異世界転生したら王女で聖女扱いと思ったら生け贄で魔(術)王の妻にされた件~勘弁してよ女神様~

琴葉悠

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異世界を救う異世界転生~女神様勘弁してください~

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 刺された箇所が熱く、痛い。
 ああ、自分ここで死ぬんだ、もっと生きたかったなぁ、やりたい事あったなぁ……




 私は美園みその守里まもり。二十一歳。
 普通の大学生……だった。
 通り魔に刺されて殺されるまでは。
 今は通り魔に刺された被害者で死体……のはずなんだが、変な空間に来ている。
 白い空間、ここは天国か?
 いや、それとも意表をついて地獄か?

「いいえ、どちらでもありません。ここは貴方にとっての異世界の神の間です。そして私は女神リシュアン」




 守里が声の方に視線を向けると、美しい女性が立っていた。
「え、異世界? 女神様? どういう事?」
「貴方のような人を探していたのです、寿命が尽きるまで待ってましたがあまりにも早い寿命で何事かと思ったのですがまさか通り魔に刺されるとは……」
「あ、俗にいう死ぬはずじゃなかったんじゃなくて、私どうあがいても死ぬ羽目になってたんかい」
 守里は遠い目をした。
「死んだ早々の貴方にお願いするのは心苦しいのですが、世界を救ってください」
「え、勇者になれとかそう言うの?」
「いいえ、貴方の魂をこれから二十年間魂がないまま、眠り続ける小国の姫の体に移します」
「いやいや、ちょっと待って、魂ないなら死んでるんじゃない?!」
 守里は慌てふためいた。
「私の加護で眠り続けるだけになっています。それに彼女は……貴方の為に用意した体とも言えます、ですからその……」

──なんと強引──

 守里はため息をつきながら女性──女神に問いかける。
「じゃあ、どうやって救うの?」
「これを……」
 女神は手のひらを向かい合わせると、光の玉が生まれた。
 それが守里の体の中に入っていく。
「私の世界をひっくり返す程のマナと魔力です」
「待って、そんな物騒なもん渡すのはヤバいから」
 守里は出せないかと手を体に突っ込もうとしたが、手は体をすり抜けた。
「うわ、手すり抜けた」
「今の貴方は魂状態ですから……」
「あのー……どうやって救うの?」
「世界の危機を知っている者といずれ出会います……その時、貴方の力を使ってください」
「はぁ……」
「あ、ちなみに力は使ってもなくなりません、消費しても自動で回復しますので」
「いやいや、ますます厄介な能力渡すなよ!! 私が世界征服企む悪人だったらどうすんだ!?」
「貴方は優しい方ですからそんな事は決していたしません……では」
「ちょっと待って、まだ話が……あ゛――!!」
 守里は光に包まれ、青光りする玉となり白い空間の床に沈んでいった。

「どうか、お願いします……」




 ぱちりと目を覚ます。
 おとぎ話で出てくるようなベッドの上で目を覚ました。
 普通なら寝ているだけなら体を動かすのもできないであろう体は、普通に動かす事ができたので守里は起き上がり、鏡を探すと、またおとぎ話で出てくるような鏡があり、姿を見る。
 小ぎれいなドレスのような服をきた二十歳くらいの女性がそこにいた。
 顔つきは――何故か生まれ変わる前の自分と似ていたので、かわいいとか美人だとかは特に思わなかった。
 ただ髪の色とか目の色は変わっていた、烏羽色のような黒髪と、青い目に。
 そうしていると扉があき、そしてガシャンと音がなった。
「ひ、ひ、ひ」
「ひ?」
「姫様が起きました――!! 陛下、お妃様!! 皆さま――!!」
 メイドみたいな――侍女らしい人物が扉から出て叫んでいた。
「……えーと……」
 彼女は思い出す、確か小国の姫に生まれ変わらせると言っていたと。
 そしてその姫は魂を持たぬが故に眠り続けていると。
「目覚めたのか!?」
「リア?!」
 冠をかぶった位の高そうな人物が自分を見てきた。
 壮年の男性と、少し年をとった女性。
 男性には気品と貫禄があり、女性には気品と穏やかさが見えたが、今はそれが揺らいでいる。
「えっと……お父様と……お母様……?」
 首をかしげてそう言うと、二人は感極まった表情になり抱き着いてきた。
「ああ、神託を信じてよかった!!」
「20年、20年待った甲斐がありました!!」
「ぐええええ……ぐるじい……」
 強く抱きしめられて本音が漏れる。
「ああ、すまない、リア。お前が目覚めた嬉しさのあまり強く抱きしめすぎたようだ……」
「ごめんなさいね……ああ、私の可愛いリア」
「父上!! 母上!!」
「お父様!! お母様!!」
 若い男女が入ってきた。
「ああ、なんという事だ、リアが目覚めるなんて……!!」
「奇跡だわ……!!」
「……えっと……お兄様と……お姉様……?」
 若い男女は顔を見合わせてこちらも感極まった表情になり抱き着いてきた。
「ああ、妹よ!!」
「私の可愛いリア!!」
「ぐええええ……ぐるじい……」
 再び強く抱きしめられ、二度目の本音が漏れた。




 守里――リアは、このアーデルハイト王国の第二王女らしい。
 生まれてから二十年間ずっと眠り続けていたそうだ。
 生まれてから神託があり、「来るべき時に王女は目を覚ます」とあった為、皆それを信じて二十年間待っていたそうだ。
 リアは良く二十年間も待てたなぁと我ながら思った。
 だが、問題は来るべき時、というのが分からない。
 この国に何かが訪れる、危機的な状態になった時に自分のあの女性から与えられた力が役立つのかなと予測を立てた。
 とりあえず、ほとんどわからない状態なので、時間が許す限り周囲の状況を探っていこうと決めた。

 マナーとかさっぱりわからなくて戸惑ったが、この世界の両親と兄と姉は微笑ましく見守りながら教えてくれた。
 二十年間眠り続けて、しゃべれている事が奇跡のように思えてもいるのだろう。
 実際は転生したからお話できます、だがそんな野暮なことを言うつもりは無かった。

 この国の事、マナの森の木々や泉とそこにある世界樹がマナを生み出しそのマナによって生き物が生きていること。
 またこの世界には魔法が存在すること、この力は魔力によって人それぞれとのこと。
 女神リシュアンがこの世界を作ったらしいということ。
 このように様々教えてくれたが、気になることがあった。
 この国の外の事になると世界樹以外のことは何一つ教えてくれないのだ。
 誰もが。

「リア様は知らなくてよいことですよ」

 と言い出して、教えてくれない。
 非常に気になった。


 教えてくれない物を無理に教えてくれと言っても今は仕方ないので、城での勉強と神殿に行っての勉強を繰り返すことにした。

 いつものように神殿に行き、神官の話を聞こうとすると、若い母親らしき子が血まみえれの子ども抱きかかえてやってきた。
「どうしたのです?!」
 若い神官が声をかけて傷を見る。
「獣に襲われて……どうか助けてください神官様……!!」
「わ、私ではそんな深い傷……」
「ちょっと見せてください」
 リアは親子の元へ行き傷を見る、魔力の高さに比例して魔法は強くなると勉強した。
 うまく使えるか分からないが、念じた、治れ、と。
 念じ、手をかざすと光が集まり、子どもの傷を包んだ。
 光が消えると子どもの傷は跡形もなく治っていた。
「うーん……」
「良かった、治ったみたいですね」
「リア王女様……有難うございます!!」
「民の無事が私の幸せですので」
 リアは何とか王女っぽく微笑んで親子に言った。
「そんな……リア様にはまだ魔法を教えてないのに使えている……?!」
「その……治れーって念じたら治りました……」
「ああ、貴方は聖女だったのですね!!」
「は、はい?」






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