲んだ。どれ、と言ってレオも飲み、ぼくもひとくちもらった。
「ふむ、うまい……ところでこの酒は芋酒に似てるな」
芋酒とは、獣耳の里に伝わる秘伝の酒だ。かつて奴隷として冷遇を受けた獣耳たちは外界との交流を遮断しており、芋酒も決して世間に出回ることはない。
だけどゾスマはこう言った。
「そうだよ。これは芋酒だよ」
「なに? ではあれを流通させているのか?」
「ううん、これには米麹が入ってるから別物だよ。でもこの芋の風味はたぶん獣耳の芋酒とおなじだよ」
「ふむ…………」
レオはあごに手を置き、神妙な顔をした。なにか思うことがあるらしい。なんだかよくわかんないけど、とにかくおいしいね!
そんなこんなでぼくらはイザカヤを堪能していた。店の汚さに対する嫌悪感はとっくに消え、むしろこの汚れた雰囲気と、うるさい酔客の喧騒が心地よく感じられた。
そこに、
「やあ、相席いいかい?」
奇遇なことにふらりとライブラが現れ、ゾスマの隣に座った。
「おやじ! 焼酎のボトルと氷、酒盗と煮込みを頼むよ!」
へえ、ライブラもこの店の常連だったんだ。注文の仕方がすごく手慣れてるし、おしぼりで顔を拭く姿なんかすごく様になってる。
「よく来るの?」
「ああ、ふだんはカウンターに座るんだけどね。今日はいっぱいだろ」
へー、カウンターでひとり酒か。この店だったらそれも悪くないなぁ。
と、ぼくがそんなことを考えていると、
「おい、アホヅラ。おまえなぜわたしたちのことがわかる」
レオが殺気混じりに言った。なんで?
「我々は“顔を覚えられない魔法”で認識できないはずだぞ」
あっ、そういえばそうだ! ぼくらはいま“顔を覚えられない魔法”をかけてあるから、たとえ知り合いだろうと認識できないはずなのに!
「なぜ我々のことがわかった」
「へぇ……やっぱりそうかい」
ライブラはおしぼりを置くと、勝手にぼくらのエダマメをつまみ、言った。
「いっぱいだから帰ろうかと思ったんだけどねぇ。よく見たらテーブル席に“顔を覚えられない”三人組がいるじゃないか。あたしゃピーンときたね。二人並んでるのはレオとアーサーで、ひとりはゾスマだろうってね」
わ、当たりだ!
「なぜ使い魔がゾスマだとわかった」
「店のチョイスさぁ。あんたらふたりが居酒屋に入るとは思えないし、となりゃ使い魔が選んだんだろう。じゃあゾスマさ。あの四匹の中でここを選べるほどの通はあの子しかいないさね」
なるほど、正解だ。ぼくらだけじゃ絶対こんな汚い店入らないし、ゾスマ以外じゃ別の店に行く。でもレオはまだ疑問に思っているようで、
「なおさら納得がいかん。それならむしろこの店に我々がいないと思うのが自然だ。なぜ我々だと思った」
すると、
「勘さね」
とライブラは涼しい顔で言った。そして運ばれてきたショーチューを、グラスに氷を入れて注ぎ、くいっとやった。
「勘……か」
レオは気に入らないと言わんばかりに頬杖をつき、言った。
「呪術師はあなどれんな。まあ、おまえの勘がズバ抜けていいんだろうが」
「あんたの理屈は正しいよ。あたしだって絶対じゃないから名前を呼ばなかったのさぁ」
ライブラは箸でニコミを食べ、
「でも世の中理屈じゃないからねぇ」
そう言ってグイッとグラスをあおった。よくわかんないけどレオが「まあ、そうだな」と不満げに言ったので、ぼくも「うんうん」とうなずいておいた。
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