ブラック企業を辞めたら悪の組織の癒やし係になりました~命の危機も感じるけど私は元気にやっています!!~

琴葉悠

文字の大きさ
11 / 18

処遇~まだいるの⁈~

しおりを挟む



 ドラゴンファングは解散、とはならなかった。
 行き場がないもの達の行き場でもあったからだ。
 だが、破壊行為をもうやめようという事になった。

 WGのトップとドラゴンファングのトップが協定を結んだ。




「美咲! お前、俺らと離れている間になにあったんだ⁈」
「ブラック企業で精神やられてぷっつんして辞めてドラゴンファングに知らずスカウトされて癒やし係やってた」
「癒やし係ってなんだよ⁈」
音糸ねいと声が大きい」
 全てが終わって自由に外出できるようになった美咲は旧友達と会い事の次第を話していた。
 黒炎同伴で。

「癒やし係は癒やし係よ、膝枕したり、お茶会したり、まぁそんな所」
「実に羨ましい……‼」
「なに、あんた達顔いいんだからやって貰えるでしょう⁇」
「そういうんじゃなくて‼」
「じゃあ何よ」
「あー俺達もお前にそういうのされたかったんだよ」
「へ?」
 美咲は素っ頓狂な声を出す。
「あのーそれってまさかー……」
 美咲が冷や汗を垂らす。
「「「「俺/僕らは学生時代から君の事が好きだったんだよ‼」」」」
 大声で言われ美咲は慌てふためく。
「だ、だってアンタ達そんなそぶりみせなかったでしょう⁈」
「全員牽制しあってたんだよ……」
「……マジか」
 毒刃の言葉に、美咲は頭を抱えた。
 が、すぐ平常になる。

「でも、私もう黒炎さんと恋人だかアンタラそう言う目で見られない」

「「「畜生ー‼」」」

 男三人の心の叫びがこだまする。

「おい、美咲」
「何音刃君」
「お前、ソイツと居て本当に幸せか?」
「──」
 音刃の問いに少し無言になり、美咲は笑った。
「ええ、幸せよ」
「なら、いい」
「良くねぇよ!」
「こんなことなら美咲お前ともっと連絡とっとくんだったー‼」
「本当良くない」
「おい、ロン毛野郎」
「何だ」
「美咲を泣かせてみろ、容赦しねぇからな」
「分かっているとも」
 黒炎は美咲の手を握った。


「──ところで、いつになったら私の処遇決まるの?」


 美咲は疲れたように言った。
 癒やし係という枠に収まらず「鎮めの乙女」という立場になってしまった美咲。
 ドラゴンファングもWGも今後は協力しあって行くという方針なのだが、美咲の処遇が決まらない。

 ドラゴンファングは「癒やし係」をやっていて欲しいし、WGも同じのだけでなく「鎮めの乙女」として緊急時に手助けして欲しいというのが本音だ。

 その為、トップがかなりあーだこーだと口論になっており、未だに美咲の今後の待遇が決まっていないのだ。

「元ヴィラン連中に喰われる心配ないWGに来なよ」
「いや、それはもう解決してるから別にいい。というかドラゴンファングにいた奴がWG行くと荒れるでしょう」
「そこは僕らが解決するから」
「解決方法聞きたくねー」
 美咲はげんなりした顔をする。
 毒刃は無数の毒を操る毒使い、変な事をすれば毒でぽっくりはしないものの当分動けなくすることくらい可能だ。
 普通ではありえない毒を作り出すこともできる。

 その事を美咲は学生時代思いっきり思い知ったので聞きたくなかったのだ。

「大丈夫、懇切丁寧にいい聞かせるだけだから」
「嘘だぁ」
 美咲は信じられなかった。
 毒刃が黒い笑みを浮かべているからだ。

 黒い笑みを浮かべている毒刃は何をするかわからない。
 美咲はそれをよく知っていた。

「……私話し合いの様子見てくる」
「美咲君が行く必要は……」
「いいの‼」

 美咲はその場を後にし、話し合いの場である、会議室へと向かった。




「まだあるだと兄者はふざけているのか⁈」
「ふざけとらんわい‼ リフレイン様がお亡くなりになったのは今回のだけではない、他の全てを鎮めたからだ‼」
「ならなおさら美咲をそちらに渡すことはできない‼」
「裏切り者連中が各地にいるのに自分の所だけ過信するな‼」
「兄者こそ‼」
「儂はいるの分かってていっとるわい‼」
「ならばなおさらタチが悪い‼」

「あのー……」

「「⁈」」

「美咲何故ここに来た⁈」
 龍牙が美咲に近寄り、屈んで手を握る。
「いつまでたっても処遇きまらないのも何かなぁと思って……」
「そうか……」
「美咲ちゃんじゃな?」
「は、はい!」
 WGのトップである人物に声をかけられ美咲はカチコチとなる。
「そんなに気負わんでいいよ。儂は王牙。龍牙の血の繋がってない兄、そしてWGのトップだ」
「龍牙様の、お兄様?」
「美咲、気にするな」
「は、はい。あのまだいる・・ような発言が聞こえましたが……」
「そうなんじゃ、まだいるんじゃ」
「あー……」
 美咲は天を仰いだ。
「美咲」
「いやぁ、ここ最近の夢で、やるべきことがたくさん残っているとかそういうのを聞かされてたんで……」
「どんな人にじゃ?」
「あの時の綺麗な女の人ですよ、短めの黒髪に青い目の女性です。私よりも年上の、リフレインと名乗っていました」
「こんな女性かのう?」
 王牙は一枚の写真を見せる。


 色あせてはいるが、美咲が夢でみた女性だった。


「はい、この人です」
「やっぱりのぉ。リフレイン様じゃ」
 王牙は納得したように言った。
「だから言ったじゃないですか」
「そのリフレインがこの娘さんに自分がなしえなかった事を成して貰いたいと願っているんじゃよ」
「だが、美咲は普通の人間だ。俺や兄者達とは違う」
「そこをフォローするのが儂等の仕事じゃろ」
「……」
「まぁ、まずは裏切り者を探し出すことからじゃな」
「へ、裏切りものなんているんですか?」
「いるぞー、儂の組織にも、そして龍牙の組織にも」
「げ」
 美咲は引きつった表情を浮かべる。
「目下の目的はお嬢ちゃんを確保じゃな」
「私を確保?」
「そうじゃ、そうすることで連中はこの世界をめちゃくちゃにしようと考えておる」
「……」
「お嬢ちゃんには荷が重いかもしれない、だがどうか儂の手伝いをして欲しい、世界を守りたいのじゃ」
「……」
「この通りじゃ」
 美咲は少し考え込んでから息を吐き出した。
「いいですよ」
「本当か? 有り難い!」
 王牙は美咲の手を握った。
「ええい、兄者一々美咲の手を握るな‼」
 龍牙は美咲を抱きしめ、王牙の手を払った。
「なんでじゃーケチ臭い」
「兄者が触ると命が吸い取られる‼」
「酷い!」
 鳴き真似を王牙がするが、龍牙は我関せずだった。
「あんなに可愛かった龍牙が反抗期とは……」
「もういっぺん半殺しにするぞ爺!」
「あー! もー! 龍牙様、やめてくださいよー!」
 美咲は必死になって龍牙をなだめた──




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...