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花嫁の為に~工作活動~
しおりを挟む「今日は異形案件じゃ見つからなかったな」
見廻りから帰宅した零は少しがっかりしたような、安心したような言い方で息を吐き出した。
「電車でそれらしき場所に行ったのにな」
「ペンダントも外したのに」
「何も起きなかった」
再度零はため息をつく。
「明らかに異常感はあったんだがなぁ……」
零は首をかしげて風呂に入っていった。
零が就寝し、ペンダントをつけてることを確認すると、慎次はその場から姿を消した。
そして異形の子等の住処の会議室に向かう。
「おい、フエ。何かしたか?」
懐疑室でのんびりしているフエに慎次は問いかける。
「したよー、ちょっと厄介な奴だったから」
「どういう?」
「泡状の異形でね、泡で人間包んで服まで溶かしちゃう奴だから、前回の件もあるし、そんなのに遭遇したら被害者がでているかもしれないと零さんが捜査しちゃうからこっちで全部対応した」
「そうか、すまないな」
慎次の言葉に、フエは手を振る。
「いーの、いーの、それが伝わったらまた零さん無理しちゃうし」
「確かに、な」
慎次は苦虫を噛み潰したような顔をした。
あれ以来、零が精神的にダメージを負いそうな案件はフエが先回りして情報を零に行かせないように処理することになった。
「慎次、餅つきをするぞ」
「そんな時期でもないのに?」
「餅が食いたい」
「へいへい……」
探偵所の倉庫から餅つき用の臼と杵を取り出すと、既に水に浸していた餅米をふかし、そして餅をつき始めた。
「荒井さん、どうして今餅つきをなさるの?」
「所長が餅食いたいってわめいてな」
「餅つきの時の餅は全て食い尽くしてしまったの⁇」
「食い尽くした用だ」
「それなら仕方ないわね」
高嶺をそんな話をしつつ、慎次はレオンと餅を作った。
できたての餅を零にやると、零は嬉々とした表情で食べ始めた。
「こうやって食ってる所を見ると安心する」
「そうだな、所長普段食細いからな」
「餅はカロリーが高いから痩せた所長の体格が標準になると安心する」
「わかる」
伊賀とそういう会話をしつつ、あんこ入り餅などを作っていく慎次。
余った餅は冷蔵室で保管する方向で決まった。
零は餅を腹一杯食べて満足という風な顔をしていた。
「腹一杯にもなったし、見廻りに行くか」
「分かった」
片付けが終わった慎次にそういうと、零は見廻りに向かった。
ちょうど被害者が出る寸前だったので、零はペンダントをブチッとちぎり、花嫁宣言すると、異形は零に向かってやって来たので、慎次が屠った。
その後被害者を安全な場所に返し、他に被害者が居ないのを確認すると、零と慎次は探偵事務所に戻った。
「あまり無茶するなよ」
「被害者がでないならいいだろう」
「そういう問題じゃない」
そんなやりとりをしながら慎次は零の世話をして、零が眠るとそのまま姿を消した──
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