私のセクサロイドは××

琴葉悠

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私のセクサロイドはスパダリ~どろどろに甘やかされます~

見合いはもういや!~男前セクサロイドに甘やかされる⁈~

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「今回も先方が別の方と……」
「もう嫌だー! 見合いなんてー!」
 私は全力で叫んだ。


 私の名前は早瀬はやせ朋香ともか
 27歳の会社員だ。
 そして、親に勧められて見合いを何度もさせられる結婚をはよしろとせかされている。
 親は古い考えの持ち主で、女は早くに結婚し家庭に入る物だと思っている。
 そんな考えに嫌気がさしてきて都会に出たのに、見合いを勝手にセッティングしやがるから頭にくる。
 現実の男はいいつらして、見下してくるし──

「もう嫌だー!」
 と会社の休憩中に叫んでしまった。
 何十通目かの見合いのセッティングの話のメールを見て。
「どうしたの朋香さん」
「あ、七瀬ななせ先輩に、心花こはな先輩」
 ぶわっと涙があふれる。
「どうしたのー⁈」
「朋香さん、私達で良かったら話聞くよ?」
「ぐず……本当ですか?」
 二人は頷いてくれたので私は話した──


「まだそんな古い考えの家残ってるのが驚きですわ」
「そうねぇ」
「ぐず……私仕事辞めたくないし、それに男はもう嫌だし……」
「じゃあセクサロイドを買ってみたらどう?」
「セクサロイド⁈ あれってセックスするための──」
「古い考えの教育受けたみたいね」
「私と同じだわ」
 二人はこほんと咳をする。
「家族呼び込みOKの会社のBBQで私の夫と子ども達見たでしょう」
「はい! すっごい綺麗な方と、格好いい方ですよね! お子さんもとても可愛くて──」
「実はその旦那、セクサロイドなの」
「へ?」
 私は耳を疑った。
 だって、私にもよくしてくれて、食事も一緒に食べていて、それでいて──
 え?

「仕方ない、今のセクサロイドについて講義しましょう、時間はある?」
「は、はい」
 という訳で、社長さんから講義時間をいただいて、セクサロイドに詳しい先輩達から講義を受けることになった。

「今のセクサロイドは人口減少対策として作られたセクサロイドが雛形、つまり子どもがつくれる」
「え⁈」
「ただ、セクサロイドにも権利があると定め、購入したからといって暴力行為とか酷いことはしちゃ駄目ってなってるの」
「は、はぁ……」
「購入時のセクサロイドは生殖機能がオフになってるけど、購入者がオンにするように言えばオンになり、子どもが作れるようになるの」
「さ、セクサロイドとの子どもって何か起きたりしますか?」
「いいえ」
「全然」
「寧ろ近年の報告ではセクサロイドとの子どもの方が優秀な子が生まれるとさえ出てるわ」
「マジですか……」
「それとセクサロイドは家の事をやってくれるの、家事とかは勿論全部ね」
「本当ですか⁈」
 掃除が全然デキてない我が家の救世主⁈
「ちなみに、市販のセクサロイドと、オーダーメイドのセクサロイドがあるの、オーダーメイドだと自分好みの外見の男性にカスタマイズして送ってくれるの、ただしちょっと時間がかかるけど」
 私の頭の中には、このまま親に振り回される人生はまっぴらごめんだ。

 だったら──

「私、セクサロイド買います! オーダーメイドで! だから買い方教えて下さい!」
「分かったわ、私が教えてあげる、ただ……」
「ただ?」
「オーダーメイドの仕方によっては大変なことになるから注意してね?」
「は、はい」
 真剣な目で言う七瀬先輩を他の先輩は何故か生暖かい目で見つめていた。


 会社が終わり、家に帰ると、ネットでセクサロイドのサイトを開く。
 一通りセクサロイドを見てみるがジャストミートな人物はいない。
 ならばと、オーダーメイドをクリックする。

『はい、こちらセクサロイドオーダーメイド部署ですが』
「あ、あのセクサロイドをオーダーメイドしたいんですが!」
『畏まりました、資料等がありましたらお送り下さい』
 大好きなゲームのキャラの画像を送る。
『このような容姿の方ですか?』
「CHAIN×CHAINってゲームのキャラなんですけど」
『はい、分かります。性格もそのような感じで』
「は、はい!」
『他には何かございますか』
「えっと、私処女なのでそこを気遣っていただけると嬉しいです。それからそのキャラは包容力もあって、ハンサム……」

 と、色々と事細かに伝えた。
 伝えた、うん、多分。

『畏まりました、お値段はこちらに』
「うん、大丈夫払えます」
 貯金は結構貯まっているから払えるはずだ。
『クレジットですか?』
「はい」
 クレジットの部分を入力する。
『畏まりました、半年程ほどかかりますのでお待ちください』
「はい」
 通話を終え、サイトを閉じる。
「よっしゃあ! やったぞ! これで親から逃れる第一歩だ!」
 私はガッツポーズをした。
 そして、メールを返信する。

 見合いなんて糞食らえ!

 と、出す。
 家族は住処をしらない、というか社宅に住んでるのを知らない。
 女性も男性も社宅が用意されている。
 広々としているはずだが──掃除の苦手な私は狭くなっている。

 それはさておき、親はメールでしかやりとりしていない。
 もう会いたくないからだ。
 学校に行かせてもらえるのも一苦労した親なんぞに会いたくない。
 だから学費は既にボーナスとかで全部返した。

 兄達もいるが、どうしてるかしらない。

 私は私で幸せになってやる‼




 そして半年が経った。

 ピンポーン!

 チャイムが鳴る。
 確認して出ると──
「早瀬さんのお部屋ですか?」
「はい!」
「こちらにサインを」
 サインをし、大きな箱を部屋に運んで貰う。
 その程度の足の踏み場は用意しておいた、前日。
 箱を置いて、出て行く。
 かなり大きい箱だ。

 私は開封すると、そこには黒いコート、黒いワイシャツ、黒いズボン、ベルトの服を着た金髪のオールバックの男性が目を閉じていた。
「……」
 男性は目を開けて、私をじっと見る。
 その仕草にどきっとする。
 男性は起き上がり、私にキスをした。
「お早う、ハニー。今日から宜しく頼むぜ?」
「qあzwsぇdcrfc」

 突然の行動に脳みそがパンク。

「おいおい、大丈夫か。ハニー?」
 青いきりっとした目が私を見る、私は買っていたサングラスを手に取り──

「直視できないからかけてー!」
「おいおい、普通逆じゃないか?」
 と苦笑しながらもそのセクサロイドはサングラスをかけてくれた。
 うん、馴染んでいる。
「じゃあ改めて自己紹介だ朋香、俺はジェイ。お前のだけのセクサロイドだ」
 胸がキュンとときめいた。
「さて、することがまずある」
「な、何でしょう?」
「部屋の掃除だ! こんな狭い部屋のままじゃロクにくつろげないだろう!」
 セクサロイド──ジェイはそう言って掃除を始めた。
 テキパキと。

「本当に、家事が上手なんだぁ……」

 私はその姿にあっけにとられた。





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