魂売りのレオ

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第二十一話 言の刃

言の刃 四

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「ああ、飲み過ぎたねぇ」
「まったくだ……」
 お酒の強いふたりがだるそうに頭を押さえている。
 あれだけ飲めば当然だ。ライブラは誘惑に流されるほど飲んだし、レオだってふだんよりかなり多かった。ぼくはほどほどにしといたから大丈夫だ。
 それにしてもゾスマは強い。ずーっと飲み続けてたのにケロッとしてる。もしかして表情が変わってないだけかと思って訊いたけど、
「いい感じに酔ってたよ」
 というだけで、酔ったそぶりはまったくなかった。
「なにかスッキリしたものでも食おう。フルーツがいい」
 レオの提案により商店街に向かい、朝食兼ランチをとった。ぼくとゾスマは屋台で肉たっぷりのブリトーを食べ、レオとライブラはたびたびテナントの変わる食べ物屋の、いまはフルーツサンド専門店でフレッシュなサンドイッチをいくつか買い、ついでに薬局で胃薬とウコンドリンクを飲んだ。
 そんなこんなで宿を払ったぼくらは、ライブラの案内で夢の主の元へと向かった。
 夢とはもちろん先日ライブラが見た夢のことだ。暗闇の中で女が「こころを消したい」と泣いており、その顔は、片目が悲しみ、片目が怒り、口だけは笑っているという恐ろしくいびつなものだった。
 それにしてもよく夢を見たひとの位置なんかがわかるね。
「感覚でわかるのさ」
 ライブラはプロの呪術師として、夢に入った時点で女の念を覚えておいたという。
「あたしら呪術師はいつだっていのちの危険と隣り合わせさ。今回はただの夢だったけど、もしかしたらあたしを狙う罠だったかもしれない。だからなにかあったら、かならず相手の念を覚えておくのさ」
 そして念を覚えれば、よほど長距離でない限り気配をたどれる。レオも呪いを扱うが、ライブラの域にはほど遠く、また感覚が足りないという。
「わたしは魔術師だからな。どうしても理屈が強い」
「魔法はお堅いからねぇ。計算式みたいな理屈ばっかりで、だから精神世界にうといのさ。なんなら呪術は言葉ひとつで複雑な式をすっ飛ばせるからね」
 あー、また専門的な話してる。好きに話してちょーだいよ。ぼくはゾスマと食べ物の話してるからさ。昨日のヤキトリはおいしかったなあ!
 そうして歩いていると、ライブラがある民家の前で止まった。
「ここさね」
 どうやらここに女がいるらしい。大通りからそう遠くない住宅街の平屋で、おそらく築数十年だろう。ところどころ直した跡があり、外壁はきれいに塗り直してある。
「持ち家か。金持ちはこころの病にかかりやすいからな」
「いや、案外貸し屋かもしれないよ。金がありゃ建て直すさね」
「金持ちはケチと相場が決まっている。もしくは貧乏人が爪に火を灯して一軒家を買ったのかもしれんぞ」
「たしかに、あんたを見りゃ金持ちがケチってのはよくわかるよ」
「昨日おごったぞ」
「ほら、がめつい。たかだか小銭でうるさいねぇ」
 毎度のことながら、このふたりは仲がいいんだか悪いんだかわからない。たのしそうに酒を飲むかと思えば、ささいなことですぐに衝突する。ここから数分、ふたりは「ケチ」「ブス」「バカ」「マヌケ」といった低俗な語録を並べ、お互いに罵倒し合った。
 しかしさすがにバカらしくなったのか、レオが話を切り替えるよう、言った。
「しかし、接触するのか?」
「できればそうしたいねぇ」
「だが名乗ることはできんぞ」
 ぼくらはいま“顔を覚えられない魔法”にかかっている。おかげで美女でも目立たずにいられるが、名前を名乗ったり、名を呼ばれて返事をすれば魔法が解けて、だれからも顔を認識されるようになってしまう。
 もちろんライブラも承知だ。そこで、
「たしかあんた、裏技があるって言ってたよねぇ」
 そう、この魔法には裏技がある。“顔を覚えられない魔法”は本名を名乗ればその瞬間解けてしまうが、偽名を名乗れば、名乗った相手にだけ顔を見せることができる。
「我々は髪の色を偽名にしている。わたしならミドリ、アーサーはクロ、ゾスマはキーロだ」
「あの国の言葉だね。呪術の根深い国だからよく知ってるよ。それじゃあたしはさしずめムラサキってとこかね」
「ああ、そう名乗ればいい」
 その言葉にライブラがうんとうなずいた、そのとき、
 ——ガチャリ、とドアが開き、中から女が出てきた。
「あら、どちらさま?」
 女はぼくらを見回しキョトンとした。ぼくらは玄関に向かって並んでいた。“顔を覚えられない魔法”は個性をなくすが、存在を消すわけではないので、この状況では来客として映る。
「お母ちゃん、早く行こう!」
 女の背後から、十歳そこらの少年がせき立てた。どうやら母子ははこで外出するらしい。
「ちょっと待っててね。いまお客様がお見えになったから」
 そう話す女を前に、ライブラが小声で言った。
(この女だよ)
 このひとが……と、ぼくらは身構えた。
 歳は三十になるかならないかくらいだろう。色気は薄いがきれいなひとで、声色もおとなしく、いかにもやさしいお母さんって感じだ。
 そんな彼女が子供を押さえている前で、レオとライブラが目を合わせ、小さくうなずいた。
「はじめまして。わたしはミドリといいます」
「あら、きれいなお方! 宝石みたい!」
 この瞬間、レオの姿が母子に認識された。
「あ、ごめんなさい。あんまりきれいだったもので、つい」
「フフフ……よく言われます」
 ああ、得意顔しちゃって。でもこれでレオはこのひとに悪さしないぞ。よかったよかった。
「それから、こちらがクロ、こちらがキーロです」
「はあ……」
 女はよくわからないという顔をしていた。そりゃそうだ。突然の来客がたらたら自己紹介してるんだもの。でもこれやんないと顔が見えないからなぁ。
「それと……」
 レオがライブラに視線を向けた。
「あたしゃムラサキだよ」
 ライブラが名乗った。すると、
「……あら?」
 女はライブラを凝視し、あごの下に指を当てた。そして不思議そうに、
「……あの、最近どこかでお会いしましたか?」
「ああ、四日前、夢の中でね」
「夢の中……?」
「あんたは覚えちゃいないさ。でも夢で会ったんだよ」
「そんなことがあるんでしょうか……」
「じゃあなんであたしの顔を知ってるんだい?」
 女はギクリと足を退いた。顔つきは恐怖をはらんでいる。だが同時に、無視できない、と目が言っていた。
「あの……あなた方はいったい……」
 身を引きながら、食い入るようなまなざしで言った。その背後から、
「お母ちゃん! 早くしないとはじまっちゃうよ!」
 子供が母の足をつかみ、前へ前へと押そうとした。客の顔も母の立場も考えなしのわがまま小僧だ。
 すると女は母親の顔になり、
「静かにしなさい! いま忙しいの!」
「行くって約束したじゃないか! 早く行こうよ!」
「いいかげんにしないと、ぶつよ!」
「暴力は卑怯者のすることだよ!」
「うぐ……!」
 その言葉に、母親は詰まってしまった。この子ずいぶんなことを言うなぁ。親が子をしつけるのは当然じゃないか。ぼくも母さんからさんざんゲンコツをもらったよ。このひともさっさと引っ叩いてやればいいのに。
「連れてってくれないなら、ひとりで行くから!」
「あ、こら! 待ちなさい!」
 走り出そうとする少年を母親が慌てて押さえ込んだ。しかしそれでも少年は逃げようと全力でもがいている。
「行こうよー! 早くー!」
「ああもう!」
 やんちゃだなぁ。だけどぼくもこの子くらいのときは、よくわがまま言って叩かれた。大人になってから見ると微笑ましいもんだね。
 そう思って見ていると、
「お出かけかい?」
 ライブラが訊いた。
「あ、はい……息子が道端論者みちばたろんじゃが好きで……」
「なら、ごいっしょしてもいいかい?」
「えっと……構いませんが……」
「それじゃあ話しながら行くさね」
 そんなわけで、ぼくらは歩きながら女と話すこととなった。
 女の名はサラといった。夫は大工で、自身は専業主婦。子供は息子のムールひとりで、親子三人仲よく暮らしている。
「持ち家ですか?」
 とレオに訊かれ、
「はい。ふるい家ですが二年前に夫が買いまして、直しながら住んでいます」
 ほら見ろ持ち家じゃないか、とレオの目がライブラに言った。ライブラはうるさいねとでも言いたげに一瞥いちべつし、
「それよりあんた、こころを消したいんだって?」
 とサラさんに言った。
「えっ……」
 サラさんの顔がぎくりとこわばる。
「夢の中で言ってたよ。こころを消してしまいたいって」
 ライブラはことのあらましを話した。
 四日前、暗い夢に誘われたこと。夢の中でサラさんが泣いていたこと。
 そして、こころを消したいと訴え、泣き、怒り、微笑んでいたこと。
「そんな夢を……」
 サラさんは眉をひそめ、歩きながらうつむいた。ライブラは言った。
「あたしゃ精神科医みたいなもんでね。別にほっといてもいいんだけど、なんだかやけに気になって会いにきたのさ」
「そうですか……」
 サラさんの返事は少し暗かった。顔色もかげっている。
 ただ、否定はしていない。
「あ、もうはじまるみたいです」
 ぼくらは街にいくつもある大通りのひとつにたどり着いた。
 ここは別名「露店通り」と呼ばれており、屋台やストリートパフォーマーが場所を借り、露店を開いたり、芸事をして投げ銭を得たりしている。演劇関係はあまり出店しないからレオは基本見に来ない。
 その一角にひとだかりができていた。彼らは敷物を敷いて座るひとりの男を取り囲み、男の前には投げ銭用の箱がぽつんと置かれている。
「ファサリヴァさんだー!」
 ムールくんはダッと駆け出し、人垣ひとがきって先頭に陣取った。
「ひとりで突っ走らせて大丈夫かい?」
 とライブラが心配すると、サラさんは言った。
「ここなら平気です。衛兵が見回ってますから」
 言われてみれば、武装した役人がちらほら見える。
「ショウに熱中する客を狙ったスリが多いんです。パフォーマンスには刃物を使うものもありますし、それに金銭の投げ入れも確認しているそうです」
 どうやら彼らは治安維持以外にも、金の流れを見ているそうだ。というのもここは街を治める貴族が貸し出しており、売り上げから割合で徴収しているらしい。利益の薄いところは多少抜けがあっても、稼いでるひとは見逃さないよう複数の兵がつく。
 ……で、ぼく最初から気になってたんだけど、道端論者ってなに?
「なんだい、あんた知らないのかい」
 ライブラが知ってて当然って顔で言った。ちなみにレオは、
「わたしは演芸以外興味ないからな。知らなくて当然だ」
 と開き直っている。ライブラに無知と言われるのを避けるためか、態度は自信満々だ。
「そうかい、あんたも知らないのかい。意外だね」
「知る必要のないものは知らなくていい」
「ははっ、別にバカにしようって気はないさ。この辺にも来てるなんて、あたしも知らなかったからねぇ」
 そう言ってライブラは説明してくれた。
 道端論者——それは少し前から都会で流行っている演説家だ。道端で講釈を垂れ、投げ銭で生計を立てており、話す内容は多種多様で、ひとによって中身が違う。
 哲学や政治、各国の情勢、今後の流行り廃りから、生活の知恵、家族の在り方、ペットのしつけ方、さらには健康法、痩せる方法、果ては尻の拭き方まで話題にする。
 彼らの半数は特定の趣味や職業の専門知識があり、それを主軸に仕事のことや業界の裏話を暴露し、残りの半数はあらゆる方面の持論を説いたりする。中にはスポンサーがついて、商品の宣伝で金をもらう者もいる。
「話すことが過激でね。おもしろおかしく話すから、みんな注目するのさ」
 と、ライブラの解説を聞いていると、ちょうど論者が話をはじめた。
「みなさん集まってくれてありがとうございます。それじゃ早速はじめましょうか」
 男が口を開くと客たちが一斉に拍手した。よく見ると子供が多い。四、五十人の観客のうち半数近くが子供だ。
 男は続けた。
「えっとですね、最近“魔道具”って出てきたでしょ。あれ、すっごい流行ります。で、いろんなひとが仕事失います。肉体労働とかなくなっちゃいます」
 ええーっ、と観客がどよめいた。男は反応を確かめ、
「いまってみなさん馬車使いますよね。荷車とか人力車乗りますよね。あれ、消えます。西国さいごくだと魔力で動く車輪が出てきてて、いまはまだ魔力効率が悪すぎて使い物にならないんですけど、そのうち実用化されます。そうしたらお馬さんいらなくなっちゃいます」
 また客が騒いだ。ぼくもびっくりして声を上げた。
 だって、馬がいらなくなるなんて考えられない。そもそも馬って要るとか要らないとかそういう存在じゃない。人間の相棒というか、互いに必要とする片割れというか、かけがえのない存在だ。それを、なんてこと言うんだ。
「なるほど、過激だな」
 レオがぼそりと言った。
「かなりの極論だ。だが大衆には刺激的でたまらんだろう」
「しかもあながち間違ってないのさ」
 ライブラも小さく言った。
「大はずれのときもあるけどね。そもそも情報がただの噂の場合もある。それでもひとが集まるのは、話がうまいのと、ヤツらにスター性があるからだろうねぇ」
 ふーん……とにかくすごいんだなぁ。でも馬がいなくなるってのは許せないや。ねえゾスマ。ゾスマもそう思うでしょ?
「……おもしろい」
 ゾスマ?
「アーサー様うるさい。聞こう」
 あちゃ、この子もアレの大言壮語たいげんそうごをたのしんでる。馬がいなくなるわけないのになぁ。
 まあ、いいや。終わるまで終わんないんだし、聞くだけ聞いとこう。そう思って見ていると、
「おい、このホラ吹きやろう!」
 突如観客の中からひとり、年老いた男が飛び出した。
「肉体労働がなくなるだぁ!? 嘘ばっかり言いやがって! ふざけてっと承知しねえぞ!」
「あっ、棟梁とうりょう!」
 サラさんが口を押さえて言った。
「知り合いかい?」
 とライブラが訊くと、
「はい……うちの旦那の大工の親方です」
 どうやら男は大工のかしららしい。しかしこんなふうに文句つけて、いったいどうなってしまうんだろう。このままじゃ講釈がめちゃくちゃになっちゃうじゃないか。ねえゾスマ。
「あはは、おもしろい」
 ……おもしろいじゃないよ。ホント君は動じないな。昆虫の頭はよくわかんないや。
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