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処遇~まだいるの⁈~
しおりを挟むドラゴンファングは解散、とはならなかった。
行き場がないもの達の行き場でもあったからだ。
だが、破壊行為をもうやめようという事になった。
WGのトップとドラゴンファングのトップが協定を結んだ。
「美咲! お前、俺らと離れている間になにあったんだ⁈」
「ブラック企業で精神やられてぷっつんして辞めてドラゴンファングに知らずスカウトされて癒やし係やってた」
「癒やし係ってなんだよ⁈」
「音糸声が大きい」
全てが終わって自由に外出できるようになった美咲は旧友達と会い事の次第を話していた。
黒炎同伴で。
「癒やし係は癒やし係よ、膝枕したり、お茶会したり、まぁそんな所」
「実に羨ましい……‼」
「なに、あんた達顔いいんだからやって貰えるでしょう⁇」
「そういうんじゃなくて‼」
「じゃあ何よ」
「あー俺達もお前にそういうのされたかったんだよ」
「へ?」
美咲は素っ頓狂な声を出す。
「あのーそれってまさかー……」
美咲が冷や汗を垂らす。
「「「「俺/僕らは学生時代から君の事が好きだったんだよ‼」」」」
大声で言われ美咲は慌てふためく。
「だ、だってアンタ達そんなそぶりみせなかったでしょう⁈」
「全員牽制しあってたんだよ……」
「……マジか」
毒刃の言葉に、美咲は頭を抱えた。
が、すぐ平常になる。
「でも、私もう黒炎さんと恋人だかアンタラそう言う目で見られない」
「「「畜生ー‼」」」
男三人の心の叫びがこだまする。
「おい、美咲」
「何音刃君」
「お前、ソイツと居て本当に幸せか?」
「──」
音刃の問いに少し無言になり、美咲は笑った。
「ええ、幸せよ」
「なら、いい」
「良くねぇよ!」
「こんなことなら美咲ともっと連絡とっとくんだったー‼」
「本当良くない」
「おい、ロン毛野郎」
「何だ」
「美咲を泣かせてみろ、容赦しねぇからな」
「分かっているとも」
黒炎は美咲の手を握った。
「──ところで、いつになったら私の処遇決まるの?」
美咲は疲れたように言った。
癒やし係という枠に収まらず「鎮めの乙女」という立場になってしまった美咲。
ドラゴンファングもWGも今後は協力しあって行くという方針なのだが、美咲の処遇が決まらない。
ドラゴンファングは「癒やし係」をやっていて欲しいし、WGも同じのだけでなく「鎮めの乙女」として緊急時に手助けして欲しいというのが本音だ。
その為、トップがかなりあーだこーだと口論になっており、未だに美咲の今後の待遇が決まっていないのだ。
「元ヴィラン連中に喰われる心配ないWGに来なよ」
「いや、それはもう解決してるから別にいい。というかドラゴンファングにいた奴がWG行くと荒れるでしょう」
「そこは僕らが解決するから」
「解決方法聞きたくねー」
美咲はげんなりした顔をする。
毒刃は無数の毒を操る毒使い、変な事をすれば毒でぽっくりはしないものの当分動けなくすることくらい可能だ。
普通ではありえない毒を作り出すこともできる。
その事を美咲は学生時代思いっきり思い知ったので聞きたくなかったのだ。
「大丈夫、懇切丁寧にいい聞かせるだけだから」
「嘘だぁ」
美咲は信じられなかった。
毒刃が黒い笑みを浮かべているからだ。
黒い笑みを浮かべている毒刃は何をするかわからない。
美咲はそれをよく知っていた。
「……私話し合いの様子見てくる」
「美咲君が行く必要は……」
「いいの‼」
美咲はその場を後にし、話し合いの場である、会議室へと向かった。
「まだあるだと兄者はふざけているのか⁈」
「ふざけとらんわい‼ リフレイン様がお亡くなりになったのは今回のだけではない、他の全てを鎮めたからだ‼」
「ならなおさら美咲をそちらに渡すことはできない‼」
「裏切り者連中が各地にいるのに自分の所だけ過信するな‼」
「兄者こそ‼」
「儂はいるの分かってていっとるわい‼」
「ならばなおさらタチが悪い‼」
「あのー……」
「「⁈」」
「美咲何故ここに来た⁈」
龍牙が美咲に近寄り、屈んで手を握る。
「いつまでたっても処遇きまらないのも何かなぁと思って……」
「そうか……」
「美咲ちゃんじゃな?」
「は、はい!」
WGのトップである人物に声をかけられ美咲はカチコチとなる。
「そんなに気負わんでいいよ。儂は王牙。龍牙の血の繋がってない兄、そしてWGのトップだ」
「龍牙様の、お兄様?」
「美咲、気にするな」
「は、はい。あのまだいるような発言が聞こえましたが……」
「そうなんじゃ、まだいるんじゃ」
「あー……」
美咲は天を仰いだ。
「美咲」
「いやぁ、ここ最近の夢で、やるべきことがたくさん残っているとかそういうのを聞かされてたんで……」
「どんな人にじゃ?」
「あの時の綺麗な女の人ですよ、短めの黒髪に青い目の女性です。私よりも年上の、リフレインと名乗っていました」
「こんな女性かのう?」
王牙は一枚の写真を見せる。
色あせてはいるが、美咲が夢でみた女性だった。
「はい、この人です」
「やっぱりのぉ。リフレイン様じゃ」
王牙は納得したように言った。
「だから言ったじゃないですか」
「そのリフレインがこの娘さんに自分がなしえなかった事を成して貰いたいと願っているんじゃよ」
「だが、美咲は普通の人間だ。俺や兄者達とは違う」
「そこをフォローするのが儂等の仕事じゃろ」
「……」
「まぁ、まずは裏切り者を探し出すことからじゃな」
「へ、裏切りものなんているんですか?」
「いるぞー、儂の組織にも、そして龍牙の組織にも」
「げ」
美咲は引きつった表情を浮かべる。
「目下の目的はお嬢ちゃんを確保じゃな」
「私を確保?」
「そうじゃ、そうすることで連中はこの世界をめちゃくちゃにしようと考えておる」
「……」
「お嬢ちゃんには荷が重いかもしれない、だがどうか儂の手伝いをして欲しい、世界を守りたいのじゃ」
「……」
「この通りじゃ」
美咲は少し考え込んでから息を吐き出した。
「いいですよ」
「本当か? 有り難い!」
王牙は美咲の手を握った。
「ええい、兄者一々美咲の手を握るな‼」
龍牙は美咲を抱きしめ、王牙の手を払った。
「なんでじゃーケチ臭い」
「兄者が触ると命が吸い取られる‼」
「酷い!」
鳴き真似を王牙がするが、龍牙は我関せずだった。
「あんなに可愛かった龍牙が反抗期とは……」
「もういっぺん半殺しにするぞ爺!」
「あー! もー! 龍牙様、やめてくださいよー!」
美咲は必死になって龍牙をなだめた──
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