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第四章
翡翠の死
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「晶様……顔色が悪いですが、何があったのですか?」
頼久の元に足を運び、泣きじゃくる頼久を抱き締めて宥める晶に、三郎太が呟いた。
「三郎太……実は」
今見たことを告げようと口を開いたその時、屋敷に悲鳴が響いた。
慌てて部屋を飛び出し、腕に抱いていた頼久の目を塞いだ。
頼政の腕の中で、胸に短刀を突き刺した翡翠が居た。
頼政の白い肌着は真っ赤に染まり、慌てて駆け寄る部下に
「騒ぐな! この血は全て、この女の血だ!」
そう叫んだ。
騒ぎを聞き付けた友頼は、変わり果てた妻の姿に目を見開いた。
「翡翠!」
駆け寄り頼政から翡翠を奪おうとする友頼を、頼政は足で蹴り倒した。
「もっと楽しめるかと思ったが、とんだ興醒めだ」
吐き捨て、翡翠の亡骸を友頼に投げ渡した。
晶は慌てて頼久を三郎太に託すと、部屋に戻るように伝えた。
二人の背中を見送り視線を元に戻すと、友頼は翡翠の身体をかき抱き
「何故、このような酷いことを!」
泣きながら叫んでいた。
「俺がその女を無理やり抱いたら、俺の短刀を抜いて自分で刺したんだよ」
頼政の言葉に、身体を震わせて友頼が翡翠を抱き締める。
「お前に……人の血は流れているのか!」
初めて友頼は、人を憎いと思った。
「はぁ? 何を今更……」
鼻で笑う頼政に
「頼政!!!」
友頼の怒りの声が、その場の空気を震わせた。
すると翡翠が、今にも消えそうな呼吸で
「若様……帰りましょう……。私たちが暮らした……村に……」
そう呟いた。
すると辺りに風が渦を巻き、二人を包んでいく。
「なんだ? これは……」
慌てる屋敷の人間の中で、頼政が小さく笑った。
「鬼だ……奴らの残党だ!」
そう言うと、手に残った翡翠の血を舐めた。
「翡翠を捕まえろ! 友頼は切り捨てて良い。
鬼を喰らうと、天下が取れるらしいからな」
頼政の言葉に、晶は後ずさり
「狂ってる……」
そう呟いた。
昔、何かの書物で読んだことがあった───
善良な鬼一族の知識と能力の強さを恐れ、『鬼を喰らえば天下が取れる』と嘘の噂を流し、鬼一族を惨殺したと。
それが、この地に残り今や領主となった藤原家だ。
まさか……その惨殺された鬼一族の娘と、惨殺した藤原家の殺される筈だった息子。
その二人の息子が…………
晶は握りこぶしを握り締めた。
生半可な気持ちでは、頼久を守れない。
チラっときよを見ると、きよが小さく頷いた。
その時、黄金の光が辺りを照らして視界を塞いだ。
ゆっくりと光が消えた時には翡翠はもちろん、友頼の姿も消えていた。
すると頼政はニヤリと笑い
「皆の者、見たか! 人間をおびやかす鬼が、女の姿に成りすまし、藤原家の忌み子を伴い屋敷に忍び込んで来た! 鬼を討て!」
頼政の言葉に、刀を振り上げた家来が叫び声を上げた。
その声はまるで、この後に待っている悲劇の幕開けを告げているかのように響きわった。
頼久の元に足を運び、泣きじゃくる頼久を抱き締めて宥める晶に、三郎太が呟いた。
「三郎太……実は」
今見たことを告げようと口を開いたその時、屋敷に悲鳴が響いた。
慌てて部屋を飛び出し、腕に抱いていた頼久の目を塞いだ。
頼政の腕の中で、胸に短刀を突き刺した翡翠が居た。
頼政の白い肌着は真っ赤に染まり、慌てて駆け寄る部下に
「騒ぐな! この血は全て、この女の血だ!」
そう叫んだ。
騒ぎを聞き付けた友頼は、変わり果てた妻の姿に目を見開いた。
「翡翠!」
駆け寄り頼政から翡翠を奪おうとする友頼を、頼政は足で蹴り倒した。
「もっと楽しめるかと思ったが、とんだ興醒めだ」
吐き捨て、翡翠の亡骸を友頼に投げ渡した。
晶は慌てて頼久を三郎太に託すと、部屋に戻るように伝えた。
二人の背中を見送り視線を元に戻すと、友頼は翡翠の身体をかき抱き
「何故、このような酷いことを!」
泣きながら叫んでいた。
「俺がその女を無理やり抱いたら、俺の短刀を抜いて自分で刺したんだよ」
頼政の言葉に、身体を震わせて友頼が翡翠を抱き締める。
「お前に……人の血は流れているのか!」
初めて友頼は、人を憎いと思った。
「はぁ? 何を今更……」
鼻で笑う頼政に
「頼政!!!」
友頼の怒りの声が、その場の空気を震わせた。
すると翡翠が、今にも消えそうな呼吸で
「若様……帰りましょう……。私たちが暮らした……村に……」
そう呟いた。
すると辺りに風が渦を巻き、二人を包んでいく。
「なんだ? これは……」
慌てる屋敷の人間の中で、頼政が小さく笑った。
「鬼だ……奴らの残党だ!」
そう言うと、手に残った翡翠の血を舐めた。
「翡翠を捕まえろ! 友頼は切り捨てて良い。
鬼を喰らうと、天下が取れるらしいからな」
頼政の言葉に、晶は後ずさり
「狂ってる……」
そう呟いた。
昔、何かの書物で読んだことがあった───
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それが、この地に残り今や領主となった藤原家だ。
まさか……その惨殺された鬼一族の娘と、惨殺した藤原家の殺される筈だった息子。
その二人の息子が…………
晶は握りこぶしを握り締めた。
生半可な気持ちでは、頼久を守れない。
チラっときよを見ると、きよが小さく頷いた。
その時、黄金の光が辺りを照らして視界を塞いだ。
ゆっくりと光が消えた時には翡翠はもちろん、友頼の姿も消えていた。
すると頼政はニヤリと笑い
「皆の者、見たか! 人間をおびやかす鬼が、女の姿に成りすまし、藤原家の忌み子を伴い屋敷に忍び込んで来た! 鬼を討て!」
頼政の言葉に、刀を振り上げた家来が叫び声を上げた。
その声はまるで、この後に待っている悲劇の幕開けを告げているかのように響きわった。
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