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第四章
晶と翡翠の出会い
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その日は、朝から屋敷が騒がしかった。
ある村の農作物が急に豊作になった噂を聞き、真偽を確かめに向かった殿が、土砂崩れに巻き込まれて行方不明になってひと月が経過していた。
政略結婚で、愛の無い結婚生活だったが、晶は親から婚約者の藤原頼政の絵姿をもらってから、ずっと頼政と結ばれる日を夢見ていた。
───しかし、実際に会った頼政は部下に対してもではあるが、女性にも冷たく冷酷な男だった。
生まれてすぐに母親が不吉の象徴、弟を連れて夜逃げしたらしく、母を知らない。
父親の頼敦は子供に興味はなく、何人もいる側室の家に通いほとんど本邸にはいなかった。
不吉の象徴である弟は、すぐに殺される為に命名さえされていなかった。
そんな不吉な象徴を守る為に、母は自分を捨てたのだと周りの人間に聞かされて育った頼政は、酷く冷酷で残虐に育ってしまっていたのだ。
父が病に倒れた時、側室もろとも子供を全て殺して火を放った。
その残虐さに、暴君と呼ばれていた。
自分たちの保身や野心の為に近付いて来た者に囲まれて育った頼政は、倫理観を問うものは誰もいなかったのだ。
気に入らなければ切る───
頼政の残虐さに、誰もが怯えひれ伏した。
そんな中、晶だけは頼政に倫理観を問い続けた。
頼政にとって、女性ながらに学に長けた晶が疎ましたかった。
最初こそ、美貌の才女と名高い晶に興味はあったが、自分の残虐な行いを諌める晶に辟易していたのだ。
しかし、子をなさなければならないのが当主の役目。
数少ない晶との営みで、ようやく子宝に恵まれた矢先、頼政が行方不明になり晶は不安な夜を幾つも過ごしていたのだ。
ようやく……殿に会える──
祈る気持ちで待っていた晶は、騒がしくなった屋敷の入口に足早に足を進めた。
「殿のご帰還!」
声高に聞こえた声に、晶は玄関で正座をして頭を下げて帰宅を待っていた。
足音が近付いて来て
「今、帰った」
愛しい頼政の声に
「お帰りなさいませ、旦那様」
晶は深々と頭を下げ、ゆっくりと上げた視線の先に、信じられない光景を見た。
頼政は自分のかたわらに、人間とは思えぬ程に美しい女性を抱えていたのだ。
「……殿、そのお方は?」
静かに問う晶に
「俺の天女様だ。部屋を用意しろ」
と言うと、明らかに嫌がる女性を晶に託した。
その時、頼政が女性の耳元に
「友頼を助けたいなら、大人しく従え」
と囁いたのを、晶は聞き逃さなかった。
よく見れば、女性のお腹が膨らんでいる。
おそらく、自分と同じ月数の子を宿しているようだった。
ある村の農作物が急に豊作になった噂を聞き、真偽を確かめに向かった殿が、土砂崩れに巻き込まれて行方不明になってひと月が経過していた。
政略結婚で、愛の無い結婚生活だったが、晶は親から婚約者の藤原頼政の絵姿をもらってから、ずっと頼政と結ばれる日を夢見ていた。
───しかし、実際に会った頼政は部下に対してもではあるが、女性にも冷たく冷酷な男だった。
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そんな不吉な象徴を守る為に、母は自分を捨てたのだと周りの人間に聞かされて育った頼政は、酷く冷酷で残虐に育ってしまっていたのだ。
父が病に倒れた時、側室もろとも子供を全て殺して火を放った。
その残虐さに、暴君と呼ばれていた。
自分たちの保身や野心の為に近付いて来た者に囲まれて育った頼政は、倫理観を問うものは誰もいなかったのだ。
気に入らなければ切る───
頼政の残虐さに、誰もが怯えひれ伏した。
そんな中、晶だけは頼政に倫理観を問い続けた。
頼政にとって、女性ながらに学に長けた晶が疎ましたかった。
最初こそ、美貌の才女と名高い晶に興味はあったが、自分の残虐な行いを諌める晶に辟易していたのだ。
しかし、子をなさなければならないのが当主の役目。
数少ない晶との営みで、ようやく子宝に恵まれた矢先、頼政が行方不明になり晶は不安な夜を幾つも過ごしていたのだ。
ようやく……殿に会える──
祈る気持ちで待っていた晶は、騒がしくなった屋敷の入口に足早に足を進めた。
「殿のご帰還!」
声高に聞こえた声に、晶は玄関で正座をして頭を下げて帰宅を待っていた。
足音が近付いて来て
「今、帰った」
愛しい頼政の声に
「お帰りなさいませ、旦那様」
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頼政は自分のかたわらに、人間とは思えぬ程に美しい女性を抱えていたのだ。
「……殿、そのお方は?」
静かに問う晶に
「俺の天女様だ。部屋を用意しろ」
と言うと、明らかに嫌がる女性を晶に託した。
その時、頼政が女性の耳元に
「友頼を助けたいなら、大人しく従え」
と囁いたのを、晶は聞き逃さなかった。
よく見れば、女性のお腹が膨らんでいる。
おそらく、自分と同じ月数の子を宿しているようだった。
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