ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~TS転生でへたれ攻めだけど幸せにしてみせる!~

琴葉悠

文字の大きさ
41 / 120
第三章:学園生活開始!

救出劇からの出会い~虐げられる薄幸の青年~

しおりを挟む



 共同都市、確かに広い。
 そして倉庫が多い。
 私は倉庫が並んでいる中で一つだけ扉が開いているのを見つける。

――こういうのは、見たくない、見たくないが助けなきゃいけない!!――

 嫌な音とかスゴイ気分が悪いし後で精神的にダメージ喰らう事も目に見えているが、私は目を開いてドアを叩いて中に入る。

「――何をしている!!」

 目の前の光景に、目をつぶりたいのを堪えて声を張り上げた。




 両腕を拘束具で繋がれて、蹲っている。
 暴力を受けた痕跡が見える白皙の裸体。
 酷い血の香り。
 蹴られ、殴られ、酷い音が聞こえる。

――ああ、吐き気がする――

「いだぁ……だす、げ……!!」

 必死に声を上げようとしているが、殴りつけられ彼は悲鳴をあげた。

 ぶちん

 その光景に堪忍袋の緒が切れた。

「何だ? ぼっちゃんも仲間に入りたいのか?」
 青年を殴っていた内の一人が私に近づいてくる。
「ん……おい、待て!! そい――いやその御方は!!」

――気づいても、遅い――

「下衆共、覚悟はできているか?」

 私は静かにそう言って、近づいてきた男の腕を掴み。

 ゴキャン!!

「ギャアアアア!!」
 男の肩の関節を外した上で、背負い投げで地面にたたきつける。
 全身の痛みと、肩の激痛に悶えて悲鳴を上げる男を蹴り飛ばして、まだ青年を殴っている下衆共に近寄る。

「な、何なんだこの優男は?!」
「馬鹿野郎!! ダンテ・インヴェルノ殿下だ!!」
「は、はぁ?! な、なんであのダンテ……殿下が此処にいるんだよ?!?!」

「……言いたいことはそれだけか?」

 見の保身等しか考えてない下衆共に反吐が出る。

 下衆の首を掴んで持ちあげそのまま地面に頭を強く叩きつける。
 本当はぐちゃりと中身をぶちまけさせたかったが、今はできない、堪える。

 私に許しを請う保身しか考えない下衆は顔面を蹴り上げて、そのまま踵落としで地面にキスをさせてやる。

 青年を殴りつけている下衆の腹を蹴り飛ばしてやる。
 本当は全員同じ目に会わせたいが、今は我慢だ。

 あまりやりすぎると、色々と大変なことになる。


 蹲るほぼ裸の青年を見る、服らしきものは既に残骸、これでは着れない。
「――」
 無詠唱で、家に置いてあるコート手元に出現させる。
 震える青年に、私はコートを着せる。

 裸よりはいいだろう。

「大丈夫ですか?」
 なるべく優しい声と口調で言葉をかける。
「あ、貴方は、ぼ、僕、を……」
「私は、貴方に暴力をふるうつもりも……私が叩きのめした連中がしていたらしい行為をするつもりもないですよ」
 私はそう言って、ハンカチで汚れている顔を拭う。

「ダンテ様!! 一体――」
 フィレンツォが追いかけて、そしてちょうど今到着したようだ。
 声的に、この惨状が何をきっかけに起き、そして私が何をしたか理解したのだろう。
 フィレンツォは何処かへと連絡をした。

「――ダンテ殿下、その方は?」
 連絡をし終えたらしく、フィレンツォが近寄ってきた。
 私は知っているが、それはあくまで前世の知識。
 今は使うべきではない。
「貴方の名前は?」
「……え、エリア・ヴィオラ……」
「――確か名簿にありましたね、ダンテ殿下と同じルチェ・ソラーレ学院の一年生です」
「そうですか、エリア。大丈夫では……ないね、治療を――」
「だ、駄目!!」
 彼は叫んだ。
「お、怒られる……怖い、怖い……」
「――大丈夫です、私が傍にいます。私はダンテ・インヴェルノ。インヴェルノ王家の名に誓って今、貴方の傍にいましょう」
「……」
 私がそう言って、微笑むと、青年は――エリアは少しだけ安心したような表情をした。


 治安維持の人達とフィレンツォがやり取りしている間、治安維持所の入浴施設を借りてエリアの体を洗い、治療をしていた。
 もちろん、治安維持所で働く治安維持者の確認の元で。

「エリア、痛むところはありませんか?」
「は、い……」
 彼は人に優しくされることに慣れていないようだった。
 念のため、透視魔術で傷痕などを確認するが、無かったので心の中で安堵の息を吐く。

「ダンテ殿下、宜しいでしょうか?」

 フィレンツォに呼ばれ、私が立ち上がろうとすると、エリアは不安げに私の服の袖を掴んだ。
「大丈夫、此処の人達は貴方に危害を加えなません。それに話が終わったら戻ってきます」
「……ほん、とう?」
「はい」
 エリアは恐る恐る手を離した。
「お願いします」
「勿論です、ダンテ殿下」
 私は部屋を出る。

 そして会議室らしき場所へと案内された。

「ダンテ殿下、今回の件についてまずは感謝をいたします」
 長らしき壮年の男性が頭を下げた。
「可能でしたら情報を共有したいのです、宜しいですか?」
「勿論です。今回の被害者はエリア・ヴィオラ。ルチェ・ソラーレ学院一年です」
「彼はプリマヴェーラ王国の貴族ヴィオラ伯爵家三男……という事になっています」
「なっている?」
 フィレンツォの言葉に眉を顰める。
 知らない情報だからだ。

――前世の記憶だと、彼(エリア)は兄達に虐げられている、父親と母親は無関心という感じだった気がする……――

「……プリマヴェーラ王国の大臣から今調査している事を少し教えていただきました」
「……」

 フィレンツォの発言から、これから語られる事は現状口外禁止ということなる。

「コルネリオ・ヴィオラ伯爵とベリンダ伯爵夫人が両親という事になっていますが、エリア様はどちらにも似ておられず、血を引いているのは父親の方のみと調査で判明したそうです」
「……」

――非常に、非常に嫌な感じだ――

「つまり偽造したという事ですか?」
「その通りです」
「では、母親は一体――」
「エリア様がお生まれになったとされる日の数日前に、メイドが一人亡くなっております」
「……」
 何となく察しがついた。
「……そのメイドが母親……?」
「おそらく、ただ身よりがないらしいので詳細には調べられなかったそうです」
「……なるほど、ですが何故そこまで詳細に判明したのですか?」
「ええ、それが……ヴィオラ家の執事のからの情報です」

――ちょっと、待て――

 私は明らかにおかしいのに気づいた。
 フィレンツォも察しがついている。
「フィレンツォ、プリマヴェーラの――」
「ええ、既にお伝えしております」

「その執事と、エリア様が血縁関係にあるか、もしくは執事の交友関係からの調査を進言いたしました」

「流石だ」
 思わず拍手をしてしまう。
「しかし、何故そのような進言を?」
「執事というのは主人の家に尽くす存在です、ですから『家を傾ける』ような発言をした時点で『訳アリ』の可能性が高いのです。もしくは敵対する貴族からの『内通者』か」
「そうなりますね、どちらにせよ。貴族が出生の虚偽報告をし、虐待行為を繰り返していた……」
「フィレンツォ」
「何でしょうかダンテ様」
 私は記憶にあるが、それでも口にする。
 それが自然だからだ。
「現在この共同都市メーゼに、エリアの『兄弟』はいるのですか?」
「それは――」
「ダンテ殿下、それには私がお答えできます。います」
 所長がフィレンツォより先に答えてくれた。
「……」
 私はやはりかとため息をついた。




しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

処理中です...