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花見前夜、忍び寄る不穏
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花見に行くメンバーと人数が確定し、お弁当に何を入れようかと考えていた頃──事件は起きた。
その日もいつも通り品出しを終えてストック置き場へ戻ると、森野さんが内線を取っていた。
四月はクリスマスほどではないにせよ売り出しが多く、売り場は毎日バタバタしている。
GWへ向けてレジャー用品の問い合わせも増え、私でさえ胸ポケットに小さなメモ帳を常備して歩いているほどだ。
そんな中、内線を切った森野さんが、
「ったく、こっちだって忙しいんだよ!」
と毒づきながら、売り場へ向けて走っていった。
(珍しい……。森野さんが仕事でイラつくなんて)
そう思いながら、私は箱から出した商品に開封止めシールを貼り続けた。
すると、森野さんが慌ただしく戻ってきて、
「柊、悪い。これ、レジの横溝から売価聞かれてるから伝えといて」
そう言って、走り書きのメモを私に渡した。
“横溝”という名前を聞いた瞬間、胸が少し重くなる。
──私は、横溝さんに嫌われている。
売り場も違うし、彼女は私の後にバイトで入ってきた子だから、特に絡んだ記憶もない。
なのに、あからさまに態度が悪い。
売価の問い合わせで私から折り返し内線しても、何度か無視されたことがある。
(今回も……どうせ無視されるよね)
そう思いながら、私は仕方なく店内放送を入れた。
『1階レジ、横溝さん。1階レジ横溝さん。内線36番お願いします』
──しかし、反応は無い。
もう一度、さらにもう一度放送しても同じ。
三回目の放送を終えた頃、杉野チーフが眉をひそめて近付いてきた。
「出ないの? 横溝さん」
「これだけ呼んでも出ないんですから……もう分かったのかもしれないですよ」
そう答えると、木月さんが苦々しい顔をして小さく呟いた。
「私、横溝さんって……苦手なのよね」
普段は滅多に人の悪口を言わない木月さんの珍しい言葉に、私は驚いて顔を向ける。
杉野チーフも溜息を吐きながら続けた。
「高校卒業したばかりのアルバイトさんだからね……。
本当はヘアゴム以外の装飾は禁止なのに、派手なアクセを付けてくるし、ネイルも注意しても直さない。
全然言うことを聞かないから、ちょっとした“問題児ちゃん”なのよね……」
困ったような表情の二人を見て、胸のざわつきが少しだけ現実味を帯びた。
(やっぱり……私だけじゃなかったんだ)
その日もいつも通り品出しを終えてストック置き場へ戻ると、森野さんが内線を取っていた。
四月はクリスマスほどではないにせよ売り出しが多く、売り場は毎日バタバタしている。
GWへ向けてレジャー用品の問い合わせも増え、私でさえ胸ポケットに小さなメモ帳を常備して歩いているほどだ。
そんな中、内線を切った森野さんが、
「ったく、こっちだって忙しいんだよ!」
と毒づきながら、売り場へ向けて走っていった。
(珍しい……。森野さんが仕事でイラつくなんて)
そう思いながら、私は箱から出した商品に開封止めシールを貼り続けた。
すると、森野さんが慌ただしく戻ってきて、
「柊、悪い。これ、レジの横溝から売価聞かれてるから伝えといて」
そう言って、走り書きのメモを私に渡した。
“横溝”という名前を聞いた瞬間、胸が少し重くなる。
──私は、横溝さんに嫌われている。
売り場も違うし、彼女は私の後にバイトで入ってきた子だから、特に絡んだ記憶もない。
なのに、あからさまに態度が悪い。
売価の問い合わせで私から折り返し内線しても、何度か無視されたことがある。
(今回も……どうせ無視されるよね)
そう思いながら、私は仕方なく店内放送を入れた。
『1階レジ、横溝さん。1階レジ横溝さん。内線36番お願いします』
──しかし、反応は無い。
もう一度、さらにもう一度放送しても同じ。
三回目の放送を終えた頃、杉野チーフが眉をひそめて近付いてきた。
「出ないの? 横溝さん」
「これだけ呼んでも出ないんですから……もう分かったのかもしれないですよ」
そう答えると、木月さんが苦々しい顔をして小さく呟いた。
「私、横溝さんって……苦手なのよね」
普段は滅多に人の悪口を言わない木月さんの珍しい言葉に、私は驚いて顔を向ける。
杉野チーフも溜息を吐きながら続けた。
「高校卒業したばかりのアルバイトさんだからね……。
本当はヘアゴム以外の装飾は禁止なのに、派手なアクセを付けてくるし、ネイルも注意しても直さない。
全然言うことを聞かないから、ちょっとした“問題児ちゃん”なのよね……」
困ったような表情の二人を見て、胸のざわつきが少しだけ現実味を帯びた。
(やっぱり……私だけじゃなかったんだ)
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