【完結】人間にモテないオレはモンスターを嫁に迎えることにしました

湯原伊織

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第36話 モンスターハンターは魔物に捕まるのもお仕事のうち

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 泉で2人が激しく争うことで水面が揺れ、遠くにいた水鳥たちが危険を察知したのだろうか慌ただしく飛び立つ。

「妾に触れるでない! 汚らわしい!」

 竜人は体を弄られて、興奮したのか鼻息荒げにそう言ってきた。わかっているよ。わかっている。オレはちゃんとわかっているからね。

「フフフ、口ではそうは言っても…。って、ヒデブ!!」

 竜人に襟首を掴まれたと思った次の瞬間にオレは水面とこんにちはをする羽目になった。つまり、なにが言いたいかというとオレは竜人によって水面に投げ飛ばされたのだった。

「さてと、妾にこんなことをしてタダで済むと思っておるまいな?」

「つまり、最後まで責任を取れってことか?」

 泉に叩きつけられたオレは直ぐに起き上がり、そう言って攻撃を加えた人物に飛びかかる。竜人は信じられないものを見たと言わんばかりに驚愕をしている。人間など雑魚だと思って油断していたな!

「フフフ、このオレから逃げらると思っているのか?」

 オレが竜人と間合いを詰めると彼女は凄まじい速さで拳を放ってきた。常人ならここで彼女の攻撃を食らってアウトだろう。だが、オレは伝説のハンターサイゾウだ。

「嘘だろ? 人間ごときに妾の攻撃が!?」

 竜人の正拳突きを絶妙なタイミングにサイドステップをすることで回避。

「力を過信しすぎなんだよ。油断したな」

 オレは相手の背後に回りこんで後ろから抱き着く。そう、先ほどの続きを行うために抱きついたのだよ。デュフフフフ!!

 水面には一糸まとわぬ姿を瞳に収めて興奮するオレが映る。顔が竜? そんなの関係ないよね。もうオレは長い独身生活のために男でなければいける段階まで来ているのだ。それも当然だよな? だって、男の子だもん!!

「ああ、やめろ。そんな!? そんな所をやめて!?」

 首輪だけで、肌着すら身につけていないその肢体を舐めるように見ながらオレはおもむろに手をワキワキと動かす。サイゾウさんも、これでようやく大人の階段を登れるね。

「陛下! 今、悲鳴が聞こえたのですが!!」

「ッチ、この竜人の他にもいたのか」

 竜人の図体に似つかわしくない甲高い悲鳴が響き渡った後に森の中から別の竜人たちが現れた。竜人がさらに2体か。さすがのサイゾウさんも3体の竜人を相手にできる気がしないからね。だって、体力が持たないからさ…

「妾から離れろ。ええい、触るな!!」

 くそ、油断した。新たに現れた竜人に気を取られて、逃げられてしまった。

「く、くそ、こんな辱めを受けるなんて…」

 その紅潮した顔。フフフ、乱暴に振り払ってはいたが本心はもっと触って欲しかったんだろう? わかっているとも…

「貴様、オラたちの陛下になにをしたっすか?」

「そうだ! そうだ! 羨ましい、もとい許すまじい!!」

 鼻息を荒く興奮する竜人たち。確かに彼女たちにとってはこの竜人の山脈のような胸は羨望の的かもしれないな。だって、彼女たちは男のオレと胸囲サイズが大して違わないしね。

「多勢に無勢だな。ここは逃げるが勝ちだ!! だが、その前にヒップ・アンド・タッチだ」

 名残惜しい。あの魅惑のボディ! 撤退する前にもう一度だけ…

「おぬし、何度もそんなに簡単に妾に触れると思うなよ?」

 なんてことだ。オレが奴のヒップをタッチする前に叩(はた)かれるなんて…

 睨む竜人を見ながらオレは歯噛みした。ちくしょう、タッチができなかった。もう、逃げるしかない。こんな人数差があると絶対に勝てんからな。って、いつの間にか完全に包囲されちまった!!

「おい、陛下にあんなことをしてタダで済むと思ってるんじゃないだろうな?」

 知らなかったのか? 魔王からは逃げられないと言わんばかりに睨んできている。まさかの超展開だ。竜人ごときに人類最速のハンターであるオレが逃げられないとは…

「陛下はな。竜人の中で最も高貴で1番に美人なんだぞ!!」

 オレが次にどういう行動を取ろうか考えていたら唐突に絶壁の竜人がそんなことを言ってきた。

 確かに顔の割には小さくつぶらな瞳。大きな鼻に金の輪っか。うーん、きっと竜人の社会では別嬪なのだろう。そう、竜人の中ではね。

「まぁ、まな板の竜人たちよりかは発育が素晴らしく良いからね」

 こいつら本当はオスなのか? 普通の人間でもここまでの絶壁は珍しいのに魔物でこれか可哀想に…

「まな板!? って、そんな目でオラたちを見るな!! これでも感度はいい…。って、何を言わすだ!!」

「おい、落ち着くだ。オラ達がそげなこと言っても虚しいだけだ」

 まな板たちが互いの体を見た後に悲しげにため息を吐く。うーん、こんな状況でも隙ができないのか。

「おぬしら、そのようなさじはどうでも良いから、そいつをひっとらえよ!!」

 ひっとらえよ? なんだ。ここで処分される訳じゃないのか。ならば、奴らの本拠地を知りたいから敢えて捕まろうかな…

 オレが内心でそんなことを思っていたら、目の前にいる絶壁の竜人たちが自らの身体を弄った後にため息をついた。

「まな板か…。陛下は良いダスな」

「うんだ。うんだ」

 オレは陛下と呼ばれていた竜人の体を見た後に重いため息を吐く。確かにあの素敵ボディは魅力的だ。顔が竜じゃなければねぇ。

「ええい!! いいからそいつは妾に狼藉を働いたのだ。早く引っ捕らえて牢獄に連れて行け!」

 オレの視線に気がついたのだろう。奴がイヤそうな顔をした後にそう言ってきた。

 うーん、男か女かわからない絶壁達に捕まえられるのは癪だが、ここは捕まっておいたほうが無難だ。なんたって、苦労せずに敵の本拠地に行けるわけだしな。

 オレは抵抗もせずに大人しく奴らに捕まり、竜人の本拠地に向かうのであった。
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