ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~TS転生でへたれ攻めだけど幸せにしてみせる!~

琴葉悠

文字の大きさ
38 / 120
第三章:学園生活開始!

入学式後の一波乱??~売られた喧嘩は買いますとも~

しおりを挟む



『――この歴史と伝統のある学院において、素晴らしい教職員の方々のご指導のもとで仲間たちと切磋琢磨し、それぞれの夢や目標の実現に向けて全力で取り組んでまいりますことを宣誓し、新入生代表の挨拶とさせていただきます』

 宣誓文を読み終えて、やるべきことやり、私は壇上から下りた。

――二度とやりたくねぇ――

 そう思いながら椅子に座るが、絶対それは表には出さない。
 この18年間プラス前世で苦行に耐える事でそれ位出来るようにはしている。

『そこで前世……美鶴だった頃を加えるのは言ってて自分で悲しくならんのか?』
――気にしないでください、そっとしておいてください――
『う、うむ』

 そりゃあ言ってて悲しいが、事実なんだから仕方ない。


 入学式が終わり、会場の外へと出る。
 外には淡い色の花がついた樹木が並んでいた。
 会場に入る前は憂鬱感とかプレッシャーで気にする余裕もなかったが、今こうしてみるととても綺麗だ。
「……チリエでしたか?」
 薄い白い花。
 けれども淡く様々な色に染まっている。

 桜に似ているけども、違う植物。
 いつ見ても、懐かしさと同時に寂しさが沸き上がる。

「ダンテ殿下はこの花が好きでいらっしゃいましたよね」
「ええ、私はこの木が――好きですよ」
 じっと木を見上げる私に、隣にいたフィレンツォが声をかけてきたので答える。
「……フィレンツォは好きなのですか?」
「私よりもビアンカと――」
「あ、それ以上はいいです」
 私は即座にそれ以上言うのを止めさせた。
 フィレンツォの愛妻家、家族愛故ののろけは正直キツイ。
 うざいレベルだ。
 学生ではないので、フィレンツォは手紙以外でのやり取りが許可されており、毎日のように母国にいる奥さんと、子ども達と通話をしている。
 何度かフィレンツォの奥さんとお子さんにあった事があるが、その時も溺愛っぷりに奥さんがツッコミを入れる程だった。
 奥さんに「ダンテ殿下申し訳ございません、夫はいつもこうなるんです」と謝罪された程だ。

 フィレンツォの家族と会う度に、奥さんに突っ込まれて地面にめり込むフィレンツォを見る羽目になっているが、当分ないのは安心するものの、何か色々とありそうで怖い。
 フィレンツォは私の執事だ。
 だから余程の事がない限り、フィレンツォも私と同じく四年間帰国することはない。

 家族には父が選出した護衛が付けられているが、何かが起きないと断定はできない。
 何かあった時、私はフィレンツォに声をかけて支えてやれるのだろうか――


『安心しろ、そっち方面では何も起きぬ』
――ありがとうございます――

 割と嬉しい神様のお墨付きを貰った。

『さて、そろそろ厄介ごとが来るぞ』
――はい?――
『とっても今のお前にとっては赤子の手をひねるようなものだ』
――はぁ……――


 神様とのやり取りが終わり、そろそろ寮に戻らないとなと思いながら歩き始めると声が聞こえた。
 怒鳴り声。

「どうして私じゃないんだ、コルラード!! 何で学生代表があのような、なよなよとした男なのだ!!」

 その言葉に「あ、私の事か」と思うと同時に、嫌な予感がしてちらりとフィレンツォを見る。
 フィレンツォは満面の「笑顔」を張り付けていた。
 明らかに怒り心頭の空気を纏っている。

「王家のコネを使って代表になったに違いない!!」
「ベネデット様、そのような事をおっしゃられてはなりませ――」

「誰が、なよなよした男ですと?」
 フィレンツォが私の腕を掴んで、老齢の執事に宥められている、若い男に近づいた。

 私は若干引きずられている。

――めんどくせー!!――

 心からそう思った。
 フィレンツォと、私の姿を見た老齢の執事はひっと声を上げた。
「これはこれは、エステータ王国のジラソーレ伯爵のご子息ベネデット・ジラソーレ殿ではありませんか」
 若い男の顔、若干見覚えがあった。

 確か、お邪魔キャラ、絡んでくるという意味合いで。
 恋愛のライバルとかじゃなくて、普通に邪魔という意味の邪魔キャラ。

「誰だ貴様は!?」
 喧嘩腰の男――ベネデットに対して、フィレンツォは営業スマイルのまま頭を軽く下げてから、口を開いた。
「初めまして、私はフィレンツォ・カランコエ。インヴェルノ王国の後継者ダンテ・インヴェルノ殿下の執事でございます」
 ベネデットはそう名乗ったフィレンツォの傍にいる私を見る。
 明らかに敵意のこもった眼差しだ。

――おい、こいつ外交問題起こす気か?――
『頭良くても馬鹿だからな』
――成程――

 心の中ではどうでも良さげ、表面上は困り顔で私はフィレンツォを見る。
「貴様、王族だからって贔屓してもらっただろう!!」

――まぁ、確かに王族用の屋敷あるけどさ――

 と思うだけ。
「いやはや、何と身の程知らずな……父君と、婚約者であるロザリア様が今までの発言とこの光景を見たらどう思うことか」
「な?! 貴様がロザリアと父上の何を知っている」
「少なくともまだお若い貴方様よりは、知っておりますとも」
 フィレンツォ、煽る煽る。

 周囲には野次馬だらけ。
 内心グロッキー、げっそりなう。
 早く戻って休みたい。

 けれども、エドガルドもこんな風に絡まれたりしたのかなぁと思うと、何か腹が立った。
「お前主人のような世間知らずよりも私の方が世間に詳しい!! それに、知識だって豊富だ!! ハ!! ガラッシア学院で主席で卒業したらしいエドガルド殿下も同じなんだろうさ!!」

 ぶっちん!!

 私の堪忍袋の緒が切れました。


――はい、こいつぶちのめす、決めました――
『……まぁそうだろうな』
――はははは、人の事馬鹿にする奴には容赦しませんよー?――
――というかエドガルドの事馬鹿にしたんだ、許す程私は甘くねぇ、自分の事ならともかく――
『まぁ、だろうな。だがその前に、助言というか忠告だ』
――ん?――
『くれぐれも殺すなよ』
――半殺しも?――
『駄目』
――プライドずたずたにすんのは?――
『やって良し』
――よっしゃ神様から許可がでましたー!――


「――そこまで言うなら、手合わせいたしませんか?」

 私は微笑みを浮かべて口を開いた。
 フィレンツォが私の方を見る。
 私は彼にウィンクをする、大丈夫だからと。
 フィレンツォは苦笑して「ほどほどに」というように笑った。

「手合わせ、だと?」
「ええ、貴方の自信のあるもので手合わせいたしましょう。ブルーノ学長」
「何でしょうか、ダンテ殿下?」
「手合わせできるような場所は何処でしょうか?」
 ブルーノ学長は穏やかにほほ笑んだ。
「案内いたしますとも、ですが手合わせの内容で場所を選ぶのが良いかと」
「有難うございます――さて、ベネデット・ジラソーレ殿」

「ご不満なら自分の目で確かめてください、それが良いでしょう?」

「ああ、そうだな!! そうすれば貴様の詐欺が分かるというものだ!!」
 自信満々な馬鹿男ベネデットを見て私は表面上微笑み、心の中では嘲笑う。


――井の中の蛙大海を知らず、お前にぴったりな言葉だろうよ――
――現実を教えてやる、そして後悔するといい――
――エドガルドを侮辱した事を――





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

処理中です...