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和解と知らなかった真実
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僕は今、とあるマンションのオートロックのインターフォン前で悩んでいる。
あの日、ハルさんから深沢先生を紹介してくれたのが蔦田さんであること。
蔦田さんと僕の関係をはじめに打ち明けた。
はじめは黙って聞いてくれて、全て話終わると
「創さん、蔦田さんにお礼をお伝えした方が良いですよ」
そう言って優しく微笑んだ。
「きっとお2人で、誤解し合っている事もあるかと思うんです」
はじめはそう言うと、そっと僕の手を両手で包んで
「創さんが大好きだった従姉妹の方も、きっとそれを望んでいると思います。だからこのタイミングで、2人を出会わせて下さったんだと思いますよ」
と言って優しく微笑んだまま僕を見つめた。
「1人で行くのが辛いなら、俺も一緒に着いて行きますから」
そう言ってくれたはじめの言葉に背中を押され、「一人で行ってくる」と言ってはみたものの……。
美鈴と喧嘩分かれして以来で、なんだか落ち着かない。
ウロウロしていると
「あれ?創君?」
と、背後から蔦田さんの声がした。
Tシャツにボルドーのシャツを羽織り、ジーンズ姿というラフな出で立ちに声を失う。
「俺に用事?」
そう言いながら、オートロックを開けて中に招き入れる。
決して「どうして?」とか「なんで?」と聞かない蔦田さんに、大人の余裕と配慮を感じる。
エレベーターに乗り込みながら
「良かったよ……。もう少し遅かったら、創君に空振りさせる所だったね」
優しく微笑む彼に、僕は直視出来ずに思わず俯く。
5階建てのファミリー向けマンションの最上階に着き、蔦田さんに後ろに着いて部屋に入った。
独身男性が住むには広いマンションに足を踏み入れると、モデルルームか?という程に生活感の無い部屋に驚いた。
ただ、リビングに鎮座している仏壇が、彼が美鈴の死を抱えて生きているのだと教えてくれた。
「ここには人が来ないから、珈琲くらいしか無いけど良いかい?」
と声を掛けられ
「あ!お構いなく。……あの、仏壇にご挨拶させて頂いても良いですか?」
そう答えると、蔦田さんは笑顔を浮かべて
「あぁ、是非とも。美鈴も喜ぶよ」
と答えた。
僕は仏壇に向かい、蝋燭に火を灯してお線香をあげた。
仏壇は綺麗にされていて、毎日お線香をあげているんだろう。
生花が綺麗に飾られていて、美鈴はきちんと愛されていたんだと思い知らされた。
(来るのが遅くなってごめん。美鈴、近々、僕の大切な人を連れてお墓参りに行くからね)
仏壇に手を合わせてそう誓うと、蔦田さんがダイニングテーブルにコーヒーを用意してくれていた。
あの日、ハルさんから深沢先生を紹介してくれたのが蔦田さんであること。
蔦田さんと僕の関係をはじめに打ち明けた。
はじめは黙って聞いてくれて、全て話終わると
「創さん、蔦田さんにお礼をお伝えした方が良いですよ」
そう言って優しく微笑んだ。
「きっとお2人で、誤解し合っている事もあるかと思うんです」
はじめはそう言うと、そっと僕の手を両手で包んで
「創さんが大好きだった従姉妹の方も、きっとそれを望んでいると思います。だからこのタイミングで、2人を出会わせて下さったんだと思いますよ」
と言って優しく微笑んだまま僕を見つめた。
「1人で行くのが辛いなら、俺も一緒に着いて行きますから」
そう言ってくれたはじめの言葉に背中を押され、「一人で行ってくる」と言ってはみたものの……。
美鈴と喧嘩分かれして以来で、なんだか落ち着かない。
ウロウロしていると
「あれ?創君?」
と、背後から蔦田さんの声がした。
Tシャツにボルドーのシャツを羽織り、ジーンズ姿というラフな出で立ちに声を失う。
「俺に用事?」
そう言いながら、オートロックを開けて中に招き入れる。
決して「どうして?」とか「なんで?」と聞かない蔦田さんに、大人の余裕と配慮を感じる。
エレベーターに乗り込みながら
「良かったよ……。もう少し遅かったら、創君に空振りさせる所だったね」
優しく微笑む彼に、僕は直視出来ずに思わず俯く。
5階建てのファミリー向けマンションの最上階に着き、蔦田さんに後ろに着いて部屋に入った。
独身男性が住むには広いマンションに足を踏み入れると、モデルルームか?という程に生活感の無い部屋に驚いた。
ただ、リビングに鎮座している仏壇が、彼が美鈴の死を抱えて生きているのだと教えてくれた。
「ここには人が来ないから、珈琲くらいしか無いけど良いかい?」
と声を掛けられ
「あ!お構いなく。……あの、仏壇にご挨拶させて頂いても良いですか?」
そう答えると、蔦田さんは笑顔を浮かべて
「あぁ、是非とも。美鈴も喜ぶよ」
と答えた。
僕は仏壇に向かい、蝋燭に火を灯してお線香をあげた。
仏壇は綺麗にされていて、毎日お線香をあげているんだろう。
生花が綺麗に飾られていて、美鈴はきちんと愛されていたんだと思い知らされた。
(来るのが遅くなってごめん。美鈴、近々、僕の大切な人を連れてお墓参りに行くからね)
仏壇に手を合わせてそう誓うと、蔦田さんがダイニングテーブルにコーヒーを用意してくれていた。
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