触手系な彼女と半吸血鬼な彼氏の性事情

琴葉悠

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二人の視点

二人の視点~いつまでも一緒~

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 私が入院してからクルスさんは一人の生活をすることになった。
 不安だったけど、クルスさんは入院する私達を気遣い毎日のように面会に来てくれた。

 そのとき、ちゃんと掃除洗濯はしているかとか聞いて頷いているのをみて嘘をついていないと分かったので安心した。

 そして、とある秋の日。
「あ、生まれる」
 私が呟くと看護師さん達が一斉にざわめいて、担当医さんもきた。
 その間にクルスさんに電話すると、クルスさんは会社を休んでくると言って即効で尋ねてきた。

 触手の塊が柔らかくなり、ずるずると動き出す。
 医師達の見守るなか、ぽっかりと空いた箇所から二人の赤ん坊が姿を見せた。
 液体が流れると、赤ん坊達は声を上げて泣いた。

 ほぎゃあほぎゃあ

「男の子と女の子です!」
「はい」
 タオルで包まれた赤ん坊二人を抱きしめる。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
「ああ、本当だ。マナ有り難う、子ども達、有り難う……!」

 クルスさんのご両親と、私の父母も来て赤ん坊を見てほっこりしていた、

「名前はどうしましょうか?」
「そうだな、どうしようか?」
 二人で考え合った結果、レナとレオンになった。
 女の子には私の名前を一文字クルス先輩は入れたかったらしい。

 さてこの子達だが──
 ばっちり私とクルスの子だ。
 つまり触手族の血を濃く引いているし、吸血鬼種の血も濃く引いている。
 どんな化学反応というかどんな風に育つか分からない。
 今は私のおっぱいを吸いながらすやすやと眠っているのでとりあえず安心だ、と思って居た。



 事件が起きた、病院に触手族の赤ちゃんが生まれたと聞いた悪い研究所の連中が私が眠っている間に赤ちゃん達を誘拐しようとした。
 が、阻止された。
 誰に?
 レナとレオン、赤ちゃんに。

 吸血種の触手でがぶがぶかじり貧血状態になったら今度は捕食触手で食べようとしていた。

 さすがに目を覚ました私が二人を犯人から引き剥がして、事件は表沙汰になることなく、裏側で処理され、その研究所は潰れた。

 我が子ながら末恐ろしい。

 しかし、そう言った行動をするのは自分に悪意がある者だけで、そうじゃない方には普通にだっこされ、普通の赤ん坊でキャッキャと笑ってすら居る。

 我が子ながら末恐ろしい。


「レナ、レオン」
「あぶぅ」
「きゃっきゃ」
 名前を呼ぶと反応をする。
 私の可愛い子ども達。

「マナさん」
「お邪魔します、マナさん」
 来訪がある、毎日のように。
「あ、義母さんに義父さん、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう。レナちゃんとレオンくん、こんにちは」
「だぅー」
「あぅー」
「まぁ、本当可愛らしい孫だわ!」
「うむ、本当に可愛らしいな」
 義母さんと義父さんもほっこり。
「今日はお土産とかないですよね?」
「ケーキだけです、大丈夫以前のようなことはしませんわ、ね? 貴方」
「う、うむ」
 実は義父さん、初孫ということではっちゃけフィーバーを起こしまして、玩具をドカ買いして、私達夫婦をドン引きさせ、義母さんに叱られました。
 ドカ買いした玩具は通販だったのでなんとかクーリングオフ成功。
 それ以来、玩具を買う時は私達夫婦と孫の様子を見て買うことにするとなりました。
 現在私は産休のまま。
 そして夫は──クルスさんは──

「マナ、ただいま……なんだ父さん達も来ていたのか」

 育休真っ最中。
 買い物をお願いしてました。
「はい、ケーキを買ってきてくれたんです」
「じゃあ、マナ。レナとレオンの様子は私が見るからお茶をするといい」
「じゃあ、お茶は私が入れさせて貰うわ」
  クルスさんは荷物を全てしまってから、レオンとレナを私の代わりに抱っこしソファーに座る。
「よしよし、いいこいいこ」
 クルスさんも立派な大人だ。
 体の「傷」は癒えきっていないけれども、それでも夫婦としてやっていけてる。

 防犯対策、防音対策等をしっかりしている一軒家を義父さんから譲り受けた。

 豪邸といっていい、最初は断ったが、孫の身辺を守るにはこれ位させてくれと言われ、私も政府の人に言われて折れた。
 警備がしやすいからと。

 今も警備されているし、不法侵入者はゼロだ。
 まぁ、不法侵入したら即バレるし、私と子ども達の触手の餌食になるので侵入したら最後だろう。


 そして数年が過ぎ──

「レナ、レオン。保育園にいくから準備は?」
「できた!」
「できたの!」
 すっかり大きくなり保育園に行くレベルに。
 ちなみに言い聞かせて触手族の血を引いていることは誰にも言ってはいけない、先生方しかしらないということになっている。
 触手族と明かさないように、触手を使わないようにと躾は完了済みだ。

 だから問題は起きたことがない。
 最初は実家に帰って子育てをしようと思ったが、それは最終手段にしようとクルスさんに言われた。
 確かに、故郷に帰れば触手族への理解は高いが、理解が高い中で成長するとそれに慣れてしまう、慣れすぎてしまえば隠すのが下手になる。
 だから、隠す事を覚える今の状況をしっかりと身につけるのが良いだろうと思った。
 この子達の人生に多くの選択があるこの場所は捨てがたい。

 子ども達もそれが何か分かっているのか、素直に聞いてくれた。

 保育園、トラブルもなく過ごせたと言えば嘘になる。
 クルスさんにアプローチしようとするシングルマザーや、保育園の先生が居たので苦情を入れた。
 すると、先生は触手族だとバラすと言ってきたので黒服さんに即通報、ドナドナされていき、新しい先生が入って来た。
 シングルマザーには私とクルスさんのいちゃつきを見せて撃沈させました。

 貴方達が入る隙間は無いんですよ、悪いけど。

 クルスさんは一途に私を愛してくれるし、私もクルスさんを一途に愛する。

 ねぇ、小さい頃の私。子どもの頃の夢が叶ったよ、お嫁さんになるって夢が。
 今とても幸せだよ──





 マナが子どもを生み、レナとレオンと名付けた。
 女の子の方はマナの名前に似せたかったのがある。
 二人とも触手族の血と、吸血鬼種の血を強く引いているらしい。
 でも、関係ない、私とマナの間に生まれた愛の結晶だ、可愛い以外何物でも無い。

 まぁ、不法侵入して誘拐しようとした奴を瀕死にしたそうだがそいつの自業自得だ。

「レナ、レオン」
「きゃっきゃ」
「きゃっきゃ」
 楽しそうに玩具で遊ぶ二人を見て私は頬を緩ませる。
 こんな家族に憧れていた、決して自分ではもう届かないと諦めていた。
 でも、そんな家族が作れたことを誇りに思っている。
「クルスさん、腕突かれないですか」
「大丈夫だ」
「ふぎゃあふぎゃあ」
「ふぎゃあふぎゃあ」
 我が子等はそろって泣き出した。
「おっぱいですねー」
 そう言って、マナは服のボタンを外し、下着をまくって赤ん坊達にミルクをあげ始めた。
「可愛い」
 そういうマナが可愛いと思ったが言うのは我慢。
 空気を読めてない発言になりかねないし。
「そうだな、可愛いな」
「もうじき育児中はリモートワークなのが有り難いですよね」
「ああ、おかげで子育てに集中できる」
 育児休暇を私達は取り終えた後、子どもが大きくなるまでリモートワークで良いと言われた。
「保育園に入れるようになるまでとは義父さんも太っ腹ですね」
「いや、会社で人材が流出したり、居なくなるのを防ぐ為、こうしたらしい」
「流石です」
 おかげで、父の会社は優良な人が入ってきている。
 子会社の改革も適宜行っており、会社のルールとは違うルールを行おうとした場所は即効で改革され、それを行おうとした人物は干される。
 良いルールならともかく、悪いルールで圧政のような事をすればそうなる。
 父は寛大だが、同時に厳しくもある。

 子どもが生まれてから、親子のような会話ができるようになった。
 それまではマナを介して会話しないと腫れ物扱いだったが、今はそうじゃない。

 それが嬉しかった。

 まぁ……孫馬鹿発揮して大量の玩具を通販で買ってきたのを見た時は引いたが……
 母さんに散々に叱られてクーリングオフされて、今は一緒に買いに行くようになっている。

「マナー! クルス君! いるかね⁈」
「お邪魔しまーす」
 マナのご両親……義母と義夫がやってきた。
「義父さん、義母さん、こんにちは」
「おお、クルス君。こんにちは」
「こんにちは、マナと、レナちゃんとレオンくんはどうしてる」
「遊んでますよ」
 と言って部屋に案内する。
「レナー! レオンー! じぃじだよー!」
「じぃじ!」
「じぃじ!」
 つたない言葉をしゃべれるようになっていた。

 ちなみに最初に言った言葉は「ぽっぽ」だ、二人とも。
 汽車の玩具で遊ぶのが好きだったからだが……少し納得いかん。
 その次が「まぁま」で次に漸く「ぱぁぱ」が来て一安心したのは言うまでも無い。

「ばぁば!」
「はい、ばぁばですよー」

 義父と義母は月に一度やってくる。
 遠いし、まだ義父は現役なので月一が限度だ。

「マナさん、クルス。お邪魔します」
「お邪魔します」
「父さん、母さん、いらっしゃい」
「クルス、マナさんと孫は?」
「マナと、マナのご両親が孫を見ているよ」
「うむそうか」
 父は靴を脱いで急ぎ足で声のするほうへ向かう。
 母はクスクスと笑っている。
「ケーキたくさん買ってよかったわ」
「そうだね」
 私も笑う。

 そんな時間が数年続き──

「レナ、レオン。小学校へ行く準備はできているか?」
「うん、父さん、ばっちり」
「大丈夫よお父さん」
「あら、水筒は?」
「「あ!」」
 二人はそろって声を出す。
 マナはクスクスわらって水筒を鞄に入れる。
「さぁ、行きましょう」
「うん、母さん!」
「はぁい、お母さん!」
 家族で車に乗り、小学校まで送る。
 そして見送ってからマナと一緒に会社に向かう。

 小学校も順調に馴染んでいる。
 保育園時代は……私が保育士やシングルマザーに色仕掛けを駆けられ吐きそうになったり散々な目にあったが、マナのおかげでなんとかなった。

 子ども等も、本能的に「お父さんはお母さんに弱い」と認識しているのか、たまにしっかりしてよと言われる、悲しいが事実だ。
 私はマナには弱い、色んな意味で勝てない。

「ねえ、クルスさん」
「どうしたんだ?」
「あの子達、弟か妹が欲しいんですって」
「そうか……」
「どうします、貴方?」
「そうだな、近いうちに父さんと母さんに預けて子作りしようか」
「ええ」

 一年もすれば、私達に家族が増えるだろう。
 それもみんなに祝福されて。


 幼い頃夢があった。
 普通とは行かないが幸せな家庭が欲しいと。
 愛され、幸せになりたいと。

 それが叶ったのだ。
 愛する子ども達に、そして最愛のマナが側に居てくれる。
 こんな幸せな日々はない。

 どうか、末永く続きますように──




 クルスとマナはそれから子どもにも恵まれ、家庭も順調で、仕事も良く、幸せに暮らし、クルスの父が社長を退いた後、クルスは社長になった。
 そして会社をよりよく、大きくしていき、敏腕社長とそれを支えた家族として名前を残した。
 でも、そのクルスを支えた妻が触手族の血を引いているのを知るのはごくわずか政府や研究所の人間だけだったという。
 触手族の血を引く子ども等を、クルスとマナは平等に愛し、そして慈しんだ。
 反抗期というのがあったりなかったりしたが、それでも子ども達は健やかに育った。


 こうして、傷だらけの半吸血鬼の青年と、一人だった触手族の血を引く女性は生涯ともに過ごしたそうだ。
 幸せに、幸せに──








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