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第五章:結ばれた縁と謎
予想外の展開~懐かしき光景~
しおりを挟む決意はしているけど、自信がない。
無理をしているのはきっと、何かしてないと不安なのだからだと思う。
努力したって報われるとは限らないのは良く分かっている。
でも、それでも何かしないと安心できない。
何もしないというのはとても不安だ。
私の不安は無意識にしていることは全部、根っこは美鶴だった時のものだ。
ダンテとして今の私に生まれ変わっても、人格とかほとんどそのままだから、神様の加護とかあっても、どうしても不安が消えない。
根っこがコミュ障なのも治ってないし、人見知りが激しいのも親しい人には隠せなくなる。
人が苦手なのも同じだ。
そのくせ、誰かから認められたがる。
――ああ、なんて厄介でみっともない性格だ、本性だ――
――合わせる顔がない――
自分が嫌で仕方ない。
自分で選んだ道なのに、自分で選んだことなのに、自分の性質がそれを妨害しているようにしか思えない。
その性質が治せない自分が嫌でたまらない。
――自分が好きになれない――
自分の大切な人を大切にしたいと、好きだと思えるのに、自分の事は好きになれないし、大切にできない。
面倒なことは断れるようになったけど、それよりも厄介なことは治ってない。
正直エドガルドの事を裏切っているようなものだ。
私の事を大事に思ってくれている人を裏切っているようなものだ。
自分の事を大切にして欲しいと私に言った気持ちを踏みにじっているのが酷く居心地が悪くて罪悪感が酷い。
このことについては神様は決して口を出さないのは分かっている。
一回嫌になって何で助言をくれないの、と怒鳴りつけたら。
『これは私が手を出すべきことではない、私はお前を信じている、一人ならばきっと不可能かもしれないが、この道を歩むと決めたお前であるならば――お前はお前を変えられるはずだ』
なんて言いやがる。
確かに、決めたけど、自分を変えれる自信なんて、今も私にはほとんどないよ。
漸く少し変わった位。
もっと変えないといけないけれども、私は自分を変えれるなんてできる気がしない。
――本当、自分が嫌で嫌で仕方ない……!!――
一番どうにかしなきゃいけないのに変えられない事。
でも、そんな事言える訳がない、相談できるわけがない。
だって、美鶴だった時の私の事は、彼らには言える訳もないし、無関係なのだから。
「……そうかな、無理、してるかな?」
私が言えるのはこれくらい、これしか言えない。
「はい、ダンテ様。今の貴方様はとても無理をされております。この学院での生活……見知らぬ者達との関わり……それだけでも貴方様の負担になっているのに、エリア様の件に、クレメンテ殿下の件、そしてアルバート様とカルミネ様の件だけでなく、様々な問題が貴方様にのしかかっています」
「――」
その通りだ、ぐうの音もでない。
「エドガルド殿下に色々とご連絡されている事は聞いておりますが、それでもダンテ様は無理をしすぎています」
「……兄上はなんと?」
「そうですね、無理をしているのが良く分かるから、私にダンテ様が無理しすぎないように言って欲しい、それが無理なら実力行使でもいいと」
エドガルドらしいとちょっと思ったが、ある言葉が嫌な予感のする言葉だった。
「……じつりょくこうし??」
「はい、許可がでましたので。ですから食事をお取りください、でなければできないのです」
「……」
満面の笑顔で言うフィレンツォが本気で怖かった。
「……フィレンツォ」
「何でしょう?」
「此処何?」
私を見慣れない建物の内部に連れてきたフィレンツォに問いかけた。
「王族とその関係者のみが使用できる休息施設と言えばいいでしょうかね?」
「初めて……聞いたのだけども?」
「それはそうです。この施設はダンテ様のような無理をする方のための施設。ダンテ様に改善の余地が見られなかったので使うことにしました」
「はぁ……」
私は周囲を見渡す。
何も、ない。
建物はまぁ、こちらの世界の建物だったのだが、中身がコレなのだ。
真っ白な空間、入ってきた扉だけがある。
「この施設内はダンテ様の好きなようにできます、ですから好きなようにくつろいでください。またこの施設内の体感――ダンテ様が感じられる時間は外の時間の10倍。施設の外の一時間は施設内では十時間位です」
「は?!」
「では、失礼いたします」
フィレンツォはそう言って扉から出ていってしまった。
「ちょっと待ってく……」
扉に手をかけるが、あかない。
「……」
――どうしよう――
『よし、今のうちに好きなように遊べ、必要なら手を貸そう』
困り果てる私に神様が声をかけてきた。
――遊べって言ったって一人でどうしろというのです?――
『ここなら、前の世界――美鶴の世界を再現する事ができる』
――は?!――
神様の言葉に耳を疑う。
『さぁ、思う存分遊べ、私が手を貸そう』
楽しそうに笑うような神様の声に、私は――
「ひゃっはー!!」
私は嬉々として音ゲーの筐体の前でボタンを叩いていた。
ゲームセンターを模した空間で私は美鶴だったころにやっていたゲームをやり続けていた。
どれもこれも懐かしいものばかり。
でも、18年近く触ってないのに、どのゲームもそれなりにできたのは驚きだ。
もう触れないと思っていた、もう遊べないと思っていた物で遊べるのは嬉しい事この上なかった。
「あー遊んだ!!」
自動販売機――なんだけどお金を入れる必要のないソレからサイダーを選び、椅子に座って飲み干す。
ぷはっと息を吐いた。
こちらにも炭酸飲料はあるけれども、懐かしいこの甘くすっきりとした味には勝てない。
「あー楽しい!!」
『それなら良い』
今までこの世界で一度も姿を見せなかった神様が姿を現した。
『制限時間の少し前あたりになったら教えよう、この光景は見せられないものだからな』
「あー……確かに」
美鶴の世界の光景を見せることはできない。
この光景を知られる訳にはいかない。
『だが、いい気分転換が見つかったな』
「はい!」
予想もしない事柄だったけども、私に一つ「息抜き」をする場所ができた。
他の誰かと一緒に来ることはない。
私だけの空間。
もう二度と、見ることは叶わないと思ってた場所に、私はこれたのだ。
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