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花は己で育てるもの
しおりを挟むばらばらと細かな雨粒が降り始める夕刻、二人の男が向き合っていた。
片方は鎧を身につけた剣士、もう片方は薄手の格好をした剣士──否、サムライか。
二人がしばし向き合っていると、近くに雷が落ちた。
その瞬間二人は剣を、刀を取る。
一瞬の出来事だった。
鎧を着けた剣士は崩れ落ち、その場に血を流して倒れた。
「何だよ、高名な剣士だって聞いてたのにがっかりだぜ」
サムライはそう言うと、じろりと木の陰を見た。
「誰だ」
そう言うと、ローブ被った子どもがいた。
「コイツの子どもか?」
「違う」
子どもは男に怖じ気づく事無く近寄っていった。
「おじさん、強いんでしょう」
「ああ、つぇえぞ」
「仇討ちをしたいから剣を教えて」
子どもはフードを取った。
菫色の髪に、光加減で、赤、紫、青に見える目、色白の美しい少女が姿を現した。
男はしばらく少女を見つめてからにやりと笑った。
「いいぜ、代わりにお前の全部を俺によこせ」
「構わない」
即答した少女にあっけにとられるも、男は笑った。
「何がおかしいの?」
「いや、即答だったもんでな。で、名前は何だ?」
「純鈴」
「純鈴か、となると俺と同じ地域出身か。俺は朧だ。」
カタカタと、刀が動くのに、少女は目を丸くした。
「ああ、コイツは妖刀時雨だ。純鈴、お前刀は持ってんのか?」
「……ない」
「じゃあ、コイツをお前にくれてやる」
別の刀を朧は純鈴に渡した。
「叢雨だ。なかなかいい刀だ」
「こんないい刀私に渡していいの?」
「仇討てぇんだろ? なまくらじゃ討てねぇ」
「……有り難う」
「じゃ、さっさとここから離れるぞ」
「分かった」
朧の後を純鈴はついていき、その場から離れていった。
「しっかし、あの剣士高名の割にはたいしたことなかったぜ本当」
川辺で魚を素手で掴み、それをたき火で焼きながら朧は言う。
「朧は何で強くなりたいの?」
「強いにこしたことはないだろう?」
「そう……うん、そうね」
朧の言葉に純鈴は納得したように言う。
その日から朧と純鈴の日常が始まった。
野草や、魚の見分け方と、調理の方法から始まり、食事が終わると朧から純鈴への剣術稽古が始まった。
刀の持ち方振り下ろし方、など実践形式で教えられた。
その感朧の刀は鞘に入ったままだった。
稽古が一段落すると、また食事を取り、今度は朧の用事についていくことになる。
「強い剣士、サムライはいないのか」
ほとんどが朧の事を知っているのか、声を出さないが、稀に朧の行動を許しがたいと挑んでくる輩がいる。
そして人気の無い場所で決闘をし──朧が勝つ。
それの繰り返しだった。
それを繰り返して10年が経ち、純鈴は二十歳になっていた。
二十歳になった純鈴の目の前にいるのは両親を殺すよう命令した奴隷商人。
護衛達は皆純鈴の刀の錆となり、命を落とした。
「か、金はいくらでも出す!! だから助けてくれ!!」
見苦しい行為に純鈴はこういった。
「金などいらぬ、父と母の仇の命が欲しい」
と言って、奴隷商人の首をはねた。
「終わったか」
「終わった」
純鈴は呟いた。
「じゃあ、ずらかるか」
「ここの奴隷達は?」
「違法な奴隷を仕入れているってたれ込んどいたからそろそろ国の役人共が来るだろう、行くぞ」
「分かった」
純鈴は朧についていった。
その日珍しく、わりと良い宿屋に朧は純鈴と泊まった。
「お前の祝いと、俺の祝いだ」
と、朧は訳の分からない事を言った。
「どういうこと?」
「『代わりにお前の全部を俺によこせ』と、俺は言ったぜ」
「……ああ、そういう」
純鈴は納得したかのように呟いた。
朧はにたりと笑った。
夜、薄い明かりのついた部屋のベッドの上で、純鈴は薄手着物一枚を羽織っていた。
「ここの風呂はいいな」
部屋に半裸で戻ってきた朧は純鈴の姿を見て、笑みを浮かべ彼女を押し倒した。
「さて、俺が育てた体を堪能させて貰うぜ」
そう言って着物を脱がすと、色白の筋肉がほどよくついた曲線美の体が現れた。
胸はさらしで抑えつけていたがそれでもふっくらとした形のよい乳房をしていた。
「抵抗はしねぇのか」
「したら約束違反でしょう?」
「ちがいない」
朧はくくっと笑って、純鈴の淡い紅の唇に己の唇を重ねた。
舌を入れ、まだ何も知らぬ舌と絡ませる。
純鈴はされるがまま、口づけを受け入れた。
口づけが終わると、唾液の糸が二人を繋いでいた。
「接吻のやり方はこれから教えりゃいいか」
朧はそう言って、胸元に口づけていった。
舌を這わせながら下へと移動し、薄い茂みを越えて、女の箇所へとたどり着く。
秘所に下を這わせ、秘裂へと舌を潜り込ませる。
「っ……!!」
純鈴は接吻とは明らかに違う行為に、戸惑い、口を閉ざす。
舌が肉壺を刺激するように愛撫する。
女陰に対する舌での愛撫に、純鈴は身をよじろうとし、熱帯びた吐息をこぼした。
肉壺から舌が抜かれると、今度は濡れた指が入ってきて、くちゅくちゅと音を立てながら愛撫が始まる。
「も……いい、から……」
「馬鹿言うな、最初なんだぞ。俺ので裂けないようにほぐさねぇとな」
愛撫から逃れようとする純鈴に、朧はそう言うと、愛撫を続けた。
ねっとりとした愛撫に、純鈴の脳内は焼き切れそうだった。
愛撫が終わり、純鈴がぐったりとすると、ずりゅっと何かを擦り付けられるのを感じた。
純鈴が気力を振り絞ってみれば、朧の雄だった。
普通の男根よりも一回り以上太く長いそれに、ひゅっと息を飲む。
「安心しろ、裂けねぇようにするから」
朧はそう言うが、純鈴の心の中は恐怖心でいっぱいだった。
ずりゅずりゅと女陰に擦り付けられる行為に、少しずつ快感を感じ始め、純鈴はシーツを掴んでそれに耐えていると、ゆっくりと、異物が入ってくる感触がした。
「きっつぃな……」
「が……あ……」
純鈴が緊張している状態にあることを理解した朧は、純鈴の体を愛撫し始めた。
口づけをし、胸を優しくもみ、首筋を甘く噛み、様々な手段で体の緊張をほぐしていく。
力が抜けていくと、肉壺の締め付けも緩み、朧はゆっくりと自身の雄を入れて行った。
「う、ア」
「血は出ねぇ処女か」
朧は少し物足りなさそうに言ってから、ゆっくりと腰を動かし始めた。
とちゅとちゅと、軽く揺するような感触に、純鈴は震えて、口端から熱帯びた息を漏らした。
「声出せよ、ここにいるのは俺とお前だけだ」
「ァ、ア」
こぼれるような喘ぎ声をこぼして、純鈴はシーツを掴んで身をよじる。
「逃げんなよ」
ずりゅっと一度引き抜き、再度挿入すると、純鈴は目を見開いて、舌を出した。
はっはっはと呼吸を繰り返す純鈴を見ながら、また、ゆっくりと腰を動かした。
「ん、ぐぅ!!」
純鈴は朧の肩に噛みつき、背中をひっかき、抱きつきながらの体勢にされた。
ゆさゆさと揺さぶられる度に、純鈴は快感からか、より朧の肩を噛みつく。
「噛みつき癖は後々直さねぇとな」
笑みを浮かべながら朧は純鈴の体を揺すり、ぬちゃぬちゃとまぐわいあう音を響かせた。
「そろそろ出すぞ」
朧がそう言うと、純鈴は口を閉ざし、ぎゅうと朧にしがみついた。
どろりとした液体が純鈴のナカへ吐き出される。
その感触を感じながら、純鈴は意識を飛ばした。
朝、目を覚ますと既に衣服は着せられていた。
朧は、身支度を調えて椅子に座っていた。
「おう、動けるか?」
「……腰が重くて動けない」
「そうか、じゃあ少しの間宿を延長するよう言ってくるぜ」
「え」
朧の言葉に、純鈴は目を丸くする。
「せっかく育てたお前が体壊すのは意味ねぇだろ、お前は俺のもんなんだからな」
朧はそう言って部屋を後にした。
残された純鈴は、ふぅと息を吐き、再びベッドに倒れ込み、まどろみの中眠りに落ちた。
戻ってきた朧が見たのは、穏やかな表情で眠る純鈴だった。
仇討ちを終えるまでうなされている事が多い彼女が初めて見せる表情。
朧は起こさないように、そっと頬を撫でた。
「どっかの誰かが言ったっけな『自分で育てた花はどの花よりも美しい』って」
そう言って純鈴の菫色の髪を撫でる。
「確かに、その通りだったぜ。俺の『花』は他のどんな『花』よりも美しいからな」
朧はそう言って笑った。
その日から、朧と純鈴の関係は変わった。
純鈴の剣術の稽古はしなくなった。
朧は強い相手を求めるのではなく、依頼を受けて仕事をするようになった。
代わりに仕事が終わると、朧は純鈴の体を貪るように堪能した。
純鈴は喘ぎ声を上げて乱れる。
この生活が終わるのは、そう遠くない未来。
純鈴の腹に朧の子を宿すまで続いた──
剣士は幼い「花」を見つけた。
美しい「花」だった。
剣士はそれを育てることにした。
それは「花」は美しく育った。
剣士はそれを愛で、愛する事を誓った──
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