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水の厄災~そういうの早く言ってよ~
しおりを挟む『今代の鎮めの乙女……』
「はいーなんですかー」
美咲は黒い空間でリフレインと対話していた。
『貴方の予想通り、私が完全に鎮めたはずの六つの厄災が解放されてしまいました』
「げ」
『つまり貴方は残り十一の厄災を鎮める必要があります』
「ちょっとまってー‼ 私まだ死にたくないー‼」
『安心してください』
「へ?」
涙目になっていると、リフレインは困ったように微笑んで美咲の頭を撫でる。
『出現する間隔は長いです。問題は向こうが貴方を処女と認識していること』
「なんでそんなの分かるんですか」
『分かります、私はその為に世界と一体になったのですから』
「ちょ……凄くないですか」
『ただ、この事実は伏せておいて、私が完全に鎮めた六つの厄災が解放されたというのを夢で私から聞いたと話してください』
「リフレインさんから直接話すのは駄目なんですか?」
『鎮めの乙女同士繋がっているから話しやすいのですが、そうでないと負担が増すので……ともかく、それを伝えてくださいね!』
「ちょ、ま──」
「なんじゃそりゃああ⁉」
美咲は夢から目覚めた。
「……はぁ、言わなきゃ駄目か」
美咲は龍牙と王牙に来て欲しい旨を伝えた。
癒やし部屋でその間お茶を飲んでいると──
「よぉ、美咲ちゃん。話ってなんじゃ?」
「美咲、この爺も交えて話しとは?」
「えっと、昨晩夢でリフレインさんが出てきたんですが……」
「ほぉ」
「どんなだ」
二人が食いつく。
「……リフレインさんが完全に鎮めた六つの厄災が解放されたと」
「何だと?」
「やはりか」
「おい、爺気づいてたのか?」
王牙の言葉に龍牙が問いかける。
「おそらく鎮めの乙女を完璧な状態で手に入れたいんじゃろう。そのために鎮めきった残り六つを無理矢理起こした」
「完璧な状態で手に入れても不老不死は得られんというのにな」
「そうだとしても、敵はそこまで気づいていない」
「あのー……つまり私は残り十一の厄災を鎮める必要があるんですよね?」
「そうなるのう」
「おい、爺ふざけるなよ」
「間隔は空いておる、負担になるようなことはないだろう、間隔を狭めてリフレイン様のように過労死させるつもりはないんじゃろ」
美咲はふぅと安堵のため息をつく。
「安心するのは早いぞ美咲ちゃん」
「はひ?」
「奴らの狙いが君なのは変わりない」
「そうなんですよね……」
「全てが終わるまで君には軟禁生活を強いることになるが大丈夫かの?」
「あ、大丈夫です、買い出しには行ってくれる人がいますし……」
「それならいいんじゃがな」
「どこに潜んでいるか未だ分からないからな」
「そう、お前さんとこと、儂のとこは洗い出しが住んだが世界規模では洗い出しが終わってはおらぬ」
「せかいきぼ」
美咲はぽかんと口をあける。
「そうじゃ、世界規模で奴らの仲間──支援者がいる」
「どこにいるかは分からんが、見つけ次第対応すればいいのだろう?」
「そういう事じゃ」
会話をしていると王牙の携帯がなる。
「あー儂じゃが……分かった、すぐ向かう」
通話を終えると王牙は美咲を見た。
「美咲、厄災が一つ近づいている。水の厄災じゃ」
「うへぇ」
「着替えはこちらで用意する、お主達はここに来てくれ」
指定された場所は観光で有名なビーチだった。
「水の厄災……一体どんな」
「これ、水の厄災というか波と嵐の厄災じゃないですかー⁈」
厚手のダイビングスーツに、酸素ボンベと特注のマスクをつけ、黒炎にしがみついていた。
黒炎達はどうやってか水をはじいていた。
「さて、どうする?」
鵤が黒炎に問いかける。
「なるはやで鎮めたいから近づいてー可能ならー!」
「OK!」
「承知した」
黒炎と鵤は水の壁へと突っ込んでいった。
美咲はがっちりとしがみついていたし、黒炎も美咲を抱きしめていた。
しばらくすると、巨大なウミガメのようなものが姿を見せた。
甲高い声をあげ、目からは涙を流していたが美咲の姿を見ると静まり、頭を下げた。
「美咲」
「ちょ、ちょっと待って下さいね!」
美咲は慌ててダイビングスーツ類を脱ぎ、黒炎の補助もあって、その巨大生物の頭に自分の額を合わせた。
『何をそんなに泣いているの』
『奴らが貴方を好き勝手にしようとするのが悲しくて』
『大丈夫、味方がいるわ』
『それに海を荒らす輩が多いの』
『それは私達が一人一人解決意識を持って対応していくわ』
『本当?』
『ええ、皆に伝えるわ』
厄災はすぅと姿を消して、美咲は黒炎の腕の中に落っこちた。
「大丈夫か美咲?」
「う、うん。えっとね、海を荒らす輩が多いから、その対応をして欲しいんだって」
「分かった。龍牙様とWGのトップに伝えよう」
「そう? ふぁ……眠いや……お休み……」
黒炎の腕の中で美咲は眠りについた。
「──だそうです」
「海散々食い荒らしてきたからな」
「お前さん、反省せーよ」
「する」
「儂の方で各国に海の資源やその他諸々の保護を伝えよう、厄災が目覚めぬようにな」
「そうだな、それは兄者にしかできんことだ」
「それにしても、美咲ちゃんは肝がすわっとるぉ」
すやすやと黒炎の腕の中で眠っている美咲を指刺して王牙は言う。
「普通の女性なら、お前さん達にびびってもおかしくないぞ」
「それもそうだな、ヴィランの組織で命がけで癒やし係をやっている時からもう、腹をくくっていたのかもしれん」
「命がけって……何させとるんじゃ?」
「俺はしてない、部下がかじりたがったり、首を欲しがったり、心臓触りたがったりとアレなもんでな」
「今すぐ美咲ちゃんをこっちに来させたくなったわ」
「まぁ、今は安全だ、黒炎と結婚したのをしっているから、皆冗談で我慢している」
「冗談でも言わん方がいいんじゃないかの?」
「確かに」
龍牙に言われてすぐ、ドラゴンファングの本拠地に戻り、美咲の部屋に入り、美咲を寝かせる。
「……」
少々顔色が悪くなっている美咲の頬を撫でる。
少し冷たくなっていた。
そんな美咲の唇に、黒炎はそっとキスをして、毛布をかけて部屋を後にした。
『厄災はあと十、何とか頑張って』
「頑張りますけどもー!」
美咲は自棄になって言う。
「あの時龍牙さん達と話してたじゃないですか、なんで私に夢の中で?」
『実はあれ、無理してたの。二人を止めるためにはああするしか無かったの』
「はぁ……」
美咲は龍牙とWGのトップの長年の軋轢を感じた。
だが、それほど二人にとってリフレインの存在が大切なのも理解した。
「まぁ、頑張りますよ」
『お願いよ?』
「へいへい」
後、十個の厄災、どうやって止めるべきだろうかと美咲は考えた。
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