ブラック企業を辞めたら悪の組織の癒やし係になりました~命の危機も感じるけど私は元気にやっています!!~

琴葉悠

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ハッピーエンドで終わりましょう~10の厄災と謎の男~

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「ふざけんなー! なんで厄災が一気に来てるんだー⁉」
 王牙からの連絡に美咲はぶち切れた。
「死なせたいのか連中は私を⁈」
「いや、隙を突いて確保したいのかもしれない」
「だからって厄災10体もよこすな馬鹿ー‼」
 美咲は頭を抱えた。
「民間に被害でても私死にたくないから無理ですよ!」
『わかっとる、だから美咲ちゃんが回復するまではドラゴンファングとWGの精鋭で厄災を食い止める』
「一日一体が限度ですからね‼」
『うむ、分かった、では頼む‼』
 美咲は各所に対応する格好をとり、厄災を鎮める行為を行った。

 十日かけて。

「もー無理、じぬー」
 十日後、最後の厄災を鎮めた美咲は黒炎の腕の中で疲れ切っていた。
「だが、これで厄災はもう安心だ」
「だが、本命が来たぜ」
「?」

 音刃が言うと、世界的な大富豪から、一国の王様、そして見慣れぬ黒い服の男がいた。

「厄災を十日で鎮めてしまうとは、ですがこれで貴方は身動きがとれない、不老不死の素となる血と肉をたっっぷり頂きましょう」
「ふざけてんじゃねぇぞ」
 音刃がそう言っているとルローが現れた。
「黒炎、美咲を安全な場所へ。本拠地は駄目です、別の場所へ」
「分かりました」
 黒炎は美咲を抱きかかえて黒い竜のような生き物に乗りその場を離れた。
「逃がしません」
 男の攻撃をルローが防いだ。
 美咲はそれを他人事のように見ながら意識が遠のいていった。




「ち、追ってくるとは」
 黒い円盤状の物体に乗って迫ってくる黒い服の男を見て、黒炎は舌打ちをした。
「ならば美咲が目覚めるまで競争だ」
 黒炎は乗っている生き物の速度を上げさせた。




「でりゃああ!」
「毒弾!」
「絡め糸!」
「サウンドブレイド!」
 WGの四天王である鵤達は敵対者達を護衛する輩を倒していった。
 また、かつてWGにいた上層部の連中とも対決していた。
「これ、いつまで続くんだ⁈」
「僕の予想だと、美咲が目覚めるまでだ」




「ん……」
 夢の中で、リフレインが立っていた。
『美咲、あの輩に貴方の血を注ぐのです』
「どうやって……」
『刃に血をつけるとか』
「うー痛いのやだなー、でもやる」
『お願いします』




「黒炎さん……」
「美咲、無理をするな」
 黒炎の腕の中で、美咲はまだうつらうつらとしていた。
「私の血を……黒炎さんの剣につけて……彼奴にぶっさして……そうすれば倒せる……」
「だが、君に傷が……」
「お願い……」
「……分かった」
 黒炎は剣をとり、美咲の肌にわずかに傷をつけた。
 すると血があふれ、べっとりと黒炎の剣を赤く染めた。
 赤く染まると、血は止まった。
「美咲、しっかり捕まっていろ」
「うん……」
 黒炎は美咲を抱きしめたまま、飛び上がった。
 そして、追っ手の黒い服の男の胸に剣を突き刺した。
「たかが、け……な⁈」
 男の体が融解していった。
「ぞんな、馬鹿な⁈」
「なるほど、貴様はいつぞやかの鎮めの乙女を食らって不死身になっていたのか、ならこの血も効くものだ」
「馬鹿な、私のやるべぎごどはまだのごっでい……」
 最後まで言う事も無く、男は解けていなくなった。
「誰だったんだろうね、この人」
「さてな」




「全く、儂等が来ないととっ捕まえられんとはどういう訳じゃい」
「そうだな」
 龍牙と王牙が、全員を捕縛すると、黒炎が美咲を連れて戻ってきた。
「先ほどの輩はどうした」
「美咲の血で死に絶えました」
「なるほど、不死身だったのか」
「美咲無事か」
 鵤達が美咲に近寄る。
 美咲はすぅすぅと寝息を立てていた。
「良かった……」
「美咲の血といったが、てめぇ美咲に傷をつけたのか?」
「私は最後まで反対したが押し切られた」
「……二度とやるんじゃねぇぞ」
「ああ」


「不老不死が、儂等の夢が」
「若返りが、儂等の目的が」


 等と、老害共がのたまっているのを聞いた龍牙が、一瞬のうちに老害共を殺してしまった。
「お、おい!」
「こんな輩死んだ方が世の中の為だ」
「お前美咲ちゃんのことになると過激じゃの、リフレイン様の頃を思い出すぞ」
「フン」




「やったー自由に町を歩けるー!」
 一ヶ月後、黒炎と美咲は二人っきりで町を歩いていた。
「どこに行くの?」
「結婚式を挙げてないだろう?」
「!」
「式場選びに行こう」
「うん‼」
 美咲は黒炎の腕を嬉しそうに握って笑った。

「うう、美咲……」
「うう、美咲さん……」
「うう、美咲ぃ……」
「お前ら、いい加減にしとけよ」

 美咲の後をついて回っている三人に、音刃は呆れの声を出したのだ。


 結婚式が決まると、WGの会長である王牙と、同級生であった鵤達は招待された。
 ドラゴンファングの方は龍牙とルロー以外は抽選で選ばれて、なおかつマナーを守れる者だけに厳選された。
 大規模な結婚式ではなく、身内だけの幸せな結婚式だった。
 美咲の両親は驚いていたが、黒炎が誠実に対応したため、何事もなく終わった。
 四天王の三名が号泣していたが。


 そして、一週間ほど新婚旅行でWGのお勧めスポットを満喫した二人はドラゴンファングに戻ってくると、いつもの日常が始まった。



「美咲ちゃーん! 慰めてー! あとちょっとかじらせてー?」
「慰めはしますが、かじるのはNG‼」
「うわーん、でも慰めてくれるの優しいー!」

「美咲さん、首を触っても良いですか」
「触るまでですよ、絞めたら速攻で黒炎さん呼びますよ」
「……分かってます、触るだけですよ」



 どこか命の危険を微妙に感じる癒やし係の職務を美咲は開始するのだった。



「美咲」
「黒炎さん」
 休憩時間に黒炎が美咲の部屋にやってきた。
「何ですかー?」
「キスをしてもいいか?」
「はい!」
 二人はそっと唇を重ねた。
「今日の夜は色々と期待しているといい」
 キスを終えると、黒炎は仮面を被った。
「何か怖いんですがー⁇」
「ふ……明日足腰立たなくなる可能性があると言っておこう」
「何言ってるんですかー! 仮面被っててもどんな顔してるか想像ついてるんですからねー!」
「どんな顔だと思う?」
「いいませんよ、ふーんだ!」
「ふふ……」


 同時に、甘ったるい夫婦生活が開始するのだった──






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