珈琲のお代わりはいかがですか?

古紫汐桜

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最終話

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「友也君、蔦田さん狙いはダメ!」
ハルさんが笑顔で友也君にデコピンすると
「はぁ?あのおっさんの利点なんて、そんなもんだろう?」
って、辛辣な蓮君に苦笑いを浮かべていると、創さんが浮かない顔をしている。
「創さん?」
俺が疑問の視線を投げると
「あ、ごめん。それで、名前はどうするの?」
と無理に笑顔を作った。
「じゃあさ、俺達の出した『ハルちゃんのコーヒー』と、ハルちゃんが考えた名前を、お客様に決めてもらうのはどう?投票にして」
創さんを気にしていると、友也が提案して話が進んで行った。
結局、名前は投票で決まる事になり、俺は来週にお店へコーヒー豆を納品する事になった。
この日は夕飯をハルさんの家でみんなで食べてから、俺と創さんは帰宅した。
風呂から上がって部屋に戻ると、創さんが何やら物思いに耽っていた。
「昔…蔦田さんと何かあったんですか?」
部屋に戻って創さんに声を掛けると
「あ……風呂から上がったのか」
って、創さんが無理に笑顔を作る。
俺はそんな創さんの前に座り
「俺達、ある意味で夫婦ですよね!」
そう切り出すと、創さんは溜め息を吐いて
「尚寿さんは、僕の従姉妹の旦那さんだったんだよ」
ぽつりと話し出した。
「明るくて、僕のような高杉家の恥と言われていた人間にさえ優しい人だった。…親同士が決めた結婚だったけど、彼女は彼を愛していたんだ」
そう言うと
「結婚して1年くらいの時かな?彼が仕事、仕事で彼女の体調の悪さに気付かなかったんだ。彼女が咳が酷いのに、そんな彼女を置いて出張に行ってしまった。1週間の出張から戻った時には、ベッドで冷たくなった彼女が寝ていたらしい」
創さんはそこまで話すと、小さな溜め息を吐いた。
「彼女のお腹には、子供が居たらしい。だから病院へ行かなかったんだろな。本当に、優しい人だったんだ。そんな彼女が何故?って思ったよ」
悲しそうに話す創さんの手を、俺はそっと握った。
多分……創さんの初恋の人だったのだろう。
「蔦田さん……創さんの事を心配していましたよ。今日来たのも、創さんの相手である俺を確認に来たみたいでした」
笑顔で俺が創さんに言うと、創さんは小さく微笑み俺の肩に額を当てた。
俺はそっと創さんの背中に手を回し
「きっと、その方の死が…蔦田さんを変えたんでしょうね」
ぽつりと呟いた。
「人は過ちを犯してから……気付きます。その過ちにいつ気付くのか。気付いてからどう変わるのか…が、大切なんじゃないですかね」
俺が話終えると、創さんが突然、首筋に舌を這わせて来た。
「ちょ……!創さん!大事な話してるのに!」
慌てた俺を押し倒し
「じゃあ、はじめの身体で慰めて?」
そう言って小さく笑うと、ギュッと俺の身体を抱き締めて
「ごめん、冗談だよ。はじめ、ありがとう」
って呟いた。
創さんはきっと、たくさんの傷を心の中に抱えて生きてきたんだろう。
ほんの少しでも、俺が一緒に抱えて行けたら良いなぁ~と願いながら、俺を抱き締める創さんの背中をそっと抱き締めた。
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