幸せの在り処feat.りんごちゃんねる様

思い出

「に～ちゃん、に～ちゃん」
思い出の中には、いつも俺の背中を追いかけていた小さな薄茶色の瞳と髪の毛をした可愛い弟の姿がある。
フワフワで柔らかな猫毛の髪の毛は、いつも光に当たると金色に輝いていた。
まだ幼かった俺は、2つ下の弟が俺に着いて歩くのが鬱陶しかった。
好きな野球もサッカーも、弟が俺に着いて歩くから入れてもらえなくて……。
あの日、弟を置いて遊びに出てしまった。
今思えば、一緒に遊んで上げれば良かった。
もっとあいつの話しを聞いて上げれば良かった。
   そう。あれは暑い夏の日。
弟の啓太は、俺を探して道路に飛び出し交通事故に遭ってこの世を去った。
まだ4歳だった。
    母親は悲しみのあまりに心を患い、両親は離婚。
親父も俺を見ると啓太を思い出すらしく、両親は誰も俺を引き取らなかった。
俺は父方の祖父母に引き取られ、現在に至る。