74 / 120
第四章:ちょっと波乱すぎない?!
だから一体何なんだ?!(お前はそういう奴だからなfrom神様)
しおりを挟む手紙はフィレンツォに前回同様渡し、フィレンツォは屋敷を出ていった。
何処か安心したフィレンツォの表情的に、私がエドガルドと手紙でやり取りすることが私にとって良い事だと思っているように見えた。
フィレンツォ的に、私は抱え込みすぎているのだろう。
それ以外にも色々とあるのは分かっているけども。
少し色々と考えてたら疲れたので、ベッドの上に横になり、目を閉じた。
そのまま程よい眠気がやってきて、私の意識はそこで暗転した。
「「――」」
私を呼ぶような声が聞こえて目を覚ますと、そこにはフィレンツォではなくエリアとクレメンテが居た。
「クレメンテ……殿下に、エリア? どうしたのですか?」
まだ少しだけ怠い体を起こす。
本当はクレメンテを名前だけで呼びたかったがエリアが居るのでやめておいた。
何となくだけど。
「フィレンツォ様が……ダンテ殿下を、起こしにいこうとしていたのを、代わって、もらったんです……」
「夕食の支度で……」
話すのが苦手な二人は何とか言葉を口から紡いでいた。
嘘は言っていないのは分かる。
けれども、何か、隠してはいる。
『それを詮索しようとしたりするなら』
――はいはいゲーム的に言えば難易度滅茶苦茶難しくなるんでしょ?!――
『分かっているならいい』
いつものように、突如私の頭の中にだけ聞こえる神様の言葉。
――本当この神様はありがたいけど、ありがたくない!!――
はた迷惑ではないのだが、不穏要素を漂わせてくるから怖いのだ。
ただでさえ、色んなドロ沼状態の所に足突っ込んでるんだ、勘弁してほしい。
少しは心に平穏をください、本当。
神様に呼び出されて、そして「戻される」のには慣れているし、その直前までどう答えるかも考えてはいた。
「ありがとうございます。クレメンテ殿下、エリア」
まだまとわりつく眠気を払って私はそう答える。
「ただ、寝ているのを見られたのは少し恥ずかしいですね、酷い時は酷い寝顔をしているそうですから」
続けて困ったように笑う。
「そ、そんなこと、ありません、でしたよ……」
「はい……それよりも、私達に代わりに起こしにいっても良いと判断した事に驚きました……」
「それですか」
クレメンテの言葉に私は何でもないように返す。
「フィレンツォはああ見えて人を見る目は確かですよ。まぁそれを知っていたからフィレンツォの前に中々姿を見せない輩もいて苦労しましたけれども」
「あの……つまり?」
「フィレンツォはお二人を信じております、そういうことです。」
私は其処で答えを区切った。
あまり色々と言うのは何となく不味い気がしたのだ。
「……ダンテ……殿下は私達の事をどう思ってらっしゃるのですか?」
クレメンテの言葉に、私は即答した。
「大切な方々だと思っています。二人ともとても大切なのです」
私はそう言ってベッドから完全に起き上がる。
「――どうかしましたか?」
私は何でもないことなので二人を見るが、驚きと落胆それとよく分からない何かが混じった表情を浮かべているのが分かった。
「……いえ、何でも、ありません」
「ダンテ殿下は、お気になさらず……」
「?」
『まぁ、お前ならそうなるだろうな。今は気にするな』
――さよですか……――
何か気にはなるが、とりあえず、二人が手を掴み、引っ付いて歩きだすのでこのまま歩き出さないのも危ないと思いそのまま足を動かし、歩き始めた。
食事を並べ終えたフィレンツォに見られると、目を丸くしてすぐさま呆れの顔をされた。
――解せぬ――
食事は美味しかった。
前世の昔の世界の王族や貴族を元にしてたままなら、私は冷めた料理を食べている事が基本になる。
だが、この世界ではそうではない。
温かな料理を口にできる、それは嬉しい事だ。
夕食を取り、入浴やらなにやら済ませて、一人部屋に戻って読書の時間。
予習復習は終えたので、趣味の読書の時間。
音楽を流す魔具を使用して、音楽を聴きながらの読書はとても幸せな時間だ。
神様曰く、前世からの音楽を魔具に入れて聞くことも可能らしいが、あえてそれはしない。
いや、聞きたいのだけれども、それをやったら不味い気がするので我慢することにしている。
読んでいる本は異種恋愛の本。
――人外×人、人×人外、どっちも好きです、美味しい――
この世界でもそういう話は割とあるのは嬉しかった。
無かったら自分で書くしかなかったからだ。
――いや、自分も書いてるけどさ――
そう思いながらちらりと時計を見る。
まだ全然早い時間なのだが――
扉を叩く音が聞こえた。
「ダンテ殿下、いらっしゃいますか?」
「フィレンツォか、入って来てくれて構わない」
私はそう答える。
扉が開きフィレンツォが入ってきた。
トレーの上にカップが乗っている。
「どうぞ」
カップを手に取り中身を見る。
独特の匂いにとろみのある黄色っぽい温かい液体が入っている。
この飲み物、生姜茶。
前世では生姜湯と呼ばれるもの。
これを出すという事は――
――さっさと寝ろって事か――
「分かったよ、飲んだら今日はもう寝るから」
「そうして頂けると幸いです」
カップの中の生姜湯をゆっくりと飲む。
飲み終えてカップをトレイにのせると、フィレンツォはサイドテーブルにトレイを置いて膝をつく。
「ダンテ様」
「どうした?」
いつもならそのまま部屋から出ていくのに、フィレンツォはそれをしない。
――何か、あったのか?――
――いや、私が何かしたか?――
「……大変失礼な質問をしますが宜しいでしょうか?」
「別に構わない、お前がそこまで深刻そうな顔をしてるのだから」
さっぱり原因が思いつかないが、深刻な顔をしているフィレンツォを見るとそうとしか返せなかった。
「では、お聞きします。ダンテ様」
「ダンテ様は誰かを抱きたいと言う欲求をお持ちでないのでしょうか?」
――は?――
フィレンツォの質問に私の思考は一瞬停止した。
――なに、つまり私は不能とか、もしくは性的欲求持たない系と思われてるわけ?――
頭の中がこんがらがってきた。
「――待ってくれ、フィレンツォ。私にはまだ『婚約者』どころか『恋人』もいないんだぞ? そんな事をする訳ないじゃないか!!」
何とか吐き出せた言葉がそれだった。
事実、私はまだ誰とも付き合っていないし、婚約関係を結んでいない。
――あ、待って、フィレンツォの目が凄い私を哀れんでる、やめて、その目止めてマジで――
「……ダンテ様」
「な、なんだ?」
「……その内、痛い目をみますよ」
「いや、だからどういう?!」
何となく今のフィレンツォの発言が神様の教えてくれない発言のと似ている気がして怖い、めっちゃくちゃ怖い。
呆れの息を吐いて出ていくフィレンツォを私はどうすればいいのか分からず見つめるだけだった。
10
あなたにおすすめの小説
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった
水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。
そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。
ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。
フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。
ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!?
無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。
聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています
八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。
そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される
水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。
行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。
「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた!
聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。
「君は俺の宝だ」
冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。
これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる