43 / 45
悲しいおとぎ話のように
止められない
しおりを挟む「う……」
「大丈夫かい……? 無理なら、もう止めよう。私は君を苦しめたくない……」
ニュクスは私の胸に顔をうずめながら、首を横に振る。
ニュクスの「月の血」は終わったばかりだ。
そんな、負担が残っている、傷が癒えていない女性器に挿れるなど私はできない。
けれど君はまぐわいを求める。
繋がりを欲する。
自分の「普通と異なる体」でもいいと安心したいと言って。
ニュクスの壊れている心が、より歪になっているのが分かる。
私の所為だ。
こんな状態の君と自分は離れた方が良いと言ってそれを行った結果、君は自分の価値をより下げてしまった。
傍にいるだけでは、何も役に立たないと、思うようになってしまっている。
口で言っても、今のニュクスには伝わらないだろう。
私は傍にいたニュクスに傷を負わせた。
自分が憎くてたまらなくて行った行為の結果、意識がない状態ですらニュクスに傷をつけても自分の自傷行為を止めることができなかった。
それもあって、ニュクスはより「自分は役に立たない」と己を責めている。
だから、少しでも繋がりを求める、必要とされたいと願う。
居てもいいんだと信じたいのだろう。
私が突き放せば、もうそこでニュクスのヒビだらけの心は一瞬で壊れて、もう戻らなくなる。
だから私は君の事を否定しかねない言葉や行為はできない。
傷つけに傷つけて、追いつめたのは、私、なのだから。
今のニュクスとするのは初めての箇所。
おそらく……玩具などを使用したら今の君の体は受け付けない箇所。
潤滑液を注いだ其処に、潤滑液で濡らした指を入れて、窄んでいる其処を少しずつ広げてほぐすように指で慣らしていく。
体を震わせて、か細い息を吐きだしながら、私の胸に顔をうずめているニュクスの反応を見ながらというのはそれなりに難易度が高かった。
表情を決して見せてくれない、必死に声を殺そうとする。
私の服を握っているけど、私の肌が露出している箇所を触ろうとしない。
女性器の箇所でまぐわうのとは明らかに違う感覚に、酷く怯えているのに、それを言おうとしない。
分かってるのだろう、言えば、私が止めることを。
だから君は言わない。
君は今、怖くてたまらないから、繋がりを欲しがってる。
言葉でどれほど伝えようとも、抱きしめようとも、安心できないのだ。
自分が「異常」だと、「異質」だと思い込んでいるから。
そう思わされる傷が残ってしまっているから。
「……ニュクス、顔を、見せてくれないか?」
ほぐれた後孔から指を抜いて、私はお願いをする。
けれども、ニュクスは首を横に振る。
「……お願いだ、ニュクス……私は君を傷つけたくないんだ……」
何度も、何度も言い聞かせる。
けれども、ニュクスは首を横に振って、答えようとしない。
苦しくても、痛みが伴っても、今のニュクスは「繋がり」を欲しがっている。
肉体での「繋がり」が強固ではないことを私は知っている。
けれど、今のニュクスは知らないのだろう。
だから、それを口にすることはない。
それを知ったら、君はどうすればいいか分からなくなる。
君は「必要とされなくなる」事に「いらない」と言われる事に今まで以上に怯えて生きることになる。
――それだけは、嫌だ――
ニュクスの体が苦しいと痛いと、辛いと感じるのは、嫌だ。
けれども、それ以上に心が苦しむ方がもっと嫌だった。
そうしたのは、他でもない私自身だから、私は私が憎くてたまらなかった。
けれど、君は私以外に怯えて、近寄ることすらできない。
死にたがっていた君は、今は殺される恐怖に怯え続けている。
忘れて、忘れて、他と「違うことはおかしい」という事も、自分が「命を根われ続けた」という事も、全て忘れて欲しかった。
忘れるなら、いっそ、全て忘れてくれて欲しかった。
何も思い出さないで欲しかった。
そうすれば、君は明るい笑顔で、家族と新しい関係を築き、幸せになれただろう。
この国で、幸せに生きられただろう。
だけど、そうならなかった。
そうならなかった結果がこの様だ。
どうして君ばかりが苦しむのだろう?
私はどうしてそれを少しでも和らげることができないのだろう?
ほぐした後孔に雄の先端を少しだけ挿れれば、体をびくりと震わせた。
「……ニュクス、無理なら、言ってくれ、傷つけたくない。私はもう君を傷つけたくないんだ……」
君はそれでも何も言わず、首を横に振るだけ。
この状態でやめれば、君は傷つく。
だから続けるしかない。
久しぶりのまぐわい。
本来まぐわいの為に使う箇所ではない。
締め付けが強いけれども、拒絶しているような感触はない。
ゆっくりと動かすと、ニュクスは私にしがみついてきた。
反応的に分かる。
唇を噛んでいる。
声を上げるのを怖がるように。
声を聞かれるのを怯えているように。
「……ニュクス、お願いだ、君の声を聞かせてくれ……私は、君の声が聞きたい、君の顔が、見たいんだ……君の声が無いのが、顔が見えないのが……不安なんだ……怖いんだ……」
卑怯な手だろう、もっと早めに言うべき言葉だっただろう。
私が不安を、恐怖を訴えれば、ニュクスは従ってくれる。
つくづく自分の薄汚さに反吐が出る。
その言葉に、漸くニュクスが恐る恐る顔をこちらに向けてくれた。
赤く染まった顔、涙で潤んだ目元、熱帯びた息。
ぞくりとした。
唇を口づけで塞いで、貪って、孕まぬ其処に薄い腹が膨らむ程に精液を注いでしまいたい――それを私は我慢できなかった。
唇を貪ると、酷く甘く感じた。
少しだけましになったが、まだ痩せている体の、感触を汚れてない手で、なぞる。
口づけを止めて、首筋を舐め、吸い付いて痕をつける。
ぐちゃぐちゃという音と、ニュクスの引きつった嬌声じみた声に興奮してしまう。
あまり触ることをしなかったニュクスの雄を扱きながら、腸内を突き上げれば、ニュクスの男のソレにしてはあまりにも綺麗な形の雄から白い液体を吐き出した。
奥の奥までこじ開けて、精液を注げば、喉を反らして、赤い舌を出して声にならない声を上げて、体を震わせて、綺麗なソレも震わせて、ぎゅうと締め付けを強めてきた。
奥はまるで吸い付くように、先端に絡みついて、しゃぶるような感触さえ感じて、酷く心地よかった。
狂った愛の言葉を何度も言って、抱いて、口づけて、貪って、精液を吐き出して――それを繰り返した。
ニュクスが意識を失っても、無理やり覚醒させて、抱き続けた。
翌朝――私は酷い自己嫌悪に苛まれた。
自分の薄汚い精液で薄い腹を膨らませた、ニュクスの様を見て――
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる