ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~TS転生でへたれ攻めだけど幸せにしてみせる!~

琴葉悠

文字の大きさ
81 / 120
第五章:結ばれた縁と謎

問題は解決に至らず(お前の性格的に最善なんだすまぬfrom神様)

しおりを挟む



「――ダンテ様?」
 はっと目を覚ますと、フィレンツォの顔が目の前にあった。
「うなされていたようですが……大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ」
 私は笑ってごまかす。
「……ダンテ様」
 体を起こした私の手をフィレンツォが握った。
「貴方様が他者と関わる事を本来不得手としていることを私は知っております。だからこそ、何故此処迄無理をしているのかが不安で仕方ないのです」
 フィレンツォの顔は、まるで親に言えない隠し事――そういじめと言う名前で軽くみられる犯罪行為をされているのを我慢している子の様子に気づき、それをどうにかして引き出して解決したいと願っている親の顔をしていた。
「……」
「エリア様の件は納得できます、ダンテ様はお優しい方ですから。クレメンテ殿下の件も納得できます。ですが――」

「何故、アルバート様とカルミネ様にそこまで気にかけられるのですか?」

 フィレンツォの言葉は納得はできる。

 エリアとの出会いは私が助けたという所から。
 クレメンテは同じ学年の王族という所から私が気になり関わった。
 だが、アルバートとカルミネは向こうから私に関わってきた。

 確かに、助けたり色々あったが、フィレンツォからすると納得がいかないのだろう。

 エリアもクレメンテも自分ではどうにもできない苦しみを抱えて生きていた。
 けれども、アルバートとカルミネはフィレンツォからすると二人に比べて軽く感じられるのだ。

 まぁ、細かな両家の家庭内の事情なんて私はまだ知らないけど。
 知ってるのは、両方とも次男が屑ということか。

 そこも踏まえて二人から聞いた事で、フィレンツォにとって納得がいかないことがあったのかもしれない。

 それでも、納得してほしいのだ、私は。

「――他の人達はやや強引に勧誘したり交友関係を持ちたがったけど、アルバートさんとカルミネさんは何処か違うように思ったんだ」
「つまりそれは……」
「他の方は大体私が『次期国王』だから近づきたい方々ばかりだし、そうじゃないまぁ……少し苦手な奴もいたが、二人は違った」
 少しぼかしつつ、私は二人がそういう類の輩とは違うとフィレンツォに言う。
「……ですが、あの御二方は約束を――」
「フィレンツォ、それはそうかもしれないけれど。お前は二人から話を聞いているのだろう?」
「ええ……」
 私はフィレンツォの手を握り返す。
「自身の家がどうなるかもわからない状況で、家の心配をしている者がその不安に耐えられるわけがないだろう? 彼らはまだ若い……というか、私と同い年なんだから焦るのは当然だ」
「ですが……」
「私はまだほとんどの事を知らないけれども、あの二人は良からぬ感情で私に近づいたわけではないのは分かるから、私にはそれだけで十分だよ」
 笑って答えると、フィレンツォは呆れの息をついた。

「だから、問題なのです」

 そうぽつりと呟くのが聞こえた。

――え、どゆこと?――

 意味が分からなくて、混乱する。

『お前は気にするな、聞かなかったフリしとけ』
――アッハイ――

 神様のお告げ基いつものアレなのを理解し、私はフィレンツォの言葉を聞かなかったことにした。




 とにかく、フィレンツォを何とか言いくるめた私は、その後「夕食まで休んでいてください、いいですか『休んで』くださいね!!」というフィレンツォからの圧もあったので自室のベッドでゆっくり休む事にした。

 精神的に疲れているからありがたかった。

 やらなければいけない事はたくさんあるが、その為の無理は周囲を不安にさせる。
 それは裏切り行為に他ならない。
 だから、無理はよほどのことがない限り控えたいと思っている。

 ベッドの上で横になっているのはとても落ち着く。
 前世でも、ベッドの上は至福の場所だった。

――ベッドでごろごろしながら動画見たりソシャゲやったりと最高だったなぁ――

 しかし、此処では電子書籍っぽいものと動画っぽいのはあるけども、どれも前世のモノとは明らかに違うものばかり。
 それにそう言う類のものに向こうでいう「アクセス」するには色々と手続きがあって面倒なのだ。

――しかし、横になっているのも暇だ――

 本を何度も読み返すのもいいけれども、少し新しいものが欲しい。
 遊びたいが遊びたくない。

 矛盾した感情と、我儘な願いが頭をよぎる。

――うーむ、城に居た時より確かに不便だ――

 そんな事を考えながら目を閉じる。

――……ちょっと待て?――

 ふとあることに気づき、私は目を開けて、思案する。


 神様からは「解禁の許可を出すまで、性的行為やそれに近しい行為は禁止」と言われている。
 つまり今の私は童貞だ。
 前世の私も性的知識しかないような奴だ、エロ本とか動画とかエロゲーあんだけやってたけど性的趣向の所為でどうしてもやれなかった。

 つまり、ぶっつけ本番になる。

――ギャー!!――

 起きて頭を抱える。

 解禁の許可がいつかも分からない上に、そういう経験もロクにないまま私はすることになるのだ。
 いくら本等で事前学習していようが、本番では役に立つかなんてわからない。
 耳年増なんて役に立つとは限らない。

――どうしよう!?!?――
『余計なことするな、お前はそのままでいろ』
――はぁ?!?!――

 神様の「人の心が分からない」ような発言に耳を疑う。

――散々私の悪いところ駄目だししてる癖になんでこういう所で「そのままでいろ」とか言うんだよこの神様!!――
『仕方ないだろう、お前そういう事にビビりなんだから』
――うぐ――

 ビビりなのは否定できない。
 そうだ、私は怖くてそういう事が出来なかった。
 男と女が一般的にするようなセックスだって、そうじゃないのセックスだって経験がない。

 裸で抱き合って異性もしくは同性と寝ることすらも経験した事がない。


――そうだ私は臆病者だ――
――臆病者で何が悪い――


 開き直る様に自分に言い聞かせると、神様の呆れたようなため息が聞こえた。

『――だからだ、お前はそういう事に関しては臆病だ、だから無理強いして拗らせるよりも、そのままでいる事でいいように私は導いている』
――そのままでいる事でいいように導いている……?――
『お前からすると良く分からないだろうな、お前はそういう存在なのは重々承知だ。だからこそ、言うぞ。絶対性行為やそれに近しい行為はするな、解禁宣言までするな』

 念を押すように神様は言う。

『解禁後にあった事は大体想像ができているからこそ、私はお前の怒りを受け止める。わかったら今は先ほど言った事は守れ』
――いや、それ何か不穏なんですが?!――
『余計な事を考えるな、お前の性格上現在はこれが最善だ』

 そこまで言われたらやはり大人しく聞くしかない。
 実際、神様は口を出さない事が最善だと判断したらそうするし、逆に口を出さないと不味い時は遠慮なく言ってくる。

 実際、神様は助言してきたし、色々と教えてくれている。
 私を苦しめて確かめる性質ではないのも分かる。

 先が見えない不安と、本当にこれでいいのかという疑問。
 それらを何とか飲み干して、私は進まなければいけない。


 自分で選んだことだから。





しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています

八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。 そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

処理中です...