ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~TS転生でへたれ攻めだけど幸せにしてみせる!~

琴葉悠

文字の大きさ
75 / 120
第四章:ちょっと波乱すぎない?!

恋を禁じてたから、わからない

しおりを挟む



 フィレンツォの可哀想なものを見るような目で意味深な事を言われた後、寝付けないが根性で眠り、翌日を睡眠不足で迎えずに済んだ。

 食事も取り、ちょっとトラブルがあってちゃんと最後まで入れなかった講義と、まだ受けていない講義も受けて今日の講義はとりあえずこれでお終い。
 という流れで屋敷へ戻る途中の私達の前に、アルバートとカルミネが姿を見せた。
「ダンテ殿下昨日は助けてくださり有難うございます、そして申し訳ございません」
「私の家の不始末に巻き込んでしまい、何と謝罪したらよいものか……」
 謝罪する二人に、私は戸惑う。

――いや、その、これは二人は悪いとは思わないし……――

「謝らないでください、お二人は悪くない――」
「アルバート様、カルミネ様。カリーナ陛下からお話は既にお話は聞いております。何故、今日来たのですか?」
 私の言葉を遮ってフィレンツォが言った。

――へ?――

 その言葉に耳を疑う。
「ちょっと待ってください、フィレンツォ。どういうことです」
「はい、あえてお話いたしませんでした。もし聞いていたらダンテ様は今日この後の時間を全てお二人に割くでしょう、ですので明後日来てくださいと私はお二人にお頼みしたはずですが――」
 フィレンツォの眼光が鋭い、圧が強い。
「何故、来たのですか? 私はダンテ殿下はお忙しいとお伝えしたはずですが?」
 声がかなり怒気を纏っている。
 傍にいるエリアとクレメンテが明らかに怯えて、私の腕を掴んでいる。
 ブリジッタさんはクレメンテの事を落ち着かせようとしているけども、あまり効果がないようだ。

――ちょ、これどうすれば?――

 と悩み問いかけるが、神様からのお返事はない。

――え、ええ?!――

 どういう事か分からない。
 何故何も言わない、言ってくれないのだろうか?

――余計なことを言うなとでも??――

 ぐるぐると悩んでいる間に話は進んでいた。
 そして、疲労が残っていたらしい私は悩み続けて――

 ぐらりと視界がぶれるのを最後に後頭部に激しい痛みを感じた。

『――正解だ、下手に黙るという手段は悪手だ。口を出すのも不味い。ならば悩んでいるお前こそが正解だ、故に黙っていた』

 その直後、神様の無慈悲な言葉が聞こえ、文句を言う事もできないまま私の意識は途切れた。




 目が覚めると自室のベッドの上にいた。
 後頭部がまだ少し痛むが、鎮痛術が付与されている冷却枕のおかげで少し楽だった。
「「ダンテ殿下??」」
 私の顔を覗き込む二人の人物――クレメンテとエリアだ。
 不安そうな顔をしている。
「……すみません、二人とも……あの、何があったのでしょうか?」
「えっと……その……」
「それは……」
 私の問いかけに、二人は答えにくそうな表情を浮かべる。

――んー……これは――

 少しして扉が開き、聞きなれた足音が聞こえた。
 私は体を起こそうとする。
「ダンテ殿下、どうか今は無理をせずに」
 フィレンツォが素早くベッドに駆け寄り、私を軽くおさえる。
「……フィレンツォ……すみません、頭が混乱してて話も聞けていなかった上倒れてしまって……」
「いえ、ダンテ殿下に非はありません。どうかお気になさらずに」
 フィレンツォは本当に心配そうな顔をして私を見ている。
「……フィレンツォ、何があったのか分からないのですが、どうかあのお二人を責めないでください」
 私がそう答えると、フィレンツォは少しだけ表情を変えた。
 ほんの少し、だけ悲しみの色に染まった。
「――クレメンテ殿下、エリア様申し訳ございません、ダンテ殿下と話さなければならないことがあります故……」
「わ、わかりました……」
 エリアは言われるままに、すぐさま部屋を出ていった。
「……それは私達がいると話しづらいことですか?」
「はい」
「分かりました、それならば」
 クレメンテも部屋から出ていった。

 扉が閉まり、二人きりだけの空間になる。

「ダンテ様」
 フィレンツォの顔が酷く痛々しい。
 なんでそんな辛そうな顔をするのか理由が分からない。
「エドガルド様との事もあり、良くなったと思っておりましたが……やはり、こうなってしまうのですね」
「……どういう事だ?」
「――ダンテ様は、大切だと思われた方や気になる方との事となると自分の身を顧みず、無理をなさる傾向にあります。それをその方々が言うまで無自覚で行うのです……ダンテ様は無理をしていないと言ってますが、それでも無理はしているのです」
「……」
「今の状態がその証拠です」
 フィレンツォの言葉は理解はできたし、何となく納得はできた。

 前世ではそこまで大切な知り合いはできなかった。
 体を壊す程の無理をするような大切な存在はいなかった。
 仕事で体をボロボロだったから、SNS上の強いようで希薄な繋がりしかなかったから。

 だからそんな事考えもしなかった。


 でも今、これまでの自分の行動を振り返ってみたらそんな要素はいくらでもあった。
 幼少時からエドガルドとの事の為に必死に勉強をしてきた。
 エドガルドの件でも必死になってアプローチを続けた。
 あの未遂の後、エドガルドの為に薬を作り、そして寄り添った。

 エドガルドがある意味健康になって、そして初めて自分が無茶をしているのを理解した。

 フィレンツォに言われても、ピンとこなかった。
 でも、エドガルドに言われて漸く理解して、止めに母さんの言葉があった。

 フィレンツォは何となく過保護すぎるような気がして、彼の言葉をそのまま受け止められなかった。
 エドガルドは大切だから受け止められた。
 母さんは普段見守る事が多いからこそ、その言葉を発する重みが強かった。

――でも、どうやって治せばいいんだろう?――

 エドガルドの時に「断る」事を漸く覚えたのだ。
 もっと治しにくそうなこのことをどうやって治せばいいのか、分からない。

――性格の改善なんてかなり難しい事なのだから――

「ダンテ様……貴方は自分の事を疎かにしすぎています、生き急いでいるようにも見えます」
 フィレンツォが私の手を握る。

「ダンテ様。どうか御身を大切にしてください。でなければ、貴方様は貴方様の大切な方々を傷つけることになりかねません」

 大切な人と言われても、今エドガルドは傍にいない。
 確かにエドガルドに今の状態を見られたら叱られるだけではすまないだろう。

 でも――


 私は前世ではそういう性的な欲求、感情が一般的な人と異なる趣向なのが分かってしまったから、リアルで恋等をするのは止めた。
 創作物で、それを解消していた。

 創作物で書いた物は自分の創作物で書きたいものであり、現実の欲求はまた違うと嘯いた。

 嘘を塗りたくって生きてきた。
 我慢をして比較普通のフリをした。

 だから、相手を大切に、愛しいと思うけれども。

 相手が自分を愛しいと、大切だと思ってくれているのか、上手く理解できないのだ。
 エドガルドはあそこ迄思い詰めてたからわかったけど――




 他は?





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

処理中です...