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第三章:学園生活開始!
術王について~ちょっと待って入学生代表とか聞いてない!!~
しおりを挟む「――いえ、流石にそれは言いすぎかと……」
色々思考停止したり、アレな状態だった私は少し考えて、ブルーノ学長の言葉をそう否定する。
この世界にダンテとして生を受けて勉強する中で、出てきた有名すぎる名前だ。
サロモネ・インヴェルノ。
インヴェルノ姓の通り、私のご先祖様であり、王族、王様。
初代国王という訳ではない。
彼の時に重大な事件が起きたのだ。
それは「生への憎しみ」事変とも呼ばれてた…らしい。
確か。
今は比較マシだが、昔は色々と問題が山のようにあったらしい。
その結果、色んな嘆きや憎しみ、そう言った感情が積もりに積もって「芽吹いた」そうだ。
いや「産声」を上げたの方が正しいかな?
どっちにしろこの世界に現れたソレはあらゆる命ある存在を殺し始めた。
老若男女、動物、妖精、精霊等――見境なく殺し始めたのだ。
あらゆるものを憎悪し、殺した。
ソレを弱体化させ、封印まで何とか持っていったのがそのサロモネ・インヴェルノ。
他の国の王達も手伝いはしたらしいが、殆ど彼がやった事らしい。
また、ソレによって傷ついた者や大地を癒すのも彼が行ったらしい。
その後も色々な事を行った結果、彼は「術王」と呼ばれるようになった。
それは生への憎しみと今も呼ばれ、厳重に封印されているが、知っているのはごく一部のみ。
国王は即位時に教えられるらしい、それまでは教えられない。
他に知っている者については何処にも記載されていない、秘匿すべき情報だから。
『おい、現実逃避もその辺にしておけ』
――んがー!!――
神様に話しかけられない限り、一人の状態での現実逃避をしているとやはり神様が口をだしてきた。
いや遅かれ早かれ口だすだろうとは思ってたけどさ、もう少し現実逃避していたいじゃん。
――そんなとんでもない人物基ご先祖様と一緒にされても困るわ!!――
何か嫌なフラグが立ちそうな気がして怖いし。
なのであんまり考えたくはない。
『つべこべ言わずに現実逃避を止めんか、話が進まんではないか。お前のその現実逃避の癖はどうにかするべき……まぁ、したくなる気持ちも分からんではないが……』
――だから何となく不穏に感じる言い方本当に止めてくれませんか??――
『仕方なかろう、まぁいいからとっと戻れ』
――無慈悲だー!!――
強制的に、現実逃避解除……ゲーム的に言えばポーズボタン状態で考えてるのを終了させられているようなものだ。
再び現実と向き合わさせられる。
「いえいえ、凄い事なのですよ!!」
「いや、その過大評価しすぎですよ、ブルーノ学長……」
先ほどの好々爺という雰囲気はどこへやら、興奮冷めやらぬと言わんばかりの状態で近づくブルーノ学長の様子に私は若干引いてしまう。
「か、仮にそうだとしても、私はまだまだ若輩者。どうなるか分かりません、術王と呼ばれたサロモネ王の様な偉大な王になるかもしれませんが、ただ力を持て余して何もできない愚王になるかもしれません」
私はそう言って否定すると、フィレンツォがワザとらしく咳をした。
「――それはないでしょう。ダンテ殿下は既に次期国王として民や大臣、陛下から期待され、信頼をされております。この学院でロクに勉強もしないという事はないでしょう」
――いや、勘弁してくれ――
「むしろ、全員が心配している事はダンテ殿下の『伴侶』が見つかるかどうかです」
――……とある四名を「伴侶」にするために、此処に来てるんだよ――
「そうダンテ殿下の『腹心』たる御方に関しては私は心配しておりませんが『伴侶』に関しては別ですので」
「ははは……まぁ、それは、もうなるようになるとしか言えないですよ」
目的とか本音を暴露するわけにもいかず、私は苦笑いでその場をやり過ごそうとする。
「おや、フィレンツォ様はダンテ殿下の『腹心』ではないのですか?」
「はい、私ではありませんダンテ殿下の『腹心』は『副王』たる御方は」
フィレンツォがやたらと強調する「腹心」に私は何だっけかと少し思い出そうとしたが――
『今はやめとけ、後で分かる』
と神様に言われたので、内心しぶしぶ考えるのを止めた。
後で痛い目に遭いそうな気がするんだけどなぁと思いつつ。
「なるほど……ダンテ殿下の伴侶が見つかったなら私としては嬉しい限りです」
「どうでしょう……私はそう言った事柄に疎いので……」
――実際は自分で向こうもこっちも線超えないようにしてるんだけどさ!!――
本音を隠して、答える。
「いえいえ、ダンテ殿下のような方でしたら誰もが気になさるでしょう!!」
「そうですね、ですから悪い輩や既に婚約者がいるのに乗り換えようとするような連中はこちらが排除させていただきます」
――うへぇ――
――まぁ、つまり……いわゆる玉の輿に乗ろうと……いや、待てこの場合逆玉の輿……?――
『どっちでもいいだろう』
神様にツッコミされつつ、私は遠い目をする。
「ところで、今年の入学者の代表は何方に?」
「それはもうダンテ殿下以外いらっしゃりません!!」
「?!?!」
水を飲んでいたら吹きだす位に私は驚いた。
「その通りですね、入学の審査でもトップ、特別試験でもどうやら誰も肩に並ばないようですし、ダンテ殿下に頑張ってもらいましょう」
「ま、待ってください!! 今聞きましたよ?!」
「ええ、当然です。特別試験で一番成績が良い方に毎年の入学式の代表をやってもらっているのですから」
――ヴァー?!?!――
楽しそうな顔のブルーノ学長と、さも当然ですと言わんばかりの表情のフィレンツォを見ながら私は心の中で奇声を上げた。
いや、覚悟はしていた。
平穏無事な学生生活など無理だろうとは思っていた。
だが、少し位平穏な学生生活味わいたかったなぁと思ってしまう。
『仕方あるまい、そうでなくてはならぬのだから』
――ちくせう……――
『まぁ、宣誓文は内容が決まっているから、お前はそれを読むだけだ、安心しろ』
――わーい、でも嬉しくないー!――
『入学式明後日だからな。文章作らせる事してたら色々大変だろうから、読ませるだけだ、頑張れ』
――デスヨネー――
遠い目をしている私に、フィレンツォが近づいてきて囁いた。
「ちなみに、エドガルド殿下も、ガラッシア学院で入学者代表を務めました」
「……兄上は本当に、素晴らしい人です」
「ええ、本当に、凄い御方です……エドガルド殿下は」
フィレンツォの言葉に静かに頷く。
毒の所為で、苦しく病んでいたのに、それを見せずに代表としてしっかりと行ったのだ。
事情聴取の時、学生たちは誰一人として、兄(エドガルド)が「病んでいる」事に気づかなかったそうだ。
だからこそ、私は彼を苦しめた愚者達が許せなかった。
「ダンテ様、何かあったら私に遠慮なく申し付け下さい。私は貴方様の執事です」
「……有難う、フィレンツォ」
フィレンツォの存在がより有難かった。
「さて、では荷物を運び終えたら練習をしましょう」
「――え?」
「宣誓の練習です。いきなり本番というわけにはいかないでしょう」
「ええ、その通りです。ダンテ殿下、しばしお付き合いをお願いいたします」
「は、はぁ……」
私は再度ある意味「現実」に引き戻され、苦い笑みを浮かべた。
――プレゼンテーションとかを思い出す……――
『安心しろ、論文発表やプレゼンテーション等と違って何か言われる事はない』
――それしか救いがない……いやだー目立つのいやだー!――
『今更何を言ってるんだお前は』
呆れた神様の声。
今更なのは分かってるけど、私にはキツイ。
明るい学生生活など知らん私にはキツイ。
正直入学生代表として宣誓する事は拒否したいが、これは拒否できないようなので、私は諦めて遠い目をしながら、案内されるがままに寮へと向かった。
寮ではない正確には、王族用の屋敷。
――おしょらきれい――
現実逃避をするように真っ青な空を見上げた。
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