私のセクサロイドは××

琴葉悠

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私のセクサロイドはスパダリ~どろどろに甘やかされます~

親との決別~大事なパートナー~

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「まずやった事が掃除とかの家事ねぇ」
「お部屋がピカピカになりました」
 朋香は会社に出ると、そう伝えるとお弁当箱を開けた。
「あれ、朋香ちゃんお弁当箱もってたっけ?」
「無かったです、そしたら『明日から会社だろう、俺が飯を作ってやるよ』と弁当箱を買いに行かされました、めちゃ目立ったです」
「でしょうねぇ」
「今度会わせてくれる?」
「聞いてみますね、先輩方のセクサロイド……夫さんもちゃんと見てみたいですし」
「うん、次の休みでね」
「それまでは仕事頑張るぞー!」


「──と、言うことになりました」
「へぇ、先輩のセクサロイド……基夫達と会うのか、いいぜ」
「本当⁈」
「男前っぷりを見せつけてやる」
「いや、そう言う対抗意識は勘弁して……」
 朋香はげんなりした表情を浮かべた。
「ところでさっきからスマホがピロピロ五月蠅いがどうしたんだ?」
「……実家、見合い押しつけてくるんだけど断れなかったけど、ジェイがいるから『もう二度と見合いなんかやるかバーカ!』って感じのメール送ってからこの様……だから見てない」
「……一応見といた方がいいんじゃないか?」
「ジェイが言うなら……」
 鬼電が来ていた。
 電話に出る。

「はい」
『ちょっと朋香、貴方どういうことなの⁇‼』
「もう運命の相手見つけたんで見合いはしません、ついでに運命の相手もみせません! もう親子の縁は切りますんで電話してこないで! 私を探すな! 私の人生に干渉するな!」
 そう言ってぶつりと切って、家族の電話を着信拒否した。
 そのまま、会社の社長にメールをし、もし家族が来ても追っ払って結構ですとお願いのメールを送ると、すぐに返信が来て「そういう親って大変だよね、任せて会社と社宅には一歩もいれないから!」と連絡が来た。
 社長に気軽に相談できるこの会社に入って良かったと心の底から思った。
「厄介な親を持ったな朋香」
「本当にね。この会社じゃなかったらどうなっていたことか」
「ああ……確かに」
「ところで今日の晩ご飯は何?」
「ああ、今日の晩飯はな──」
 朋香はジェイに抱きつき、きゃっきゃとしながら思った。

──先輩達の言う通り、セクサロイドだけど、セックスだけじゃない、すごい、今のセクサロイド──
──いや、待て、セックスしてないぞ?──
──いいのかな、それで──




「あはは、私のとは別の悩みを抱えてる」
 七瀬が朋香にそう言った。
「別の悩み」
「私の旦那はね──来た当初からセックスしたがりですごい大変だった、というかセックスが必ず入る。家事とか完璧なんだけども」
「おういぇ」
 思わず朋香は変な言葉を発する。
「今は落ち着いてるけど、それまで大変だったのよ?」
「お子さん、いらっしゃるんですよね?」
「そう、三歳児と半年の子がね」
「ご、ご両親の反応は?」
「結婚できないだろうと思ってたから、感激してた。最初セクサロイドって驚いたけど、子ども達を見せたら本当孫ができたと大喜びでね、ウィルに感謝してたよ」
「ほへー……」
「私の両親は元々理解のある人達だったから、ランクスと子ども達に甘々だったわ」
「いいなぁ、そう言う家庭で生まれたかったなぁ……」
「朋香ちゃん……」
 心花は朋香の頭を撫でる。
「親にも色々あるわ、だからわかり合えなくてもいいのよ。私達は運良くわかり合えただけだもの」
「心花先輩……」
「わかり合えなくてもいい、貴方は貴方の家庭を築いていくんだから、貴方のセクサロイドパートナーと」
「パートーナー」
「セクサロイドはパートーナーよ、覚えておいて。道具じゃない、パートナーよ」
「は、はい……」
 朋香は心花の言葉を心に刻み込んだ。




 その日、朋香は心花達と社宅に帰ると、大騒ぎがあった。
 警察や警備員の人が取り押さえている。
 その相手は──

「朋香ちゃん、もしかしたあれって……」
「私の……両親、です……何で……」
「探偵を使ったんでしょうね」

「朋香! こんな会社辞めて家に戻って来なさい!」
「そうだぞ! 幸いお前を嫁にしてくれるという家は──」

「五月蠅い黙れ!」
 わめく両親に、朋香は怒りを露わにして行った。
「私にはもうパートナーがいる! アンタ達の決めた結婚相手なんてお断りだ!」
「な……親に向かってなんてことを!」
「どうせろくでもない相手に決まってる!」
「警備員さん、警察に突き出してください。接近禁止令もぎとって欲しいと社長に連絡を」
「わかりました、お願いします。器物破損と不法侵入の件で被害届を」
「被害届け⁈ と、朋香たすけてくれ!」
「いや! 二度と関わらないで‼ 顔も見たくない!」

「自棄に下が騒がしいと思っていたら……」
「何でしょう? この方々」
「朋香、無事か?」

「ウィル!」
「ランクス……」
「ジェイ……!」
 部屋から心配して下りてきたジェイに、朋香は抱きついた。
 朋香の先輩達も自分の伴侶に駆け寄る。
「ジェイ? ……ま、まさかお前セクサロイドなんかを購入したのか!」
「五月蠅いわね! なんかじゃないわ、ジェイは私のパートナーよ!」
「ふざけるな! セクサロイドなんぞの分際で!」
 父親が激しく怒っている、それが朋香には理解ができなかった。
 それに対して心花がくすりと笑った。
「セクサロイドが今のようになったのは百年以上前の事、つまり朋香様の元お父様は、昔恋人に対して失礼な態度をとり続け、別れ際にセクサロイドと一緒になるからと言われたから怒っていらっしゃるんでしょう⁈」
「なっ⁈」
「貴方⁈」
「そういう方に限ってセクサロイドへの当たりがきついんですよ、だって恋人や家族を大事にしないならセクサロイドの方がいいですから。シングルファザーや、シングルマザーになった方がセクサロイドを家政婦、家政夫として購入して後に結婚というのは当たり前の時代ですよ」
 くすくすと笑う心花に対し、父親は顔を真っ赤にしている。
「そんなもの認めんぞおおお!」
 と警察官の拘束を解いてジェイに襲いかかってきた。
 がジェイは朋香を抱きしめたままひらりとかわし、父親は地面にダイブする。
「俺は自分にかかった火の粉は払うぜ、勿論朋香にかかる火の粉もだ」
 サングラス越しにぎろりとジェイは朋香の父親を睨んだ。
「今弁護士に連絡した、セクサロイドの会社の顧問弁護士舐めるなよおっさん」
 そう言って朋香を撫でる。
「悪いけど、私と二度と関わらないで、次会社と社宅に来たら訴えていいって社長さんにも言っておくから」
「か、家族を見捨てるのか⁈」
「家族? 自分の思想を押しつけて、大学どころか高校にも行かせようとしてくれない親の何処が家族か!」

「二度と来るな! 赤の他人め!」

 そうして朋香の両親は警察署へ連れて行かれた。




「ごめんなさい、先輩、巻き込んでしまって……」
「いいのよ、そんな事より……」
 心花がジェイを見る。
「貴方が朋香さんのパートナー?」
「初めましてレディ、俺はジェイ。朋香のパートナーだ、セクサロイドといった方が正確か」
「ううん、ジェイは私のパートナーだよ」
「そうか、それなら嬉しい限りだ」
「ところで……そちらのレディは何故パートナーが俺を威嚇してるんだ?」
「そ、そのウィルはちょっと独占欲が強くてあははは……」
「七瀬先輩、だから慎重かつ丁寧にやるように……」
「まぁ、今は可愛いと思えるからいいんだけどね」
 といってロングの金髪に金色の目に、中性的な男性の頭を宥めていた。
「まぁ、私の部屋で少しお話でもしましょうか。ランクスいい?」
「勿論だとも、あ、でも子ども達は連れてくるようにね」
「分かっている」
「有り難うございます」
 朋香達は心花の部屋へとお邪魔することになった──






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