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祝福者の傷
暴力的なまぐわい
しおりを挟む何とか王子様に食事を取らせ終えると、マイラが俺の食事を持ってきた。
「食べれますか、ニュクス様」
食欲はわかない。
というか、苛立ちが酷すぎて何かで発散しないと落ち着かなくて、俺は包帯がボロボロになるまで再度腕を引っかき、また腕を傷だらけにした。
マイラは俺の自傷行動が終わるのを待ってから、手当てをして新しい包帯を巻いた。
「落ち着きましたか?」
「……少し」
「食事はできますか?」
「……食べる」
「畏まりました」
マイラが王子様に近寄る。
「リアン様、ニュクス様が食事をするので、少しだけ離れてくださいませ」
マイラの言葉に、王子様は部屋の隅へと移動した。
俺はそれに感謝した。
多分、王子様が近くにいたら、食事している最中も苛立って、食事ができなくて、王子様に暴力的な態度を取りかねないからだ。
マイラは王子様が部屋の隅に移動すると、テーブルに料理を置いた。
王子様の事をなるべく考えないようにして、食べる事に集中する。
器が全て空になると、マイラはそれらを下げた。
「では、失礼します、何かありましたら、扉を開けようとしてください、それを感知してここに来るようにいたします」
マイラはそう言って部屋を出て行った。
俺は息を吐き出して、洗面所に向かう。
まぁ、自分の顔を見るためだ、後ついでに歯を磨くため。
鏡に映る俺の顔は――なんだろう、酷く気味が悪く見えた。
死んだ顔をしている、薄気味悪く見えた。
表情を動かすが、どれも、嫌な表情ばかりだった。
俺はため息をついて、とりあえず歯を磨いた。
洗面所から出てくると、嫌な感情が一気に噴き出た。
耐えかねて、扉に向かい開けようとした、扉は開かない。
その場に蹲る。
憎い、憎い、苦しい、苦しい、殺したい、傷つけたい、死にたい。
色んな感情で頭の中がぐちゃぐちゃになる。
扉が開く音と、締まる音が聞こえた。
顔を上げると同時に、マイラが俺の事を抱きしめてきた。
俺はうつむいて、また腕を引っかき始める。
マイラはそれを止めることはせず、抱きしめ、背中をさすりつづけた。
一週間が経過した、俺が耐えきれなくなって扉を開けようとして、それを感知してマイラが来て俺をなだめて、その後、治療するなり、色々する。
薬の量も増えたけど、一行に良くなる気配はない、嫌な感情は突然一気に噴き出すから、それに俺が耐えてマイラを呼べるのがなんとか良かった。
あと、王子様との距離、マイラが居る時は距離を取ってくれる、それがありがたい。
ああ、いない時はまぁ、俺の苛立ちが酷くなる状態――基近づいて、俺の服を掴んでくる。
それに我慢をする、無理そうならマイラを呼ぶ。
それを繰り返していたが――
「……離せ」
いつもそう言えば離す王子様が、俺の腕を離さない。
「離れろ」
離れない。
苛立ちが、嫌な感情が噴き出した。
暴力性を伴った感情が。
流石に王子様に暴力を向けるのは不味いというのは分かる程度の思考はあった、だから王子様から距離を取ろうとするのだが、ああ、忘れてたよ、王子様は俺とは違う、見た目と違う、凄まじい怪力の持ち主だって。
「――離せ!!」
怒鳴り声を上げて殴るような仕草を見せる、きっと酷いことをされた王子様だ、それで離れてくれるだろう、もうそういうことをする位限界に近かった。
でも、王子様は離れてくれなかった。
「~~~~!!」
殴りそうになったが、王子様じゃなくて、ベッドを殴った、もう少しで顔にあたるギリギリだった。
だが、離れてくれない。
頭がどす黒い感情で埋め尽くされていく、それが酷く苦しい。
離してくれない、酷い言葉を言ってしまいかねない、頭がぐちゃぐちゃになる。
「離せ!! いい加減にしろ!! お前は何がして欲しいんだ!! 何もできない俺に何をしてもらいたいって言うんだ!!」
それでも必死にそれらを抑えようとするが、怒鳴りつけながら言ってしまう。
何故こんなことをしているのか、分からない、早くそれをどうにかして、俺は扉の所に行ってマイラに来てもらいたかった。
落ち着いて聞くとか、無自覚にこんな嫌な感情を抑え付けてきた頃の俺ならできただろう、でも、今の俺はそんな事はできない。
自分の抑圧し続けてきた、感情を、自傷欲求を、他害欲求を、暴力性を、抑えつけ続けてきたそれら全部に振り回されて、自分じゃどうにもできないんだから。
「おね、がい、なぐっても、いい、から、なに、しても、いいから、よばないで、だれも、よばない、で、そばに、いて、おねがい、にゅくす」
ああ、何で、そういう事言うんだ。
我慢してたのに。
押さえ付けていたのに。
憎んで、疎んで、苦しめたくて、やり返したくて、傷つけたくて、嬲りたくて――ああ、テメェに対する色んな感情を我慢してたのに――!!
抑圧してたどす黒いそれらと、歪な形で目覚めさせられた性欲が、結びついた。
我慢が、できなくなった。
「―――ひぎぁ゛!!」
リアンのズボンと下着無理やり脱がして、慣らすとかせずに尻の穴に、今まで一度も勃起しなかったのに、今回のソレの所為で勃起した俺の雄をねじ込む。
明らかに苦しいとか痛いとかそんな声を上げてるけど、繋がった其処からは血は流れていなかった。
「うるせぇ、そういう声は求めてねぇんだよ」
頬を強く叩く。
「ごめ゛なさ……あ゛ぐぅ!!」
腰を動かして、締め付けがキツイ腹の中を力任せに犯す。
「そういう声いらねぇ」
もう一度頬を叩く。
リアンはまぁ、顔を涙とか唾液でぐちゃぐちゃにしながら頷く。
叩いた箇所が少し赤くなったが、別に俺はなんとも思わなかった。
気に入らない声を出したのはコイツだから。
最初の頃は痛みによる声を出してたので、その度に顔を叩いた。
なのに「止めて」は絶対言わない、別にどうでもいいけど。
ぐちゃぐちゃ音がするけど、俺は潤滑液だっけそういうのは使ってない。
まぁ、別にどうでもいいか、そんな事。
「あ゛……あ゛ぁ゛!!」
締め付けが増す、リアンはシーツを掴んでのけ反っていた。
ああ、イッたの、こんなんでも。
腹を見れば、勃起してないリアンの雄から白く濁った液体が零れていた。
「っひ――?!」
「何一人だけ気持ち良くなってんだ、俺は全く気持ちよくねぇのに」
敏感になってるのか、震えて俺の雄を締め付けている腸内をえぐる感じに突くと、引きつった声を上げた。
「ご、めん、なさ――ひっぁ゛あ゛!!」
また同じような反応、なにこの淫乱、被虐趣味なのお前。
「ああ、面倒だ、もうやめるか」
面倒になってきた、全然気持ち良くないし。
「あ゛、あ゛や、め゛な、い゛で……!!」
「じゃあ、俺の事気持ちよくしろよ。じゃねぇと止める」
締め付け強いだけで気持ちよいとか全然感じねぇもん。
そんなにそっちの快楽欲しいなら、自慰するか――ああ、できねぇんだっけ、ならアルゴスの奴にでも頼めよと思ったけど、そういやアイツでも無理なんだっけか。
ああ、でも俺はお前のそういう欲望を満たす為のもんになるつもりはない。
俺のことそういう扱いしたの、お前だろ。
アレがどれだけ嫌だったか分かるか?
「っうぅ――!!」
俺の雄を締め付けてる肉筒の蠢きというかまぁ感触が変わる、締め付けるだけの感じじゃなくなる、少しだけ気持ちはよい、が、射精するには足りない。
「足りねぇ」
そう言って腰を動かす。
「あ゛ぁ゛!!」
「だから一人だけ気持ち良くなってるなら、俺は止めるつってんだろ」
ガリと脚に爪を立てる。
「あ゛、あ゛ご、め、ん、なざ、い゛」
「口だけの謝罪はいらねぇ」
「ぅうぁあ……」
ぼろぼろ泣いてるが、泣けばどうにかなるとでも思ってるのか?
泣いてた、でも泣けなくなった、泣きたくても泣けなくなった子どもの頃の自分が蘇り、どす黒い感情――「傷口」から「血」が噴き出す。
苛立ちが、憎悪が、妬みが、色んな感情が悪化する。
気持ちよいとか、気持ち良くないとか、どうでもよくなった。
腰を動かして、白い病的な肌に傷跡をつけて、俺に触ろうとしたら叩いて、触るなと怒鳴りつけて、犯した。
なのに「止めて」だけは言わない。
何か出そうな感じがしたので、奥まで一気に突っ込んで押しつぶすように犯す。
「っ……」
「あぁ゛……」
何か出した――多分射精したんだ思う、それと同時に、締め付けが増した。
「……」
ずるっと、抜く。
奥で出したからか、精液が零れてくる様子はない、俺の雄は透明な液体で濡れてた、多分腸内で分泌された液体。
「――きもちわりぃ」
俺からするとあんまり気持ちよく慣れない行為、気分が悪くなる行為、気色の悪い行為でよがって、喘いで、イって、快楽を得るリアンが理解できなかった。
というか乱暴されてきたのに、暴力をふるう相手との行為を望むとか頭がおかしいと思う、そんな奴抱いた俺も頭がおかしい――ああ、そうだ、俺ぶっ壊れてるんだもんな。
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