12 / 18
裏切り者と世界を壊す者~やらないといけないこと~
しおりを挟む「本当、龍牙様止めるの苦労しました」
「でしょうね」
美咲が紅茶を飲みながら言うとルローはそう返事をした。
「しかし、裏切りものですか……」
「心辺りありますか?」
「……実はあります」
「え⁈」
ルローは口元に指を近づけ、静かにするようにジェスチャーで指示した。
美咲は口を覆う。
「龍牙様には報告済みです。今後貴方の癒し部屋には黒炎を常駐させます、貴方は知らぬまま続けてください」
美咲はこくこくと頷いた。
美咲は知らぬフリというか実際裏切り者が誰なのか知らないのだが、いつも通りに対応を続けた。
ただ。
「髪の毛食べさせて、ちょっとでいいから!」
「指舐めさせて! 舐めるだけでいいから!」
「首を触らせてください、ええ、触るだけですとも」
黒炎が居るのに欲望丸出しで癒し部屋に来るドラゴンファングのメンツに相変わらず美咲は引きつりながら対応した。
──相変わらず命の危機を感じルー‼──
と思いながら対応していった。
──まだ距離を測っていた最初の頃の方が安全だった──
などふと最初の頃を思い出す。
最初の頃は欲望控えめで癒やしを求めてきた。
しかし、馴れてくると欲望を丸出しで癒やしを求め美咲は命の危機を感じた。
「美咲さんや、いつも通り肩たたきをお願いしたいのですが……」
開発部の人がやって来て肩たたきを所望してきた。
美咲は近づいてやろうとすると黒炎が止めた。
「美咲は今休憩に入る」
と言って美咲を別室基自室に閉じ込めた。
その直後、破壊音が響いた。
思わず開けそうになるが、ぐっと堪えて鍵をかけて部屋に閉じこもる。
一時間ほどたって鍵が開けられ入ってきたのは龍牙と黒炎だった。
二人とも少し服がよれていた。
「お、お二人とも……」
「安心しろ、裏切り物を見つけて対応しただけだ」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、一気に湧いて出たぞ、まさか幹部の上層部連中がそろって裏切りものだとはな」
「……」
美咲はどう対応してかは話す事は無かった。
「あの、部屋は……」
「すまん、壊れた修理するまで癒し部屋は休止だ」
美咲は無残にぼろぼろになった癒やし部屋を見て顔色を悪くした。
「ボス、裏切り物の処──いえ対応が全て済みました」
ルローが部屋へと入ってきた。
「でかした、ところでWGはどうなっている」
「今まさに混乱状態にあるようです」
「私が行く、ルロー黒炎、美咲から目を離すな」
「「はっ」」
龍牙がそう言っていなくなると、美咲はへたり込んだ。
「美咲?」
「美咲さん」
「い、いえ……ここまで酷い状態になるなんて、裏切り者の方達はどうして私を……」
「ボスとWGのトップが言った話がそのままだと、美咲さんはこれから起きる悲劇を食い止める重要存在。連中はこれから起きる悲劇を悲劇として起こさせたいということでしょう」
「……でも、なんでそんな事……」
「もしかしたら、その後が重要なのかもしれないと龍牙様が言っておられたな」
「その後?」
「めちゃくちゃになった世界を牛耳る──」
「めちゃくちゃになった世界を牛耳る?」
「我々の目的は龍牙様の鎮めの乙女──美咲を死なせないが重要。連中は世界を荒らしてそれを鎮める存在を出すことで、世界を牛耳ろうとしているのではないか、と」
「はた迷惑すぎる……」
「ですね」
「だな」
「WGにも裏切り者いて、どこにその人達がいるのかもう分からないですよ!」
「確かに」
「そうですね」
美咲は頭を抱えた。
「はた迷惑すぎる‼」
「ただWGのトップはもう一つ別の事を言っていた」
「な、何ですか」
「……これは知らないほうが良いだろう」
「えー⁉」
美咲は抗議の声を上げた。
「なんでですかー!」
「君が絶望することになる」
「私が絶望? そんなまさかぁ」
「するから言って居るのだ」
黒炎の真面目な言葉に美咲は息を飲んだ。
「……分かった黒炎さんがそういうなら聞きません」
「すまないな」
「いいえ」
美咲は諦めたように息を吐いて自室に戻っていった。
話は遡ること一時間前──
「ボス本当なのですか?」
謁見の間でルローと黒炎は龍牙に確かめていた。
「ああ、全てを鎮めた、鎮めの乙女の肉は喰った相手を不老不死にさせる」
「……では、向こうの目的は……」
「それが第一だろうな、肉を食った相手は若返り、死なずとなるだが──」
「だが?」
「鎮めの乙女のみ殺す事が出来る。だから鎮めの乙女を食い殺すつもりなのだろう」
「何て下劣な……」
黒炎は忌々しげに吐き出す。
そしてはっとしたような顔をする。
「全てを治めた鎮めの乙女はどうなるのですか⁈」
「安心せよ、不老不死になどならぬそのままだ」
その言葉に黒炎はほっと息をついた。
「だが、WGのトップとも話したが美咲をそやつ等に渡してはならない」
「は!」
「ボス、一つお聞きしたいことが」
「何だルロー」
「裏切り者の『処分』の件は、美咲に伝えるのですか」
「ぼかせ、美咲は殺したなどと知ったら今までのようには接することが出来ないだろう」
「畏まりました」
「目星はついている、美咲に接触しようとした輩から処分しろ」
「「はっ‼」」
「美咲がそんな体質の持ち主だったとは……」
「恋人として、不安ですか?」
「ああ、命を狙われる事が不安です」
「肉を食らうことで若返り不老不死に……鎮めの乙女が即座に死ぬのを選んだのはそういうのも事情かもしれませんね」
「どういうことです?」
「WGのトップとの会話で、先代の鎮めの乙女は自ら死を選んだ、鎮めの乙女は自分から死を選んでいると、聞かされました」
「まさか……」
「全てを鎮めた時、美咲も自分の体がどうなったのか察するのではないでしょうか?」
「何があっても彼女を死なせるものですか」
ルローの言葉に黒炎はそう言った。
「なら良いのです、貴方は恋人として美咲を守り通しなさい」
「はい」
「……」
会話を思い返し、黒炎は息を吐く。
「どうか、彼女にそんなものを与えないでくれ──」
呟いた。
「今日はもう癒やし部屋使えないし、寝よ」
美咲は毛布を被って眠った。
夢の中にリフレインが現れる。
「これ夢」
『ええ、夢よ』
「えっと何の用でしょうか?」
『貴方はこれから現れる物達を鎮めなければならない、でも同時にあることをしなさい』
「あることって……何でしょう」
リフレインはにっこりと笑って耳元で囁いた。
それを聞いた美咲は顔を真っ赤にした。
「無理無理無理ー‼ いや、恋人居ない歴が年だった私には無理‼」
『でもやらないともっと大変な事になるの』
「え?」
『それは──』
リフレインの言葉に美咲は目を見開き呆然とした。
そして、頭を抱えだした──
0
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる