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第三章:学園生活開始!
情報満載~始まりの悲鳴~
しおりを挟む説明会の翌日は、休日だった。
だから私は久しぶりにいつもより遅い時間に起きた。
「ダンテ様、おはようございます」
「……おはよう、フィレンツォ」
「朝食の準備ができております」
「ふぁ……うん、有難う」
私はあくびをして答える。
精神的に疲れていたのだろうかと思う。
肉体的には其処迄疲れてないから。
――理由?――
――あの馬鹿息子の所為でめっちゃ泣いてるご両親みたら精神的に来るわ!!――
「……ジラソーレ伯爵夫妻が可哀想だ。何であんなご両親から自尊心だけやたらと高い息子が生まれるんだか……」
「両親に似ない子どもというのもあるんですよ……良い意味な時もあれば、悪い意味の時もあるのです……」
「あ゛――……」
フィレンツォの言葉に納得しながらパンを口にする。
「王家で言えばそうですね……アウトゥンノ王家がそうでしょうか? 現国王はあまり評判はよくありません、息子で次期国王であるエルヴィーノ殿下の評判は非常に良いです」
「へー……王様なのに評判悪いとかあるんだ?」
「先代のアウトゥンノ国王は愛した伴侶一人を大切にするが故に子どもは一人、それが現国王です」
「どうして今の王様は評判が悪いの」
「色々ありますが……子どもを差別するなどの行為も評判を落とす理由になってます」
「……」
フィレンツォの言葉に私は思い出す。
――ちょっと待て、確か……彼が……――
『覚えていたか、そう「クレメンテ・アウトゥンノ」お前と同年であり、王族、アウトゥンノ王国第二王子である。だが、証を持たず、女でないからという理由で両親から大切にされてはおらぬ』
――あー……そう言えばそうだった――
『まあ、まだ出会っていないが出会うから安心せよ』
――あ、はい――
前世でゲームの攻略キャラの一人「クレメンテ・アウトゥンノ」というキャラがいる。
彼は、普段は物静かだ、両親に愛情を注がれなかった為、だが本質は甘えたがり、けれども甘えられなかった事から甘え方を知らないという可哀想な子だ。
――あー両親殴りてぇ――
『落ち着け』
――ヴー……――
『色んな事があるだろうが、とりあえず、今は我慢していろ』
――はいはい、分かりました!――
「第二王子であるクレメンテ殿下は、今年入学されているようです。ダンテ様と一緒ですね」
「そうか……会ってみたいな。でも今日はちょっと周囲の散策とかしたいから明日あたりに挨拶をしたい。ダメかな?」
「ダンテ様ならそうおっしゃられると思っておりました、既に連絡済みです」
「はは、流石フィレンツォ。で、向こうは?」
「最初は断られそうでしたが、ダンテ様が是非お会いしたいとお伝えしたところ、お招きできることになりました」
「それは良かった、じゃあ今日は散策ついでに買い出しかな」
「はい、お付き合いいたします」
フィレンツォの言葉に私は有難いと感じながら、気になる事があり少し考えることにした。
その為に、一旦こちらとの間隔をいつものように遮断し「止める」ことにした。
――えっと、確か執事……いた?――
――あーくそ、覚えてない!――
前世で、クレメンテを攻略している最中執事がいた記憶がないのだ。
というか、学園で出会う基攻略キャラには執事が居なかった気がするのだ。
とある「二人」は片方が執事というか片腕役としていた。
だが、クレメンテと「彼」にはいなかった気がするのだ。
『クレメンテに執事はいない、世話係はいるのだがな』
――マジ?――
『クレメンテの兄と姉たちが執事をつけるように両親に直訴したが、両親は「嫁に出せんし無駄だ」と聞き入れず。それでも何とか身の回りの世話をするメイドを兄達が何とかつけさせた』
――クレメンテの両親マジぶっころ――
『気持ちは分かるが落ち着け』
此処迄差別して育てるとか殺意しかわかぬ。
やっていいのは区別であって差別じゃねぇんだよ馬鹿野郎。
『そうだな因果応報という言葉があるだろう、クレメンテの両親には罰が下る故安心しろ』
――私が物理的に下したいんですが?――
『そうなるかどうかは、その時までだな』
――殴りてぇなぁ――
『さて、今日は出かけるのだな?』
――ん、そうだよ――
『そうか、ならば出会うだろうな』
――誰と?――
『その時になれば』
――教えてくれてもいいのに――
『ふふ、いいではないか』
――全く――
この神様は親切だけど不親切、優しいけども優しくない、真面目だけど変な所でお茶目なので厄介だ。
――仕方ない、とりあえず出会ってからにしますか――
私はそう思って、再び意識を「戻す」ことにした。
「しかし、色んなものがありますね……」
留学中基本共同都市メーゼから出れないが、メーゼには色んな物があるので不便はしない。
「ええ、それがこの都市の特徴でもありますから、殿下」
「……それにしても目立っている気がするのですが」
視線がこちらにちらちらと向けられているのが非常に気になる。
「王族というだけでこれほど目立つものなのですかね?」
「それもありますが、どちらかと言うと殿下の場合は一昨日の件が……」
「……ああ、成程」
どうやら、一昨日の馬鹿男をぶちのめした件が広まっているようだ。
あの馬鹿男は私達が来る二週間程前からこの共同都市に滞在していたらしい。
婚約者も同じく。
婚約者であるロザリアという女性に関しての評判は良い、だが婚約者があの馬鹿だという事を哀れまれている。
つまり、あの馬鹿は此処でも問題行動を起こしていたらしい。
貴族であることを鼻にかけ、メーゼの市民を馬鹿にするような行動を多々とっていて、あんなのが四年もいるのかと嫌な気分になっていたところに、私の件があった。
私の事は以前から共同都市でも有名らしい。
女神インヴェルノの生まれ変わりの様な美しい容姿の王子。
賢く慈悲深い、されど怒らせれば魂が砕けるような裁きを与える冬の慈悲と残酷さを持つ者。
等々……
正直買いかぶりすぎじゃないか、と思ってしまう内容ばかり。
――残念だったね、私の本性は面倒くさがり屋だのロクデナシだ――
『そのロクデナシの前には括弧閉じで自称がはいるがな』
――急にでてこないでください!!――
神様が急に声をかけてきたのでビビった。
まぁ、そんな私が初級魔術一回で、あの馬鹿男をぶちのめしたから嬉しいことこの上ないらしい。
どうりで何かおまけをくれるわけだよ。
――ん?――
『どうした?』
――……神様が出てきたってことは、私に何かしろ、と?――
『正解だな、戻ったら聴覚強化魔術を使え、とある悲鳴が耳に届くはずだ。そしたら――』
――探索魔術で声の場所を特定して急行し、声の主を助けろ、でOKですか?――
『その通り、ではな』
神様の声が消え「戻って」来たので、私は言われた通りにする。
「……い、や……い、だぁ……!!」
悲鳴が聞こえた。
殴るような音が聞こえた。
「うるせぇ、お前は玩具だっていってんだろうが!!」
腹立たしい声、嗤い声。
「……」
即座に探索魔術で場所を特定する。
持っている荷物をフィレンツォに預ける。
「ダンテ殿下?」
「すみません、フィレンツォ!! ちょっと聞こえてしまったもので!!」
そう言って一瞬でその場所へと向かう。
『まぁ、初めて見るだろうから、覚悟はしておけよ?』
――怖い事言わないで!!――
神様の言葉は怖いが、それ以上に早く「助けないと」という思いの方が強く、私を動かしていた。
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